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第8話 ゴブリンのその後を話し合う物語

 お昼休み、ゴブはすっかり人気者になっていますが、もう一人ゴブの件で見直された彼の前にも何人かの女子が集まっていました。


「え? こんなにいいの?」

「うん、さっきのでなんか見直したし」

「私のも食べて~」

 

 それは先程、見事ゴブのピンチを救った灰児くんです。彼には弁当を持参してきている女子からおかずのプレゼントがありました。


 それをとても美味しそうに頬張る灰児です。流石クラスで1番ご飯を美味しそうに食べる男子1位だけあって、見ているだけで食欲が湧いてきそうです。


「ゴブ~……」

「お腹空いたのゴブちゃん?」

 

 ゴブのお腹が再びぐ~っとなりました。ゴブの両手がお腹に伸びます。


 確かにこれはお腹が減ったのは間違いなさそうです。


「私のお弁当少しあげるね」

「し、しかしそうなると桃子殿のお弁当が減ってしまうのだ! だから、わ、私もお裾分けします!」

「うん、私もわけるよ」

「ゴブ~♪」


 ゴブは雰囲気的にご飯が食べられると察したのかも知れません。表情が明るくなりました。


「モグモグ――」

「おいしいゴブちゃん?」

「ごぶ~♪」


 桃子が問いかけるとゴブは上機嫌な表情で手を上げました。どうやら桃子達が分けたおかずが気に入ったようです。


「サンドイッチも食べるかゴブ?」

「ゴブ!」

「卵焼きをわけるのである」

「ゴブゥ♪」

「おにぎり美味しいゴブちゃん?」

「ゴブゴブ(こくこく)」


 不思議なもので、言葉の通じないゴブと妙にコミュニケーションが取れてきているように思えます。表情などである程度言っていることを理解しているのでしょう。中々ゴブリンという魔物かあるいか妖精なのか、とにかく利口ではあるようです。


「も、桃子殿、よければ、私のお弁当も如何であるか?」

「いいの?」

「勿論であります!」

「それじゃあ卵焼きを、代わりにウィンナーあげるね」

「こ、これは桃子殿のウィンナー! なんたる幸せ!」

「大げさだよ~」

「涙して食べてるわね。本当桃子ラブなのね黄切って」

 

 頬に手を当て幸せいっぱいな顔を見せる黄切を見ながら目を細める吟子です。


「ゴブ、パン食べるか?」

「ゴッブ~」


 すると赤也がパンを持って現れました。学食で買ってきた中でわけてくれるようです。


「ありがとう暁くん」

「別にこれぐらい大したことじゃないさ」


 モグモグと赤也から受け取ったパンも美味しそうに頬張るゴブです。


「ヒロくんどこ見てるの~?」

「もしかしてあのゴブリンの事が気になるとか?」

「え? いや、うん。だって珍しいからね」

「そうだよね~なんかちょっと可愛いし」

「キモ可愛いって感じよね」

「え~普通に可愛いよ~」

「あはは……」


 女子に囲まれながらも、ゴブのことをチラチラと気にしている弘樹です。


「ゴブっちこれ食べるだろ!」

「ゴブ~」


 すると今度は葵がやってきてゴブに食事を与えました。それを受け取ったゴブがぽりぽりと食べ始めます。


「それきゅうりよね」

「ちょっとそのまんま過ぎないか?」

「ゴブ~」


 確かに葵の持ってきたものは一本のきゅうりでした。 


「ゴブ~……」


 しかし、食べ終わったとのゴブの表情はなんとも微妙なものでした。


「あんまり気に入ってないみたい」

「え~? そんなはず無いだろ? 色合い的に野菜が好きなはずだって!」

「いや、葵、お前もしかして河童と勘違いしてないか?」

「違うのか?」

「頭の上にお皿がないもんね」

「そこ!?」


 桃子がゴブの頭に手をのせながらいいます。確かに皿がありません。河童ではありませんね。


「ゴブっち私たちのおかずも食べる?」

「お菓子あげるね~」

「あはっ、食べる姿、なんだか可愛い♪」


 その後、クラスの皆がよってきてゴブに食べ物を与えました。おかげでゴブも満足したようです。

  

 ひっくり返り、膨れたお腹をさすっている程です。


「ゴプ~」

「ちょっと食べ過ぎたかな?」

「ゴブ……」

 

 ゴブも見境なく食べすぎたかなとちょっと反省した模様です。昼休みも終わりお腹が膨れて少しキツそうでもありましたが、ゴブは大人しく用具入れの中で午後も乗り切りました。


「さて、授業も終わったわけだが、このあとどうするんだ桜木?」

「そうだよね~どうしよう?」

「やっぱ桃子そこまで考えてなかったんだね」

「む~まさかペットのように飼うというわけにはいかないのです」

「ゴブ~……」


 ゴブもどことなくしょんぼりしてます。皆の顔色から、自分が一緒にいるのは厳しいのかも知れないとおもっているのかもしれません。


「いい手があるぜ!」

 

 すると葵がやってきて元気一杯に発言しました。何やら自信がありそうですが、一体どんな手があるというのでしょう?


「いい手ってどんな手だ?」

「それは一緒にくればわかるよ!」

「だ、大丈夫かな?」

「とにかく、行ってみようよ。折角葵ちゃんが言ってくれてるんだもんね」

「流石桃子! よっしゃゴブっち行こう!」

「ゴブッ!?」

「あ、ちょ、葵!」


 言うが早いか、葵はゴブを持ち上げタタタッと駆けていきました。しかも何故か制服を脱ぎ捨て競泳水着の格好でです。


 これでは目立ってしまいそうですが、さてゴブをどこへ連れて行こうというのでしょうか?

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