第52話
福宮さんとはどうなったかって?
傍目に見るとなにも変わったようには見えないと思う。
「オッチー遅いー」
「ごめんごめんお待たせ」
相変わらず2人でご飯も行くし、携帯では毎日のようにやりとりするし
「また焼き肉行く?」
「いいねー、行こう」
あ、そうそう、最近また彼氏ができたらしい。
「今度は長続きしそう?」
「んー、多分」
「こりゃまたすぐ別れるなー」
「ひどっ」
受験も近いっていうのに勉強してるのか心配になる。一緒になって遊んでる俺も俺だけど。
「オッチーは私が誰と結ばれても文句言わない?」
「んー、言わないと思うけど」
「けど?」
「いやその”けど“には特に意味ないけど」
「なーんだ」
人生の分岐路が近い影響かは分からないがやたらとこういう質問をされる。不安な気持ちを紛らわせたいのだろうと思う。
「まあ強いて言うなら、ちゃんと福宮さんが好きになれて、どんなことがあっても福宮さんの味方になってくれる人と結ばれてほしいかな」
もう少ししたら福宮さんも地元を離れて関東の方の大学に進む予定らしい。伝えれることは伝えておこうと、なるべく丁寧に答えてあげてる。
「あはは、そうねー、好きで付き合ったことないしね」
「でもまあ、福宮さんが良いと思える相手なら口出ししないかなぁ」
だってただの友達だし、口出しする権利なんてないしなぁ。
「ちなみに、オッチーは味方でいてくれる?」
またこういう質問だ。
「当たり前、福宮さんがどんなに最低な人間になっても俺は味方でいるよ」
「聞くまでもなかったかー」と少し嬉しそうに車の天井を見上げる。可愛い。
「焦らなくていいから、そういう人を見つけれるといいね」
「うん、本当、焦らなくていいなって思う」
素直で、聞き分けが良くて、でもたまに年齢に似合わない考えを披露する、ちょっと不思議な子だ。
「福宮さん」
「ん?」
「ずっと友達だよね」
「うん、ずっと友達」




