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第44話

『ダメだったよ』

『あーやっぱりね』


とりあえずというかなんというか…まずは福宮さんに報告した。


『やっぱりってひどいなあ』

『ごめんごめん笑』

『まあ笑われても仕方ないよね』


こういう凹んだ時にすぐ福宮さんを頼る。悪い癖だ。正直言って甘えてる。


福宮さんなら慰めてくれると、そんなことを期待している自分が憎くてたまらない。


『まあねー、あんまり自己嫌悪しちゃダメよ?』


全てを見透かしたような返信が返ってくる。こういうところがあるからついつい頼ってしまう。しかしあんなことを頼んだ時点で福宮さんだって無関係じゃない。どちらにせよ言わなければならなかったんだ。仕方ない。今回だけ。


そう、今回だけ…。


『で、どうする?』

『どうしよう…』

『そうじゃなくて』

『そうじゃなくて?』

『心の線引きがどうたらって、まだ続ける?』


そっか、小田さんとの仲を修復するのは叶わなかったわけだし、無理して距離を取る必要もないのか。それなら、今まで通り福宮さんとは“異常な”関係でいた方が精神衛生上とてもよろしいことだと思う。


『んー』

『どっちでもいいけど』

『続けようかな』

『あらま、了解』


そもそも、しっかり自分たちで線引きをしていないとこの先も似たようなことが起こるかもしれないという意味合いもあったので、続けることにした。


今の関係を続けたところで良いことなんてなにもないかもしれないが、それでも今回のように悪いことが起こるよりはずっとマシだ。


『福宮さんは今の関係どう?なにか不満はない?』

『んー、私があいつの機嫌のためにこうやって縛られてることが不満かな』

『うっ…ごめんよ』

『うそうそ笑 からかっただけだから気にしないで』


本当にそうか?絶対に半分くらい本心が混ざってるだろ。


とてもそんなことは言えないので、心の中に留めておいた。


『正直言うと、線引きとかよく分かんないし、まだ意識し始めたばっかりだし、不満が出るほどでもないよ』

『そう?そう言ってくれると気が楽だよ』

『嫌だったらすぐオッチーに言うと思うしね笑』

『うん、その時はすぐ言って』


気付けば仲直りに失敗したことなんて忘れて、福宮さんとのやり取りに夢中になっていた。


こうやって嫌なことを忘れられるから、頼ってしまうんだよなあ。

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