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第30話

とりあえず小田さんとのことも一件落着したし、おそらく1番心配をかけていたであろう早川さんにメッセージを送らないとな。


『お疲れ様。小田さんとの件は一応片付いたよ、色々心配かけてごめんね」


ふう、時間は午前1時を回ったところか、高校生だしもう寝てるだろ。


風呂にでも入ろう。


すっかり食べ物の匂いが染み付いたシャツを脱ぎ捨て、急いで浴槽に飛び込む。


やはり風呂は熱いお湯に限る。


この時期の風呂は入る前は億劫だが、入っている時は気持ちいい。ついつい長風呂になってしまいがちだ。


「間接キス、ねえ」


小田さんは果たして、福宮さんと間接キスをしたから怒っていたんだろうか?それとも福宮さんと付き合ってる(と誤解していた)から不機嫌だったのだろうか?


人の気持ちなど考えたところで分かるはずもない。だが、だからこそ色々と想像してみたくなる。


もし仮に、本当に福宮さんと付き合ってたとして、わざわざそれを言いふらすことで小田さんにどんなメリットがあるのだろう。多分ないはずだ。せいぜい俺を困らせれるくらいだろう。


あ、あと一つあった。福宮さんが困ることだ。小田さんは福宮さんを敵視しているしきっとそっちの意味合いの方が強いだろう。うん、きっとそうに違いない。


「可愛いことするよなあ」


さながら、好きな子の気を引きたい小学生のようなことをする。もちろんそこにそういう感情がないのは分かっていたが、それでも、いやそれだからこそ、余計に微笑ましく思えた。


しかし、職場を混乱させたのは事実だ。実際どの程度の人数にデマを流して何人が信じたかは分からないが、もし信じた人がいるのなら誤解を解く必要性があるな。


だけども、言われてもいないのに「俺と福宮さんは付き合ってないですからね」なんて言って回るのもおかしな話だ。そんなことをしたら逆に疑いが強くなりそうだ。なにか聞かれたら否定するくらいのつもりでいよう。


それくらいの心構えでちょうどいいはずだ。


あと今回の件は福宮さんには黙っておこう。他人の人間関係は考えないようにしたが、嫌っている相手の話題となると流石に気分も良くないだろう。


ちょっと長風呂しすぎたか、手がおじいちゃんみたいにシワシワになってきたのでそろそろ上がることにした。


「あーいいお湯だったー」


真っ暗な廊下でシミジミと呟くが、深夜なので誰からも返事が返ってくることはない。


代わりに、部屋に置いておいた携帯の通知が聞こえた。


こんな時間に誰だろうか、不思議に思いながら部屋に戻り、画面を見る。


福宮さん

『小田さんの件ってなに?ww送る相手間違えてない?』


「あ」


早川さんにではなく、間違えて福宮さんに送ってしまっていたようだ。


決定的なミスを自覚した時には、風呂上がりだというのに冷や汗で背中がベタついた。

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