第24話
福宮さんの学校は県内で1番制服が可愛くて有名だ。これは個人的な感想だが、やはりスカートはチェック柄が1番だと思う。
「色々考えたんだけどさ」
「うん?」
「自分が付き合いたい人と仲良くするのが1番だなって思った」
「そりゃ、そうやろ」
この前1人で考えていたことを報告する。別に義務などはないのだが、なんとなく福宮さんには理解していてほしかった。
「なにがあったかは知らないけどさ」と前置きし彼女は続けた。
「オッチーが仲良くしたいと思えばきっと相手も応えてくれるよ」
相変わらず年齢に似合わない考え方をするなあ、この子は。
「なんか他人の人間関係とか考えるのが面倒くさくなっちゃってさ」
「そりゃね」
「自分が楽しめる相手と遊ぶようにしようって思った」
「それがオッチーのためだよ、優し過ぎるんだよ、オッチーは」
「そうかな?」
「そうだよ、だって普通後輩に呼ばれただけでこんなところまで来ないでしょ」
彼だって、誰でも彼でも呼ばれたら行くわけではない。というか、基本的に彼は動きたがらない。今回だって、仲の良い福宮さんだから来たようなものだ。呼ばれたのが他の人間ならまず間違いなく断っていただろう。
「福宮さん以外ならこなかったよ」
ちょっとからかうつもりで、思ったことをそのまま口に出してみる。
…まずいことを言ってしまっただろうか、しばらくの間沈黙が続く。チラッと横目で福宮さんを見ると、笑いを堪えているのが見えた。
「こら、笑うな、なんか反応してさ、恥ずかしい」
「くっくっく」といかにも悪い笑い方をしながらこっちに目線を向けるのがわかった。
「ようそんな恥ずかしいこと真顔で言えたね!」
ものすごい笑顔で、ものすごい勢いで肩をバンバン叩いてくる。
「ちょ、運転中、運転中だから」
「うるさい、罰だ罰」
「そんな、あんまりだ」
なんだかこうしてじゃれていると可愛い妹ができたみたいだ。福宮さんも、そういう風に思っていてくれてるに違いない。
「はー、笑った笑った」
笑い過ぎて少し潤んだ目を擦りながら彼女はひとつ背伸びをした。そんなに笑うことはないじゃないか、少しばかり後悔した。
「笑ったらお腹空いちゃった」
「あ、ご飯のどこ行くかそろそろ決めないとね」
「オッチーなにが食べたい?」
「んー、久々になにかガッツリ食べたいな」
「ガッツリかー、焼肉とか?」
「お!いいね、焼肉行こう」
晩ご飯は焼き肉に決まりだ。よーし、今日はガッツリ食べるぞ。




