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第11話

「昨日は俺の話だったからさ、今日は小田さんの話、いいでしょ?」

「んー、まあ、いいけど...」


歯切れ悪く、小田さんが応える。


「多分私の話は面白くないよ」

「あはは、面白いかもしれないじゃん」


「話したくない」ではなく「面白くない」という理由なら聞かないうちに判断はできない。小田さんは言葉選びを間違えた。


「別に話してもいいけどー、笑わないでね?」

「大丈夫だよ、多分」

「多分かいー」


そこで少し間があった。多分心の準備をしているんだろう。


「高校の時の先生が好き」

「へー先生がね」

「驚かない?」

「んー別に、よく聞くわけじゃないけど珍しい話でもなくない?」

「あぁ良かった。軽蔑されるかと思った」

「そのくらいで軽蔑するわけないじゃないか」


先生と生徒が付き合うなんて今時漫画でもよく見る設定だし、現実でもきっとありふれてるんだろうな。そんなことを考えた。


「その先生ってどんな人だったの?」


昨日の彼ではないが、先生に対しては"好き"というより"憧れ"の方が強いと思う。おそらく小田さんの"好き"は昨日小田さん自身が否定した"憧れなのではないか。


「えーとね、綺麗な人だよ」

「綺麗な?」


綺麗な、という言葉の前にはどういう言葉がつくだろう。「見た目が綺麗」だろうか、それとも「心が綺麗」だろうか。なんにせよ含みのある言い方だ。


「わかんない?」

「え?なにが?」


「落合なら察してくれると思ったけどな」と言い、深呼吸をする。


「女の人だよ、私が好きなの」

「え」


そう言って、はにかんで澄ました顔をしたが、それが照れ隠しだと分かるのにそう時間はかからなかった。


「驚いた?」

「うん」


驚いてない、と言えば嘘になってしまうので正直に頷いた。


「レズってわけじゃないからね、たまたま、たまたま好きになった人が女の人だっただけで」


小田さんが早口で弁明する。好きな人が同性だということで変に思われるのが嫌なのだろう。しかし彼にそういう心配は無用だった。


「いや、驚いたよ。頭をガツンと殴られたような衝撃だよ」

「うー...やっぱり、言わなければよかった」

「なんで?」

「だって、私女なのに女の人が好きって、絶対おかしいと思うから」


確かに、聞いた時は驚きこそしたが、彼にとってみれば特に気にするようなことでもないのだが...言葉にして表さないと小田さんの中で誤解が生まれてしまいそうだ。


「同性愛者って、別におかしくないと思うけど」

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