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白封大戦  作者: 十二支剣精
13/15

12話  聖水の龍、現る!



「お主らは人が良すぎるのじゃ。まあ、今日中に片付ければリコリスには間に合おうて」

 いつもの黄金の鎧に身を包んだリリスがそんな事を言いながら先頭を歩いていく。


 武器以外の荷物を村に置いてきているため、足取りが軽い。


 しかしである。


「そちらの道は違いますよ、リリス」

「………………」

 私の指摘にリリスが言葉を失う。


 この方向音痴っぷりはどうにかならないのでしょうか。


 毎度毎度同じやりとりを繰り返している気がしてならない。


「あははは、リリスは方向お」

「人の事を言えた義理ではないでしょ、星華」

 私は星華の頬を引っ張る。


 さて。

 今回の目的地は村の裏手にある小山。


 この山のどこかで傷が癒えるのを待つ白龍を討伐すること。


 なんでもホーリードラゴンの亜種で強力な聖水を使うとか……。


 どう対処したものでしょうか。

 クロンのおかげで敵の位置は把握できており、山頂付近で魔力を感じるとの事である。


「いやいやいや、私って結構、勘が鋭いんだぞ~。山頂は~……、あっちだね!」

「元来た道を戻るの、星華?」

 アイリスが眠そうな顔でどうでもよさそうに問う。


 っというよりも勝手に下山しろっという目をしている。


 どうして下り道を指差したんでしょうか……。


 我が親友ながら理解不能ですね。


「……………世の中、勘だけで行動しちゃダメだぞ、リリス☆」

「うっさいのじゃ!」

 リリスが星華の頭にゲンコツをお見舞いしようとするけど、手が届かず胸の中に埋没した。


 星華がにやりと笑い、リリスがムッとした顔をする。


「いけませんよ、リリス。あまり騒いでしまうと龍に気付かれます」

 私は人差し指を立てて静かにするように指示を出す。


 もちろん、指先には魔力が篭っており、既に魔法を放てる状態にしてある。


 別に脅しているわけではない。


 静かにしなければ、物理的に静かにさせるだけで……。


「凍らされる~っ」

「ユフィー、マジで怖いのじゃ……」

「私は静か……」

 2人は両手を上げて無抵抗のサイン。


 1人は特に大きな反応を見せず、寝ぼけた瞳を曇らせたままだ。


 私は3人の様子を見て、問題がない事を確認すると指先の魔力を散らせる。


 世話の焼ける方たちです。


「そういえば、クロンがさっきから喋ってないよね。どったの?」

 星華が後方で静かにしているクロンの顔を覗き込む。


 しかし、すぐに飛び退いてそっぽを向く。


 滅茶苦茶、意識してますっ!?

 こんな星華を見るのは初めてかもしれない。


 私に対してもこんなふうに大人しくなれば変な気を使わなくても済むのですが……。


「比較的残念なお知らせなのですが、今し方の大声で気付かれて、こちらに向かってきていますよ」

「フリーズボール」

「「ひゃうっ!」」

 星華とリリスの足元で氷の弾が破裂して冷気が解き放たれ、2人の足が凍りつく。


 一方、アイシスとクロンは山頂の方を見据えながら魔力を広範囲に展開させる。


「……かなり速度が速い。相手の姿を見て、対策を立てたかったんだけど」

 アイリスが胸元から短剣を引き抜く。


 一方のクロンは腰の黎剱を取り出して一歩前に出る。


 その姿は恐ろしい程の闘気が満ちている。


「斥候に出ます。私が交戦を始めて3分後に参戦してください」

「……本来なら容認できませんが。……かなり強いのでしょうか」

「魔力の質的にはレベル14。確かにホーリードラゴンですね。亜種だって言うなら特殊な攻撃法もあるはず。今まで戦ってきた龍とは比較にならないと思われます」

 アイリスの顔が引き締まっている。


 龍の魔力をサーチして危険を知ったのだ。


 今まで戦ってきた白龍はレベル12以下のシャインドラゴンやホワイトドラゴンだった。


 今回のホーリードラゴンはレベル14であり、今までの比ではない。


 レベル14………。

 私と星華が負けた黒龍と同じレベル。


 しかし、今回は2人ではないのだ。


 何も恐れる事はありません!


 ………こちらに向かってくるということは怪我も魔力も完治したということですね。


 相手方は万全。


 一度、村で暴れているので、すぐにでも戦闘態勢……龍の衣を纏うのは間違いない。


「わかりました。私たちも龍とは戦い慣れていますがクロンほどではありません。お願いできますか?」

 私は指をパチンと鳴らし、2人の氷漬けの足を元に戻す。


「うひゃ~、冷たかった~……。っていうか、大丈夫なの、クロン?」

「むぅ……、鎧もこういう時には役に立つのぅ」

 星華とリリスが獲物を手に取りながら戦闘に意識を切り替える。


「1人では勝つことはできないでしょうが、死ぬこともないでしょう。なんなら、10分くらいでも構いません。………では」

 クロンは黎剱を片手に前方に向かって突っ走っていく。


 背にした大剣は使うつもりがないらしい。


「っていうか、あの大剣無駄だよね……」

「まあ、わらわも背にしている剣を切り札として持っておるしのぅ」

「むしろ、切り札を持ってない星華やユフィーは稀」

「一応、私のティルフリンガーは切り札があるのですが……。とりあえず、急ぎましょう。クロンが交戦を初めたようです」

 少し離れた所で轟音が鳴り響く。


 クロンはいきなりはっちゃけた感じのようだ。


 私は自分の体から漏れ出る魔力を内側に押さえ込み、木々に飛び移りながら戦いが行われている方に向かって跳んでいく。


 3人も私の後に続く。






 あひゃ~……、ナニコレ?

 あたしはクロンが戦っている現場を少し離れた木の上から観察していた。


「なるほどのぅ……。聖水を使うというのはこういう事かえ」

 太い幹の上で仁王立ちしながら、ふむふむと納得したように頷いているリリス。


 クロンと戦っているのは確かにホーリードラゴンだ。


 胴体が人に近いフォルムをしており、長い首と尻尾を有し、コウモリのような翼を持つ白い龍。


 アレが村人たちの言っていた聖水……。

 ただ、通常のホーリードラゴンと異なる点として自らの周囲に液体を纏わせており、常に流れを作っているという事だ。


 あの輝く液体が聖水に違いない。


「あの聖水がこっちの攻撃を邪魔してくるみたいね……。見ている限りでは龍の意思で動かしているみたいだけど」

「胴体が人型の龍とは戦ったことがあるけど、尻尾が邪魔くさいんだよな~……」

「聖水を纏っていますが、高水圧ブレスではなく炎を吹いていますね。ただ、雷龍は炎と雷の両方を放射できるので、あの龍も両方放射可能だと見るべきでしょう」

 ユフィーは過去に戦ってきた龍のことを思い出しながら、あの龍の攻撃パターンを解析していく。


 やっぱり、頭脳担当がいてくれると楽でいい。


 ……説明されても理解できないけど♪


「聖水の濃度は相当高いようじゃのぅ。戦いに巻き込まれたモンスターが浄化されていっとるわい」

 リリスが指差す先、戦いの最中に飛び散った聖水が周囲のモンスターにかかったようである。


 モンスターの体から白い煙が上がっている。


 浄化されているのだ。


「トドメはやはり、リリスにお願いするのが妥当でしょう。ただ、今回の龍は今までのモノよりも防御力が高いようなので中距離や遠距離からの魔法による支援が必要になるでしょう」

「あたしら全員、脳筋だからね~」

 あたしは全員の顔を順番に覗き込み、最後に笑う。


 みんな、視線を逸らして言葉を発さない。


 自覚はあるようだ。


 なので、再び口を開く。


「それにしてもクロン……。あんな戦い方もするんだね……」

 あたしはホーリードラゴンの亜種と獅子奮闘しているクロンを見て冷や汗を掻く。


 龍の広範囲且つ高威力の攻撃をモノともせず、回避し、攻撃に転じている。


 あたしたちの目を引いたのは、その戦闘スタイル。


「まるで蹂躙しているようじゃ」

 リリスの言葉通りであった。


 クロンは黎剱の力で実体のある闇の分身を創り出し、10人という手数で全方位から龍に攻撃を繰り出していくのだ。


 龍の攻撃で分身が破壊されると再び創り直しているため、手数はまったく減らない。


 こんな戦い方は見た事がない。


「以前、魔導書を持った魔法使いと戦った事とがあるけど、あんな戦い方をしてたっけ。まあ、あの剱は分身を作るだけの能力じゃないみたいだし、分身の数に制限があるみたいだけど」

 アイリスはそんなことを言いながら、木にもたれ掛かっている。


 やる気ゼロな感じだ。


「そろそろ約束の3分です。行きましょう」

 ユフィーはそう言いながら、木の枝から飛び降りてクロンの元へ向かう。


 アイリスやリリスもだ。


 一方のあたしは、

「ひゃっほ~い! 初手でズド~~ン!」

 あたしは高く跳び上がるとガラティーンの魔力を一瞬にして増大させて、水の刃を真上から叩き込む。


 一撃で倒すために鋭さを強化させてもらった。


『仲間かっ、小賢しいわっ!』

 龍がギロリとあたしを睨みつけると聖水を操って、水の刃にぶつけてくる。


 あたしの攻撃はあっさりと相殺されてしまった。


 大量の水が足元に溜まる。


 結構な威力だったんだけどね~。

 あたしは大剣を振り被り、思いっきり振り下ろす。


 龍は強靭な爪で大剣を受け止めた。


「星華ちゃん、参上だぜ~♪」

「早かったですね。もう少し、のんびり見ていてもよかったんですよ」

 クロンは笑みを浮かべながら、あたしが作った隙を利用して黎剱で龍を斬りつける。


 闇は聖に対して絶大なダメージを与える。


 故に『龍の衣』を無視して深々と斬り込んでおり、おまけというように闇の分身10人も龍に刃を通していた。


『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ』

 龍の咆哮。


 全身に恐怖を呼び覚ます轟音。


「「っ!」」

あたしとクロンは一瞬ひるんでしまう。


 しまった……。

 次の瞬間には龍の尻尾があたしとクロン、その分身をまとめて薙ぎ払う。


 あたしは空中に放り出され、クロンは森の中に飛ばされていった。


『人間ごときが我に勝てると思ったかっ! 身の程を知れ!』

 龍はそう言うや空中で身動きの取れないあたしに向かって、高水圧ブレスを放ってきた。


 炎では水の刃で打ち消されると判断したのだろう。


 ユフィーの予測は正しかった。


「負ける事前提で戦いなんてできるか~~っ!」

 ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 あたしは大剣を自分の前に持ってきて、高水圧ブレスの直撃をなんとか防ぐ。


 しかし、凄まじい勢いで飛ばされていく。


 あたし、また落ちんのっ!?

 遥か上空まで飛ばされた私は涙目になりながら自分の運命を呪った。


 っと、そこで急に体が軽くなったのを感じる。


 どうやら何らかの魔法で私の体から重さが消えたのだ。


 現状でこんなことができるのは、

「ユフィ~♪」






 まったく……、世話が焼けます。

 私は旅をしている最中にクロンから教わった闇魔法・グラビテーションを実践していた。


 対象の重さを無くし、落下の衝撃を無くす魔法として。


「慣れない事をするものではありませんね」

 私は額の汗を拭い、状態を確認する。


 闇魔法なんて今まで使ってこなかったものを使ったのだ。


 負担は大きい。


 呪いがざわりと反応した事から多様はできないと再確認する。


 クロンに教えてもらっている時の違和感は気のせいではなかったわけですね。

 今のところは問題がないので龍を見据える。


 すでにリリスとアイシスが龍の相手をしているため、私など意識の端にも入っていない。


「龍相手にこういう魔法を使うのはどうかと思うのですが……、


 我に刃向うは誰か? 我を追い詰めるは誰か?


 答えなどあるはずがない 答えなどあっていいはずがない」

 私がゆっくりと魔力を高めながら詠唱を始めると無数の魔法陣が展開されていく。


 赤い。


 ただただ、ひたすらに紅い。


 その魔力の力強さは間違えるはずもない火龍のソレだ。


 体中が熱くなっていきます……。


 ですが、聖水ごと吹っ飛ばすならこの次元の威力が必要!

 私の紅い魔力が高圧縮されて、魔法陣と式が複雑に絡み合っていく。


 全身が軋むような負担が膨れ上がっていく中、私はそれでも魔法の構成をやめない。


 本来ならもっと長々とした詠唱の言葉(半日くらいかかる)が存在するのだけど、簡単に打ち出すためにかなり端折って、覚えたものである。


 流石に全てを詠唱している程の時間は無いし、例えあったとしても山すら吹き飛ばす程の火力を使っては、こちらもどうなるかわからない。


 こちらを認識していなければ、龍眼も何もないでしょう?

 解き明かされた魔法はコピーされる。


 しかしそれは構成している段階で視認しなくては意味がないのは、今までの戦いで経験済みだ。


「それでも立つ強き者よ 弱さを受け入れども立ちあがる強き者よ


 幾月もの時を経て そなたを待った我の劫火よ


 来たる今宵は炎獄へと堕ちるだろう 大龍(だいりゅう)劫火(ごうか)

 瞬間、常軌を逸した濃度になるまで圧縮された紅い魔力がついに粒子化するまでに至ると同時に魔法陣に飲み込まれていく。


 魔法陣は白龍に向けられた側から紅蓮の劫火となって放射される。


「あちちっ!」

「わかっていても避けるの大変」

『ヴィラールの火炎だとっ!?』

 紅蓮の劫火が離れたところで戦っていた白龍を聖水ごと飲み込んでいく。


 リリスとアイリスは私の方にもしっかり意識を向けていたため、しっかり回避してくれた。


 アレをくらったら彼女たちでも死んじゃいますからね……。


 る?


 そんな危ない魔法を使ったのかって?


 ………必要でしたので。


「大規模詠唱魔法。またの名を龍王詠唱魔法でしたか? 彼の赤き龍王の劫火は龍族でも堪えるのではありませんか?」

 私は森の中に身を隠しながら問いかける。


 まあ、あくまでも再現。


 一度として戦った事がないので、どこまで再現できているのかは知りませんが。

 選ばれし者しか使えないと言われている魔法で黒魔導師と白魔導師、2つの素養を持つ者がそれに当てはまるとか。


 なぜ、自分がこんな魔法を使えるのか疑問だったけど、クロンとの職業の話で納得がいった。


 スペルブレイバーの力だったんですね。

 旅の途中で王族を救った際に国立図書館で見せてもらった魔導書の内容がどういうわけか理解できてしまった。


 あの時は本当に不思議でならなかった。


『消えぬ! 忌まわしい紅蓮の劫火め! ………聖水よ!』

 言うや高水圧ブレスが先ほど私が居た場所を吹っ飛ばした。


 それだけではない。


 再び白龍の周囲に出現した聖水が自らを焼く紅蓮の劫火を消し去り、今まで受けた傷すらも塞いでしまう。


 やはり消え難い程度に留まるのですね。

 彼の赤き龍王の劫火は対象を焼き尽くして灰塵とするまで水の中でさえ消える事はないと言われる。


「癒しの効果まであるのかぇ!?」

「魔力をたくさん消費してるはずだけど、元の魔力が多い龍だからね~……」

 リリスとアイリスが苦笑いをしながら、再び交戦を開始する。


 私は陰ながらそんな様子を見て、レベル1の風魔法を放つ。


 風の弾が、矢が、針が白龍に向かって飛んでいく。


「当たってはいますが、ほとんど無視されてますね」

 私は向こうの交戦の様子を見つつ呆れてしまう。


 龍の衣を纏ったホーリードラゴンの防御力は桁違いであり、衣に当たっただけで霧散してしまっている。


 それでもできる限り顔を狙ったりしているので牽制にはなっているように見える。


 防御突破の魔法は使えませんし……。

 世の中に結界や防壁を貫通させる技術があると言う。


 しかしである。


 あの龍の衣は果たして、結界や防壁と同じ類のモノなのかは疑問が残る。


 そうでした、クロンの無事を確認しないと。

 私はもう1人、森の奥へと薙ぎ払われ、吹っ飛ばされていった少女の事を思い出して救助しに向かう。


 彼女なら死ぬ事は無いと確信すらしているけれど、戦闘になかなか復帰してこないのはおかしい。


「いたた~……、さすがにこれは堪えますね」

 木々が薙ぎ倒され、山積みになった場所を発見した私はそこに近づく。


 すると中からクロンの上半身がひょっこりと姿を現す。


 見たところ大きな怪我は無いように見えるけど、それは違う。


 緑色の魔力……。

 クロンの身体にまとわりついているのは回復魔法を使用した後の残滓で間違いないはずだ。


 腹部の辺りの衣服がざっくり裂けている事から身動きが取れないほどのダメージを負ったに違いない。


 ただ黒いコートに裂け目がない事に疑問を感じたが、それは置いておく。


「無事でしたか、クロンっ。………かなりの深手だったようですね」

「尻尾の打撃と同時に聖属性の刃で追撃が来まして……。内蔵が破裂していたのですが、なんとか完治しました」

「相変わらず無茶苦茶ですね……」

 臓器の裂傷を短時間で回復させるのは熟練の白魔導師でもかなり厳しい。


 それを魔導師でもない中途半端な魔法の才しかないはずの魔法剣士が行うのだから無茶苦茶と言いたくもなる。


「初手で龍王詠唱魔法を使用する神経をしている方に言われても困ります。戦闘に参加したいのは山々なのですが、足の骨の修復がまだでして……」

 クロンは瓦礫の中から出てきた自分の右足を見ながら苦い顔をする。


 彼女の右足はぷら~んとぶら下がっており、とても見れたものではなかった。


「時間がかかりそうですね」

「はい、5分は欲しいです」

「たったの!? ……………クロンはやっぱり無茶苦茶です」

 私は呆れながら彼女に背を向ける。


 傷ついた乙女を見続けるのは失礼でですからね。


「行かれるのですね。………あの聖水は攻撃や防御よりも回復に特化しているようです。小手先だけの攻撃は瞬時に回復してしまうでしょう。重ね掛けをおすすめします」

 クロンは斥候時に得たデータを簡単に告げる。


「分かりました。……今回はとっておきを使っちゃいましょう」

 私は左手の薬指に嵌っていた指輪を見る。


 赤い宝石からは底知れない深さを感じさせる魔力を放っている。


 しかし、その魔力には色が無くすでに式が編み込まれている。


 マジックアイテムだ。


 妖狐さんには感謝しないといけませんね……。

 なお、なぜ左手の薬指に嵌めているのかは乙女の秘密により言えない。


 間違っても婚約している事にしているとか、そういう事ではない。


「それは……」

 目をぱちくりさせるクロン。


「素敵な方からの贈り物です♪」

 私は言って、魔法の指輪の効果を発動させる。





 超久しぶり……。



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