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73 裏社会の首領って中二心をくすぐるね






「ヘルク氏、これを持っていきたまへ。」


 そう言って俺はマッドから銃を渡された。御大おんたいからの指令を受け、この王都の裏社会でのし上がるために動くことになった。元々こちらに来る前はそういう組織を統べていたこともあり、特に問題はないが、まさかまた一から始めることになるとは…


「M-AK-47-37564だ。魔力で弾を込めることが出来る。そして、そこについているシリンダーを回すことによって、無・火・水・風・土・白の属性に切り替えることが出来る。白は小回復と、異常状態回復の効果があるから自分に撃てば回復できる。」


 俺は遠距離攻撃の手段が限られている。魔法が使えないからだ。主に魔力は身体強化に使うが、何故か今は使えない。だから、御大から依頼を受けたマッドが、その代替手段を用意してくれたようだ。


「それには魔力認証機能が付いているから、君以外は使えないようになっている。」


「手間をかけたな。」



 俺は口角を上げ、路地裏に入る。場所はなんとなく分かる。ろくでなし共が集まるところは雰囲気が違うからな…マッドは連れて行かない。奴も常人よりははるかに強いはずだが、戦闘能力は素人だからだ。まあ、俺一人いれば問題ない。




ヘルクレオス


武器:アサルトライフル(M-AK-47-37564) 攻=800(連続攻撃 6)

防具:竜馬ドラゴンホースのスーツ 防・魔防+150

アクセサリー:万薬のネックレス 異常状態耐性 大


















「ここだな。」


 まず俺が来たのは一見普通のボロ屋だ。しかし、よく見ると扉は頑丈そうな素材でできており、ドアノブも錆びていない。さらに複数人の足跡が残っている。人がよく使う施設という訳だ。こういうところは、大きな組織の窓口となっている。


バンッ


 中に入る。この場でたむろしているのはチンピラ14人に、雰囲気の違うのが2人…


「なんだテメェは!」


 雑魚は無視する。


「何とか言いやガッ」


 加減の突きで、吹き飛ばす。普通にしたら撫でただけで死ぬからだ。すると周りのチンピラ達が殺気立つ。




「何をしに来た?此処がゴルディアスのシマだと分かっているのか?」


 ソファーに座っている二人、顔に傷のある男が俺に言った。横に座っているマフラーをした女はこちらを睨んでいる。いつでも武器を取り出せる態勢だ。


 俺は空いているソファーに座り、葉巻を取り出す。そしてノルマ―に作ってもらったライターで、火を付け一服する。


フゥーッ





「おい!兄貴の質問に答えろ!!」




「………ここは今日から俺が仕切る。」


 !!?


 俺の言葉に全員殺る気になったな、それでいい…


「くたばれっ!!」


 一人のチンピラが動き出そうとした。声を出さずに黙って来ればいいものを…おれはM-AKを構え、引き金を引く。


「ぎゃぁあああ」

「ぐぇっ」

「ア″ア″ア"ッ」



 そして、立っている人間は居なくなった。


「テメェ…こんな…ことして…タダで済むと…」


 兄貴と呼ばれた男が何か言っているが、俺は倒れている奴の胸ぐらを掴み、加減の突きで、こいつを甚振る…













「もう…やめて…」


 決して死なないように何度も甚振いたぶり、自害しようとしても、白魔法の銃弾で回復と言うのを繰り返し行った。50を超えた頃、とうとう奴の心が折れたようだ。


「そんな…兄貴…」


 周りの奴らも瀕死だ。そろそろ頃合いだろう。スキルを発動する。


「どうする?このまま続けるか、俺の下に付くか?」


「付く…あんたの下に付く…」




 ”召喚条件を満たしました。”頭の中に声が響く。今回のようなやり方は俺の流儀ではないが、御大の為、手っ取り早い方法をとった。




 こいつらが俺の下に付くと宣言した以上、治療を開始する。俺は白魔法を込めた銃弾をこいつらに打ち込む。


「嘘だろ…傷が…」

「痛みが引いていく?」



「これは…」

「兄さん…私、声が…」

「アネイラ?!」



 アネイラと呼ばれた女が言葉を話した瞬間、ここに居る全員が驚愕の表情で女を見つめ、その表情のまま俺を見た。マフラーをしていたのは首に傷があったという事だろう。この銃弾は、回復だけでなく、異常状態にも効く。思わぬところで効果が試せたな。




「これで立てるようになっただろう。俺はヘルクレス。ミケーネファミリーを統括する者だ。お前らは今から俺のファミリーの一員となる。」



 こいつらは、ゴルディアスの下部組織だそうで、リーダーのデーイとその妹のアネイラ、そして、孤児時代から従っていた子分からなる、『十六の功業』と呼ばれるチームのようだ。



 こいつらからこのあたりの勢力図を聞き出した。今は主に4つの組織が王都の闇社会に君臨している。



ヒュドラ―:主に娼館を束ねている。情報網は王都の組織で最も広い。


エリュマントス:主に麻薬の流通を担っている。


アウゲイアース:一番古くからある組織で、暗殺など、多くの強者が所属している。


ゴルディアス:ボスが孤児から成りあがった豪傑で、アウゲイアースの刺客を幾人も屠った手練れのようだ。王都の孤児の7割はこの組織と何らかの関わりが有るようだ。



 そして、半年以上前に壊滅したケルベロス。これは、御大が関わったあの事件により、ケツモチの王子が失脚したことにより、勢力が激減…4つの組織に食い潰されたらしい。




「分かった。とりあえずゴルディアスに接触するか。」


「ボス、待ってくれ!スラムに大勢いる国に見捨てられた孤児が生きて行けるのは、ゴルディアスの庇護があるからなんだ!組織を潰すとアイツらが野垂れ死んでしまう!!」


「ボス、お願いします。私達もゴルディアスがあったから今日まで生きて来られたんです。どうか、どうか…」


 全員俺に頭を下げている。こいつらは俺を何だと思っているんだ…


「フゥーッ…お前らがきちんと動けば悪いようにはせん。今すぐに上の者を呼んで来い。」


 さすがに御大は孤児を野垂れ死にさせるようなことは望まないだろう。俺も不要な犠牲は作りたくはない。



 そして、デーイ含む10人で連絡を取りに行かせ、ネライアと4人のチンピラはここで俺と共に待つことになる。



「アル、イル…あいつらの後をつけてくれ。」


「「了解にゃ」」


 最初から姿を消していたアル達に指示を出す。




 さて、潰すか取り込むか…神のみぞ知るか…






ヘルクの活躍(一瞬)


 既に誰にも手に負えないほどの力を持っているので、ほとんど一瞬で戦闘が終わる。


マッド製の武器


 攻撃力は一律800と、自身の攻撃力を上げる装備ではないが、2000を超える攻撃力を持つヘルクは、撫でただけで人を殺しかねないので、この武器が与えられた。この世界では鎧ごと人を粉々にする威力があり、それでも殺さないようにするために、加減の突きを発動させながら撃っている。


加減の突き


 不殺のスキル、突きとなっているが、別に突きでなくとも不殺の効果がある。魔力を消費する技であり、M-AK自体が魔力を用いて使用するため、銃弾にも不殺の効果が込められる。


召喚

 相手を屈服させることが契約を結ぶ条件、ゲームの中の効果と若干違う。十六の功績に掛けたスキルだが、その効果は、


・離れていてもある程度方向が分かる。


・配下が危険な状態であると分かる。


という効果が出てきている。


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作者の別作品もよろしくお願いします。 終末(ヘヴィな)世界をゆるふわに!
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