56 卒業試験の通知
冬也の降魂術の説明回 短いです。
用語説明
中二分析:中二病患者特有の視点から物事を分析すること
(出典:新世紀言語辞典 1998年 与太書籍株式会社)
今日で修業を開始して1年経った…自分でも分かる。今の俺は強い…
「まだ調子に乗っとるのか?」
「申し訳ございませんでした師匠!!!」
俺は土下座した。
「ほっほっほっ、自信を持てたのならばよい、冬也よ…よくぞここまで来た。明日は卒業試験じゃ。」
卒…業…?
「明日の試験に合格すればもうお前の魂が壊れることは有るまい…必ず試験を突破するのじゃ。今日はトレーニングは無い。明日に備え、休むなり、どうやってゆくのか考えるがよかろう…そう皆に伝えておけ…」
そしてじっちゃんは去って行った。
「という訳で試験に合格すればこの地獄は終わりだ!」
俺は皆に伝えた。
「社…長…本当…ですか?本当に…うおおおおぉぉぉぉぉ」
「わあああああぁぁん」
「にゃんにゃんにゃにゃん」
「えぐっ…ずぴー…ぐすっ…」
皆涙を流して喜んでいる。俺もとうとうここまで来たという充実感に溢れて叫びそうだ!
「今日は1日トレーニングは無い!明日に備えろと師匠は言っていた。」
そして、各々明日に備え、休み無奴もいれば軽い運動で体をほぐす奴、瞑想する奴…
「明日はこれまでの集大成だ。きっと今までで一番過酷になる…今の内に降魂で魂を体に馴染ませるか…」
俺はこれまでの修行で、同時に10の魂を降ろし、瞬時に使い分けることが出来るようになった。そして、その魂の持つ力も把握できる。
・宗次の魂:戦争経験者、九九式軽機関銃の扱いが唯一出来る。抜刀術、戦場格闘技を使える。俺と一番相性が良い
・アリアの魂:知性あるモンスターや住人とのコミュニケーションが取りやすくなる。全世界全言語・文字翻訳のスキルを使うために降魂された魂。俺との相性は非常に良い
・真神族の魂:別名真狼族、非常に優れた反射神経と動体視力を持つ。俺が使っている「超反応」は、この真狼族の力を降魂して得ている。以前は非常に心身に負担が掛かったが、今現在は俺が受け入れられるほどに成長したため、その力を存分に引き出せるようになった。
・月精族の魂:凄腕の狩猟神族の血を引くと言われる者達、狙った獲物ははるか彼方から射った矢でも楽々と仕留める。俺が銃や魔法で使う「マーキング」の能力は、彼らの魂を降ろして得られた。また、狩りに必要な周囲の状況把握や、気配遮断のスキルも彼らの力である。
・大魔導士の魂:かつて、その力で世界を統べた最強の魔導士の魂、あらゆる魔導に通じ、彼に扱えない魔法は無いとまで言われていたらしい、その魂は神代の住人と同等の位階に達しており、最も俺の魂に負担をかけていた。現在は十全に使いこなせるわけではないが、1月程度なら連続で降ろしても問題ない。
・雷真族の魂:かつて雷神と呼ばれた神の血を引く一族、雷神が人との間に子を儲け、その子に自身の格闘技を伝え、一族はその究極の格闘技を子々孫々へ伝えている。「魔纏術」は彼らの技術を応用したスキルである。俺は、武御雷に関係あるのではないかと中二分析をしている。
「いやほら、武御雷って古代相撲の神様じゃん?古代相撲って総合格闘技だし…」
この6つの魂が常に冬也の中に入っている状況である。入っているだけならば、今の俺にほぼ負担は掛からない。そして、あとの4つの枠を、臨機応変に入れ替えたりしているのが現在の状況である。
俺はひい爺ちゃんとひい婆ちゃん以外の魂を体に降ろす。
「くっ…やっぱり4つ同時はまだきついな…」
少しずつ彼らの魂を深く降ろしていくそして、自分の中に取り込む…未だ1割も取り込めていない…じっちゃん曰く、100%取り込めるようになれば、降魂しなくても彼らの技術は既に自分のモノになっているらしい。恐らく隠しステータスの熟練度の事であろう。
PGにはスキルレベルと、数値に現れない熟練度というものがある。攻撃系スキルなどは分かりやすいが、魔法で言うと、LvMax同士の魔法で同じステータスの者でもダメージの数値が違うという現象が起こる。それは、その魔法をどれだけ使用したかということが関係すると、有志達が発見した。恐らくこのシステムも、自分の中に魂を取り込むということを、代わりとしているのであろう。
この世界に来る時に望んだ能力…その源が、この降魂術でほぼ説明できるとじっちゃんが言っていた。実際そうなのだろうな…だからこそ、この1年で身に着けたこの技術は俺の固有スキルだ。なんとしても明日の試験、合格してみせる!!
「もちろん皆でな…」
いつの間にか夜になっていた。魂も体に馴染んでいる。準備は万端だ!皆で食事をとり、風呂に入って、寝る。そして夜が明けた。
「行くぞ皆!!」
「「「「応!!」」」」
どんな試験だろうが突破してやる!!
修行中
猛虹「なにぃ~?雷真族の魂を降ろしている?」
冬也「…駄目だった?」
猛虹「別に良いんじゃないかのう?」
冬也(ほっ…俺の考えじゃぁ、敵陣営の神だったしな…じっちゃんの反応から見てまず間違いないだろう。そりゃあ、面白くはないだろうが…あまり気にした様子はなさそうかな?)
猛虹「せっかくの能力じゃ、奴らの魂をこき使ってやれ。」
冬也「分かったよ!」
猛虹「今日も楽しくなりそうじゃ…くっくっくっ」
その日は特別大きな冬也の悲鳴が響き渡ったそうな…




