53 蛇神ブートキャンプ
ドサッ
「今日の訓練はこれまで、明日は朝5時から始める。」
そう言って土偶に乗り移った蛇神が言う。あのじじい…いつかヤる!
「と思ったが、まだ元気そうじゃな?あと5セットやる。」
「もう勘弁してえええええええ!!!?」
そして、今日も樹海に俺の絶叫が響き渡る。時刻は夜の10時である。
俺自身の魂の修行のため、この世界に来た時の能力は全て封印された。一応車は樹海まで乗った後に、セバス達が持って行って管理してくれている。車の中はLvが上がったことにより、空間が拡張され、ショップの建物カテゴリーで、アイテムショップや治療院等を選び、車内に配置してある。これにより、俺が居なくてもアイテムを購入出来る。
そして、今俺が持っているのは、何もない…スマフォも取り上げられ、週1でしか返してもらえない。今の俺は山田より弱い…そんな状態で始まった修行だが…
「健全な魂は健全な肉体に宿る。これから毎日訓練じゃ!」
「でもじっtグエッ?!」
「誰がじっちゃんか!!師匠と呼べっ!!!」
そして、地獄が始まった…
「169…170…ハァ…ハァ…171…」
初日から腕立て200回×3セット
「グッ…102…103…」
20kgの石を抱えてスクワット300回
「どうした!!そんな鈍間な動きじゃこの樹海では生き残れんぞ!!!」
フラフラな状態で30kmマラソンin樹海…
初日は水浴びしてすぐに寝た。飯を体が受け付けない…気絶に近かった。
「あああああああああ」
俺は次の日、筋肉痛でのたうち回れないほどの激痛を味わっていた。
「社長…ここでお別れですね…頑張ってください…」
山田も同様だ。というよりマジで昇天しそうである。顔が土色だ…
「にゃ~~~」
「にゅ~~~」
「にょ~~~」
アル達は未だに意識が戻っていない…
そして、俺達に用意された小屋の扉が蹴飛ばされた。
「いつまで寝とるんじゃ馬鹿モン!!!」
「j、師匠…体が…動かないです…」
「ふんっ!!これで動くじゃろ?」
じっちゃんが回復魔法を使ったようだ…痛みが消えた…
「貴様ら…師匠たるワシを待たせるとは…こんな愉快な気分は久しぶりじゃ…この楽しさを今日は存分に伝えてやる。クックックッ」
俺は死を覚悟した。
2日目
腕立て200×3セット
師匠の掛け声で静止しなければ鉄建制裁…3セット目で、肘が90度に曲がった状態の時にやられ、5秒経たずに崩れ落ちる→3発殴られた後に治療
腹筋500回
200回あたりで動けなくなり鉄建制裁。治療。後継続+もう1セット…
「もう嫌にゃ!!!俺はこんなとこから出て行ってやるにゃ!!!!」
アルが訓練中に我慢できずに逃げ出した。
「マダム」
「はい」
「ヤれ」
「うにゃああああああ??!」
クリーントロル…神域の住人にして古参の一人、身長4m、体重推定「乙女の秘密を暴くのはだ~れ?♡」…その名は「マダム・デラックス」、住人達にはマダムと呼ばれている。
種族的には妖怪のアカナメと近いらしい…すなわち…
「美味しそうな坊やね♡あーん!」
アルはその大きな口に飲み込まれた。口の中でモゴモゴされている、あわわわわ
ぷっ…どさっ
「「「「アルウウウウゥゥ!!!?」」」」
「もう…お婿に行けないにゃ…」
「ほっほっほっ修行は真面目にせんとな?」
そしてマラソン50km、ビリはマダムの口の中へ…この日は消耗していたアルが犠牲になった…
山田は何とかもう少し訓練内容を改善して貰えないかと、師匠にお願いしに行った…頼んだぞ営業部長!!
2日目の夜
「社長…無理でした…」
「……皆で逃げよう…」
「社長!?何を言ってるんですか!!」
「正気にゃトーヤ?!」
「アルへのあの仕打ちを見てどうやったらそんな考えが持てるにゃ?!」
「暗いとこ怖い狭いとこ怖いヌメヌメ怖いにゃ…」
「今だからこそだ…」
正直あれは予想していなかった。これから毎日マラソンでビリはマダムに食むられる!!?そんなの俺の思っていた修行じゃない!!それに、このまま続けば抵抗する気力、体力が無くなることは確実、反旗を翻すなら今しかない!!
「この2日で…無理矢理回復されたおかげで俺達の体は一昨日よりはるかに丈夫になった。逃げるならば今!!」
「社長…」
「「「トーヤ…」」」
「どうだ?今日の内容は明らかに昨日よりもハードだった。明日はもっとキツくなるぞ?」
「そう…ですね…」
「五体満足の内に」
「全員で逃げる」
「誰が捕まっても恨み無し」
「ああ、誰かを犠牲に誰かが生き残る。」
「やりましょう!そして…可能ならば皆で生き残る…決行は皆寝静まる3時以降が良いかと…」
「それでいい…皆…行くぞ!!」
「「「「応!!!」にゃ!!!」」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そろそろあ奴らが逃げ出す頃かのう…ライカン、皆に準備させておけ…」
「長…本当に?それに訓練の内容が、子供の体には厳しすぎるかと…」
「トーヤの魂の位階を上げるためには、まず今までの自分を捨てねばならん、つまり心を壊して一度人形のようになるのが一番効率が良いのじゃ。何の負担もかけずにやると、目的の強さまで10年は掛かるぞ?余計な感情は要らぬ…そんなの目的を達成してから得ればいいのじゃ。じゃから特大の絶望をくれてやれ…クックックッ」
「…承知いたしました(トーヤ…すまん…)」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「皆こっちっす!!」
「山田!!早いにゃ?!」
「もう少しゆっくり!!」
「周りの気配をよく探るにゃ!!」
山田がやる気を出している。なんでも分かれるポイントまでは皆で行動することになるので、見つかる確率が高いためだそうだ。
「この神域には柵が無いです!代わりに、通れる道が決まっています。だからこそ、神域と樹海の境目には早めに行かないとダメなんです!!じゃないと皆別れて逃げられない!!一網打尽にされます!!」
理屈は分かるが、もう少しペースを落とさないと肝心の体力の消耗が激しすぎる!未だ皆が寝静まっているからこそ慎重に移動し、体力を残すべきだ!
「あともう少しです。そこで休憩しましょう!」
そして5分後、目的地に着いた。
「はぁ…はぁ…少し休憩してから手筈通りに皆で散りましょう…」
「そうだな…はぁ…はぁ…」
「「「疲れたにゃ~」」」
アル達も腹を見せて倒れこんでいる。それぞれのおなかを撫でてやる。
「にゃ~~~」
「あああ~~~~」
「や~め~る~にゃ~~」
少しはリラックスできたようだ。
「社長、少し用足しに行ってきます。」
「ああ、あんまり遠くには行くなよ。」
そして、山田は草陰に行った…
俺はそれを見上げる。すごい星の数だ…たった二日だけど…リンやリーナ達に会いたくなってきたな…どうやら厳しい訓練で俺の心も消耗しているらしい…満天の星空を見て、そんなセンチメンタルな気分になる。
「ぎゃあああああああああぁっ!!!」
「山田?!!」
「何にゃ??!」
「尋常じゃない叫びにゃ!!」
「もう手遅れにゃ!!皆逃げるにゃ!!!」
すまん、山田…
俺達は散り散りに逃げ出した。
「ぎにゃあああああーーーーーっ!!!!」
イルがヤられた!!!
「いやにゃあああああああぁぁ!!!!」
ウルッ?!
「ライカン?!そんにゃ!!!やめるにゃあああああっ!!!」
ライカン達まで追っ手になっているのか?!マズイ!!ここはひい爺ちゃん直伝の隠形を使う!!無いよりマシだ!!!
そして、俺は気配をできるだけ消しながら走る。もう1時間は走った。まだ樹海に入らないのか?!
「?!!」
慌てて止まる。そして…
(囲まれてる?!)
すでにライカンや他の住人達に囲まれていた。
ドシンッ…ドシンッ…
「?!マダム~~~~っ!!!」
背後からはマダムが…
「こんな時間に皆で自主的に訓練か?精が出るの~~どれ、ワシらも手伝ってやろう。」
ライカン達の後ろから土偶に乗り移ったじっちゃんが現れた。
「お、お構いなく…それよりも…何で皆がここに?」
「トーヤ…それは…」
「ほっほっほっ、ワシが皆に頼んだのよ。」
「な…何で…」
「お主の目がまだ死んでなかったからじゃ?」
何を言っているんだこのジジイ…?!
「ほれ、山田君、前へ」
「……」
「や、山田…?」
何で山田が…訳が分からないよ…
「山田君に今日、訓練の内容を変えてほしいと相談を受けてのう~、最近暇じゃったから面白い余興を披露してくれたら良いぞという約束をしたんじゃ。今のお主…なかなか面白い表情をしておるぞ?かっかっかっ!!」
「社長…すみません…逆らえませんでした…」
俺は…最初から…嵌められていた?!
「う…そ…だろう?なぁ?山田…」
山田は目を逸らす…俺は受け入れざるお得なかった…
「ぐ…ハグゥッ…っ!
馬鹿野郎ーっ!!
山田 誰を売ってる!?
ふざけるなーっ!!」
俺は今醜態を晒しているだろう…だが…信じていたも者からの裏切りを知れば誰だってこうなる!!
「冬也…褒美じゃ…マダム」
「は~い♡」
「やめろ…来るなぁ…」
「うふふふふっ♡」
「うわああああああああああああああああぁぁぁ!!!!」
俺は捕食(意味深)された…
皆…俺…汚されちゃったよ…
とある少年を想って星空を眺めていた少女たちは、空から落ちていく星を見たのであった…
作者に言えることは一つだけ…
まだサクランボを狩る時期ではない




