52 異世界召喚
その日、私の運命は変わった。
私は何処にでも居る女子学生、世間一般で言うところの結構いいところのお嬢様です。成績も上から順に数えた方が早いです。昔から付き合いのある友達も多いです。その日もそんないつもと同じ日常でした。
「ねぇねぇ、こんな手紙貰っちゃってさ!」
「これは…ラブレター?!」
「そうそう、でね?その相手がさ、前からずっといいと思ってた人なの!あんた服のセンスいいでしょ?可愛い服を選んで!!」
「そんなの自分で選びなよ…」
「私のセンスは知ってるでしょ?相手がドン引きしちゃうよ?あんたの所為だよ?」
友人は危険な気配を出していました。なんと理不尽な事でしょう…確かにこの前一緒に買い物に行った時には、とても年頃の女子が着ない黒い半ズボンに紺ソ、ローファー、そして白いパーカー…胸には γοητεία とか訳の分からない文字…背中にはやたらリアルなウサギのプリント…
会って30分で用事が出来たとすぐに逃げ出した記憶があります。だってあり得ないでしょ?!何あの珍獣っぷりは!!こんなのと友達に思われたくない!!
「…学生服で行ったら?うちの学校のブレザーって可愛いって評判じゃん?」
「休日に制服ってあり得ないでしょ?学校行かないのよ?」
抵抗むなしく私は買い物に付き合わされることになりました。
「あんたが選んだものを身に着けた子は、彼氏ができる確率100%だからね!しかも相手から攻めて来てるんだよ!確率はダブルスコアでしょ!!」
そんなジンクス知りません。それに私には…くっ…
「爆発しろ…」
「嫌よ!素敵なデートになったらちゃんとお礼はするから!!」
それってつまらなかったら何も私にメリットが無いってことだよね…何でこいつと何年も付き合ってるんだろう…
「……ジーパンに革のジャケット、ブーツにトゲ付き肩パッド…後はオープンフィンガーグローブにヘルメットでいい?」
「何でそんな世紀末仕様?!真面目にやってよ!!」
「やる気が出なくて…でも七つの傷をつけるのはやる気満々だよ!」
「乙女に何しようとしてるの?!もっとやる気出してよ!私の恋の為に!!」
なんだかんだと無難に選んで別れました。もうご飯の時間です。
「早く帰ろ、皆も心配してるだろうし…」
家族みんなが私に対して過保護なのは如何なモノでしょう?
そう思っていた時でした。足元が急に光りだしました。
「きゃっ!!なに?!」
そして、私の意識は暗転しました。
「やったぞ!!!とうとう異界から召喚できた!!!!これであの国を潰せる…クックックッ」
…ここは…
「彼女も起きた様子です。」
「君には我が国のために働いてもらう。まずはあのクソガキから始末してやるか!」
え?何此処?周りが…石でできた部屋?男が二人居る…これって拉致!?
「おい!殿下がそう仰っているのだ!!聞いているのか!!!?」
「ひっ」
年をとった男が怒鳴ってきます。私はあまりの恐怖に身を竦めました。
「君を呼んだのは私だ。はるか昔に存在した魔法を使ってな…異界から召喚した者は、特別な力を持つというが…」
「おい、どんな力をお前は持っているんだ?答えろ!!」
「知らない!私にそんな力は無いです!!だから家に帰して?!」
「無理だな。この魔法には送還する方法がない。君は我々の為に一生働いてもらう。悪いようにはしないさ。」
「戦い?!無理です!!私にそんなこと出来ません!!」
「嫌でもやってもらうさ。後そんな口答えをしていいと思っているのか?お仕置きだ。」
「え?い、いやぁぁぁ!!!?痛い痛い痛い???!!!」
全身を激しい痛みと熱さが襲います。私は泣き喚きました。でも、止めてくれません。どれくらい経ったでしょう。何時間もそんな苦しみを味わっていたような気がします。抵抗する気力もおきません。
「もう一度問う。我々のために働いてくれるな?」
「…はい…精一杯やらせていただきます。だから…痛くしないで…」
お父さん、お母さん、お兄ちゃん…助けて…
これでシリアスパート3は終わり
次回からはコミカルパートになります。




