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43 冬也VS…

ドンッ


「グッ…ブァッ…」


 また一人血を吐きながら倒れた。これで13人…後9人か…


 マップを開くとその9つの光点が、泉に集まっている。


「丁度いい、一気に殲滅だ。」


 俺は回復薬を飲み、HP、MPともに全快してから向かう。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 いったい何が起こっている?








 俺たちブリガンテは、ガハマカタラの「草」だ。いつもはギルドの依頼をこなしているが、今回は本国からの指令で、居るかどうかも分からない樹海のドラゴンや希少種を襲い、反乱を起こしてミトリーの街を襲撃させろ。なんて無茶振りをしてきやがった。



「そんな依頼有り得ねぇだろ!」


「だが、従わない訳にはいかない。それに一度受けた依頼は完遂させるのがプロの仕事だ。」


 リーダーがこんな調子だから、いっつもヤバい依頼が舞い込んでくる。なんでも本国からの報告で、知能の高いモンスターは、その身内を傷つけられたりすると、徒党を組んで人の多いところに攻め込んでくるという実験があったそうだ。


 で、今回もそんな眉唾な話を信じて、眉唾な存在のドラゴンを探し、さらにその身内を傷つけてミトリーを襲わせる。迂遠すぎて馬鹿らしくなる。



「仕方ないだろう。それに失敗ありきの作戦だ。なんでも100年以上前の資料が見つかったとかで、その実証実験の為にこの樹海で試すらしい。」


 本国からも遠く離れており、消えてほしい街がある。成功すれば儲けもん、失敗しても別に痛くはないか…




 そんなわけで、まぁまぁの実力を持つ討伐者をスカウトして、数人に分けて探索した。そして、暫くたった時に、街で大取物があったようだ。詳しくはかん口令が引いてあり分からないが、俺達にはあまり関係ないだろう。そして、さらに日が過ぎた時、とうとう見つけたようだ。


「本当に居たのかよ…しかも狼人族と、猿人族までいるぞ…」


 どれも闇に売れば相当稼げる。そして、俺達はそいつらを捕獲するために攻撃した。やはりドラゴンは強い。もし伝承通りにブレスを使われていたら、俺達は全滅していただろう。だが、此処は森の中だ。少しずつ追い詰め、別のグループと合流し、少しずつドラゴンを削る。そして、ようやく弱ったと思った時、見えない敵に襲撃を受けた。


 姿は見えないが、物凄い殺気だ。


「お前ら散れ!!!!」


 そうリーダーの奴が指示を出し、俺達は一目散に離脱した。


「なんだあれは!!?」


「分からん、だが、今のままではマズイ、他のグループと合流するぞ!」


 そして、俺達は1級討伐者だけに配られる魔道具を使い、泉に向かった。途中でベクターのグループにあったため、一緒に移動している。


「ベクター無事だったか。」


「ああ、何があった?」


「分からん、凄まじい殺気を放つモンスターが居るようだ。攻撃が見えなかった。」


「仲間は誰かやられたか?」


「ああ、ドイル含む3人はもう駄目だろう。早くオルトのグループと合流して、離脱するぞ!!」




 ドイルは2級討伐者だ。たまたまあった途中の町で仕事を持ちかけた。此処にはブリガンテのメンバーが4人そろっている。早くほかの二人と合流しなければ、そうすれば腐っても1級…撤退することぐらいできるだろう。




 そして、


ぐちゃっ


そんな音がして目の前が暗くなり、いつの間にか意識は無くなっていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


バシャッ、バシャッ



 俺は今、泉の周りを水属性の玉で濡らしている。相当な範囲だが、奴らは作戦会議をしているのか、その場から動いていない。好都合だ。こうしていれば、延焼も抑えられるだろう。


 そして、俺は次に魔力を込めた火炎弾を泉の周りの木に放つ。


「なんだ?!」


 生き残った奴らが周りを警戒している。でも俺は見えないだろう?俺は木の枝に乗って、そこから銃でねらいをつける。


ドドドッ


 よし、3人倒れた。一人魔術師みたいなのが居たのでそいつは残す。すると、予想通り、かなりの魔力を使って水の魔術で火を消した。そして、そこから脱出しようとする。当然そんな量の水を使うと周りは水浸しになる。さらに俺が水を撒いているため、そこかしこに水溜りが出来ている。


 俺は、雷撃魔法を弾に込め、狙いを付けずに奴らの方に打ちまくる。


「ギャッ!」

「グッ」

「アアアアァァ」

「クソッ!何なんだ。」

「おい急いで離れるんだバッ」


 これでまた一人減った。残り5人、そして奴らは動けない。ここからさらに弾を打ち込む。


「アボッ」

「グジャ」

「ビエッ」


 そして、まともに動ける者はいなくなった。あ、また一つ光点が無くなった。これであと一人…俺はそいつの所に行く。


「はぁ、はぁ、お前の…仕業か…」


「ブリガンテだね?死んでもらうよ。」


「何故俺達を狙ぶっ」



「無駄なお喋りをするつもりはないんだ。」







 これで敵はすべて倒した。思ったより呆気なかったな…俺は周りの消火をするために、水魔法を使って消す。一応回復薬も飲んでおくか。






ガサッ


「ん?」


 新手かと思って振り返ると、そこにはリーナやリン、セバス達やティア姉さんまでいた。何でこんな所にいるんだ?



「トーヤ様?」


 リーナが呆然としながら話す。他のメンバーも同様の表情だ。


「リーナ?それに皆も何でこんな所にいるんだ?あ、そうだ。ブリガンテや仲間の討伐者はこの通り皆殺しにしたよ。」


 俺は自慢するように奴らの死体を空いた方の手で掴みあげる。


「「「「「ッ?!」」」」」




「社長!?無事ですか!!」


 山田と佐藤、それにりゅうとライカンもこちらに来たようだ。


「ああ、きちんと皆殺しにしたよ。」


 重たいなこのゴミ、俺は掴んだそれを無造作にその辺に投げる。




「冬也君じゃない!あなたは誰ですか?!」


「?俺は冬也だよ?何言ってるのリン?」


「違う!!冬也君はそんなことしないわ!!」


(だから何を言っているんだこいつ?イラつくな…殴ってもいいかな?…あれ?何でリンを殴るんだ?ダメだろ。)


 俺は思わず銃を握った手を見る。


(このままだと危ないな…)


 銃をマジックボックスに入れ、再度リンを見つめる。


「?!冬也君!!」


 だから何なんだよ。


「一体何なんだよリン、お前は何を見てるんだよ、まったく。」


 その瞬間背後で何か動く気配を感じた。


「ご主人様、お疲れのご様子ですね、少しお休みください。」


 セバスが俺の首に手刀を当てようとしていた。それって、気を付けないと結構危険らしいぞ。まぁ、セバスなら加減は完璧だと思うけどね。


 俺は超反応で、セバスの手を掴み、頭の上に引っ張る。そして、空いたわき腹に肘打ちをくらわす。


「ぐっ」


「トーヤ落ち着け!」


 ライカンも背後から俺を捕まえようとしてくる。俺は小さな体を生かし、ライカンの股をくぐる。そして、彼が振り返ったところで、オーバーヘッドの要領で、つま先を喉に打ち込む。


「ギャァ」



 すると皆構える。何なんだよ。俺はお前達とやる気は無いのに…不本意ながら第2ラウンドの幕が開けた。












 まず狙うのは心理誘導を使う山田だ。これは、戦闘に用いれば、相手の気を一瞬逸らす効果がある。ティア姉さんや、リンなどと相手にするときに、非常に厄介だ。俺は山田に近づき、ジャブを放つ。そして、当たる寸前に止め、防御しようと腕が上がり、ガラガラに空いた脇腹に右フックをくらわす。


 そして、蹲ろうとなった山田を掴み、こちらに近づく佐藤に向かって投げる。





「プロテクションシールド!!…キュア!!キュア!!キュア!!」


「!?」


 ティア姉さんが、全員に防御魔術を施したようだ。さらに、セバスやライカン、山田を治療している。


獣神憑き(トランス)!!ハッ!!」


「よっと!そっちの姿も可愛いなリーナ。」


 なまで初めて獣神憑き(トランス)をみたが、なるほど、猫耳神みたいに髪が白くなり、耳が少しとんがったな…しかも今は火属性まで纏っているらしく、熱い。ただ、まだ体が未熟なのか、ライカンやセバスに比べても遅い、俺は突進してからの手刀を難なく避ける。


「ごめんなさい冬也君!緊縛術!!」


 リンの炎の鞭が俺の体に巻き付こうとする。


「魔纏術・水」


 俺は全身、靴の裏まで水の魔力で覆う。


「ティア姉さん!!」


「ええ、リンちゃん!ごめんなさいトーヤ君…ショック!!」


(それは読んでいた。だから水で覆ったんだ。)


 一般的に水は電気を通す。それは、水道水などの中には、H2Oだけではなく、他の物質も混ざっているためだ。ナトリウムイオンだったか?まぁそんなのが入っている。


 だが、この魔法は俺のイメージによって、H2Oだけで構成された純水だ。討伐者達をしとめるためには森や地面に撒き、不純物を混ぜた。だから雷撃魔法も効果的に相手にダメージを与えられた。しかし、今俺の体を纏っているのは紛れもなく純水だ。したがって、電気を通さない。だから効かない!


「なっ?!」


「うそ?!」


 俺はリンの拘束を破り、ティア姉さんに迫る。


「ご主人様!?」


 セバスが立ちはだかる。俺は顔面にパンチするように見せかけ、寸前でしゃがみ、若干前に出ている右足を蹴って払う。そして体制を崩したセバスの顎に、立ち上がりながら掌底を当てた。するとまたしても背後からライカンが手を伸ばしてきた。体をひねって、その手を掴み、一本背負いで、投げる。


「くっ?!」


そして、その無防備な延髄に、蹴りを入れる。


「ぐあっ?!」


「ガウッ!」


「?!」


 りゅうが、俺にのしかかる。進化したりゅうは、全長2,5m程になっており、相当重くなった。なので俺は逆らわず、膝の力を抜いてしゃがむ。


「ガウッ?」


 そして、りゅうの大きい体が地面に付く、するとわずかだが俺とりゅうの間に隙間が出来た。それと同時に今度は脚に力を入れ、体当たりの要領で背中を当てる。所謂「鉄山靠てつざんこう」と呼ばれる八極拳の技だ。ひい爺ちゃんに見せてもらって練習したが、いままで出来たことはなかった。


「ガッ?!」


 が、初めてできた。昔は漫画みたいなコンクリを砕くほどの威力を目指したんだが、もう一度練習してみるか?



「フレイムブリッツ!!スパーク!!ウインドショット!!」


 ティア姉さんが魔術を使ってくる。炎の弾丸を避けた後で、範囲攻撃、そして動きが止まったところで風の弾丸か…


「エアニードル」


 炎と電撃は魔纏術でどうにでもなる。だから、ウインドショットを俺のエアニードルで撃ち落とす。エアニードルは30本の尖った空気の弾丸だ。


「そんな!きゃっ?!」


 さすがティア姉さん、魔術は魔法に比べて威力は低いはずなのに、俺のエアニードルを20本以上打ち消した。さすがに魔攻が1000以上高いだけある。あと、魔防も高いので、致命的な事にはならないだろう。


「お母様!トーヤ様、いい加減にしてください!!」

「冬也君!!」


 リーナが突進し、リンが後ろから迫る。俺はリーナの方に向かっていき、交わる寸前で軸足を起点に回ってリーナをやり過ごし、リーナに迫る。ちょうど反対側に居たリンはリーナを壁にして、時間を稼ぐ。


「え?」


 リーナが慌てて振り返り後ろに下がろうとした。だが俺はリーナの足の甲を踏みつける。


「きゃっ?!」

「え?」


 リーナが体勢を崩し、そのリーナを受け止める形になったリンもバランスを崩す。


「ふんっ!!」


 そして、リーナに殴りかかる。が…


「え?リーナ?リン?」


 目の前には、呆けた顔の二人が居た。周りを見てみると、皆傷ついている。


「???」


 何で俺が皆を攻撃しているんだ?


「何があったんだ?」



 訳が分からない。


「トーヤ様?」

「冬也君?」


「ご主人様?」

「社長?」

「主…?」


「トーヤ君…」

「トーヤ?」


「ガウ?」



 皆も訳の分からないといった顔だ。



 なんでだ?皆が攻撃してきたから?だからこちらもやらなければいけない?そうだ。やられる前にやらなくては…


「駄目!冬也君!!」

「トーヤ様駄目です。」


 二人が、悲しい顔をして俺に抱き着こうとする。こんな二人を殴ってはいけない。俺は下がって二人を避けようとして、


ゴッ!!


 頬に凄まじい衝撃を受け、吹っ飛んだ。





「冬也君!!」

「トーヤ様!!」




「少し遅かったが、何とか間に合ったか。冬也、もう大丈夫じゃ。」



 そこにはよりスリムなデザインの土偶を依り代としたじっちゃんが居た。






 






こちらの短編も投稿してます。チートモノです。暇つぶしに読んでみて下さい。


自称勇者で他称魔王 ー呼ばれてないけど来てやったぞー 前編

https://ncode.syosetu.com/n7440eq/



自称勇者で他称魔王 ー呼ばれてないけど来てやったぞー 後編

https://ncode.syosetu.com/n7449eq/


作者マイページからも行けます。



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作者の別作品もよろしくお願いします。 終末(ヘヴィな)世界をゆるふわに!
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