38 パーティー後からミトリー帰還まで
ケットシーへの報酬
俺は、彼らの働きに報いるために、ショップで料理を購入する。今回はトリ料理の中で最も高いものの一つ、北京ダックを彼らに振舞うつもりだ。会場から出て、タリアの護衛をセバスとシルバに任せ、アル達に渡す。
「にゃにゃにゃ!!!」
「にゃんにゃにゃん!!!」
「これは美味しそうな丸焼きですね。」
相変わらずウルはテンションが高くなると、言葉遣いが変わるらしい。
「北京ダックって料理だよ。多分付け合わせは猫には合わないから、それは取り除いておいたよ。この甘辛いタレに付けて食べてね。後マタタビの粉末もかけておいたよ。」
さて、気にいるかどうか分からなかったから、一つしか用意していないが、どうやら大丈夫みたいなので、あと二つ買わないとな。それと買い物しすぎたみたいだ。もう8万しか残っていない…また稼がなくては…
「……」
「……」
「……」
おや?三人が睨み合っているぞ?
「今…雌雄を決する時…」
「お前達ともここでお別れにゃ…」
「北京ダックは誰にも渡さないにゃ…」
「いや、皆の分も用意してるぞ。」
どうやら仲間割れが起こりそうになっているので、慌ててそう説明する。ってこいつら聞いてない!!
「ケット神拳は一子相伝…いつかこうなると思っていたにゃ…」
「なに、いつかこうなるのにゃら…」
「理由がある今が決着の刻にゃ…」
ケット神拳?!一子相伝なのに3人に教えたの?!あの「世紀末の拳」みたいな感じか!!
「ケット神拳奥義!ケット猫爪にゃ!!」
ただのひっかきだ!?
「奥義!ケット猫猫両斬にゃ!!」
これもただのひっかき!!?
「無双猫生!!!」
やっぱりただのひっかき!!!
「「「ニャアアアアアアアアッ!!!」」」
…………
そして、そこには3体の猫が横たわっていた。
「やっぱり俺達にはこの結末がお似合いにゃ…」
「なんで皆で仲良く食べられないのかにゃ…これがわっちらの宿命にゃのにゃ…」
「もう動けにゃい…おいらの墓標ににゃはいらぬ…」
「いや、皆の分用意してるって!!」
「「「にゃ?!」」」
「何で1つしか渡さないと思ったんだよ、お前達の働きに報いたいけど、好みが分からなかったから一つしか出してないだけで、皆の分はあるよ、あと二つ用意するから待ってて。」
「~~~っ」
「トーヤ!!!」
「大好きにゃ!!!」
そして3人は勢いをつけて抱き着いてきた。
「いてぇ!!痛すぎるから爪はひっこめろ!!!」
こうして、同行者が3人増えたのだ…
「ところで、皆はオスなの?」
「見て分からにゃいのかにゃ?」
「アルとウルが雄型で、」
「イルが雄型にゃ!!」
「「「つまり全員雄にゃ!!!」」」
「何で分けて説明したんだよ。」
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親友たちの門出 翌日のお茶会
「タリア、幸せになってくれ。」
「素敵な告白でした。まさに『タリアの騎士様』でしたわ!」
「ぐぬぬぬ…」
マリアスが憎くて仕方がないですわ。それも純粋に祝福してるから質が悪いのです。メリナは少し小悪魔系になっています。指輪の効果で体調も問題が無くなった為か、いつものお嬢様然とした振る舞いの中に、年相応の元気さが出てきたようです。そしてそんな友人達に、口では説明できない複雑なこの気持ちをどう表現したらいいのか分かりません!でも一つ言えることは、
「マリアス、あまりそういうこと言うと、潰します。メリナとの間に子供は欲しいでしょう?」
私は今、どの様な表情でいるのでしょうか?マリアスは青ざめて、メリナは赤くなっています。あまり人を揶揄うものではありません。
「…」
リーナが黙ったままです。
「如何なされましたか?」
「いえ、なんでもありません。」
「具合でも悪いのかい?」
「確か体調不良で昨日のパーティーに参加できませんでしたね。リーナ、無理はなさらないで下さいね。」
「体調はもう大丈夫です。…メリナ様、マリアス様…」
「はい。」
「なんだい?」
「幸せになって下さいね。」
「ええ、ありがとうございます。」
「もちろん、必ずメリナを幸せにするよ。」
「マリアス君…」
「ふふっ」
どうやらリーナは元気が出た?ようです。何か悩みが無くなったような…何なのでしょうね?これは…
「お姉さま、私、お姉さまが羨ましいです。」
「リーナ、あまり揶揄うのはよしなさい!」
もうリーナったら…未だ恥ずかしいのですよ…
「揶揄ってはいませんよ?」
そういったリーナの顔は、何処か寂しそうで…
「あなたには私が居ます。任せてもいい相手が現れるまで私が守ってあげます。」
「ふふっ、現れてくれるのでしょうか?」
「もう居るではありませんか。」
リンさんがそう仰います。何故かあの方の顔が浮かび、また顔が熱くなったように感じます。
「そういえばそうでしたね。でも、あの方は私を見てはいませんよ?」
「現時点では私もそうです。でもきっと答えてくれますよ。」
「ならばアタックしてみましょうか?」
「貴女ならばいいですよ?一緒に迫りましょう。」
「なんてことを仰っているのです!」
「大丈夫、貴方も候補の一人です。」
「候補も何もありません!」
あの方は本当に直ぐに何処かに行ってしまいます。ですから、いつか目の前から消えてしまうのではと心配になってしまいます。あ、決してそれが嫌だという訳ではありませんよ?ただ「知人」が居なくなるのが寂しいだけです!そこはハッキリと主張させて頂きます。
「何とか身分差の問題を解決できないかな?」
「父上たちに相談してみましょう?トーヤ様は私達だけではなく、家、そして貴族派にも多大な貢献をして頂きました。タリアの嫁ぎ先として決して悪くないと思いますわ!なんといっても騎士様ですから!!」
「そうだね!恩人の為に一肌脱ごう!」
「マリアス、本当に潰されたいようですね…!」
「待てタリア!なぜ僕だけ?!」
こうしてお茶会はマリアスが倒れ伏したまま終わりました。
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接触 本人不在
さらに次の日、パーティーから二日後の朝、王城から使いの方が参りました。ちなみに父はあれからまだ帰ってきていません。
「討伐者トーヤ殿に陛下から招集が掛かっています。ご在宅でしょうか?」
「ご苦労様、ですがもう既にトーヤ様は王都を出ていかれましたわよ?」
お母様が対応しています。正式な陛下からの使者の方ですので、きちんと対応しなければなりません。
「それは誠ですか!?」
「ええ、昨日の朝には王都を発たれました。なんでも使命があると仰られていました。」
「では、行先か連絡を取る方法はご存じありませんか?」
「申し訳ありません。彼は通信機を持っていないようですので、分かりかねます。」
「左様ですか…分かりました。突然の訪問お許しください。私はこれで失礼いたします。」
「はい、お気を付けてお帰りください。」
あの方の予感が当たりましたね。そして、恐らくこうなることを見越して、お父様が時間稼ぎをしたのでしょう。その間に王都を脱出したと…しかし、これで余計に目を付けられることになりました。大丈夫でしょうか…
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ミトリー帰還
「では私たちは先に帰ることになるのですね?」
「ああ、そして、彼は自分の仲間とパーティー会場では別行動だったからね。彼らを護衛として雇っても良いと連絡を受けた。」
「トーヤ君が?どうやって?」
「気づいたら机の上に手紙があった。どうやったのかは皆目見当もつかない。」
という訳で、私とお母様が、先にミトリーに帰ることになりました。帰り道はリン達に護衛をお願いしています。そして、トーヤ様と会うのも4日ぶりになりますね…うまく顔を合わせられるかしら…
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「社長!あの行列がフォーチャー家の御一行じゃないですか?」
「ああ、多分そうだね。セバスに連絡入れてみるよ。」
「このままステルスモードで追跡しますか?」
「ああ、それで頼む。」
合流すると言ったが姿を見せるとは言っていない。じゃないと、フォーチャー家が俺を匿っていたと思われるからだ。
「街に着いたらどうするんですか?」
「そのままリン達は別行動だ。リン達はリーナの館に泊めてもらえることになった。そして、俺たちはその間、樹海に行くことになる。」
ティア姉さんからの情報で、とうとうブリガンテが本格的に動き出したようだ。そして、奴らは複数の討伐者グループと組んで、樹海を探索しているらしい。盗賊たちにりゅうが見つかったとき、実は新人討伐者が遠くからりゅうを見てしまったようだ。そして、直ぐにギルドに行き、ドラゴンの情報を報告したため、ドラゴンを求めて、多くの一流討伐者たちが、樹海探索に臨むようになったようだ。
「いよいよ本番だ…」
「ええ」
「ご主人様、俺、ガンバる」
「がうっ!!」
佐藤とりゅうもやる気だ。
「皆、基本的に、俺と共に行動してもらう。そして、もし討伐者が襲ってきたら。相手がブリガンテでなくても殺せ。目撃者は全てだ。女子供が居ても関係ない。」
仮にりゅうが見つかった場合、騒ぎになる。だが、りゅうを誰かに預けることは出来ない。ならば俺達と共に行動させ、万が一見つかれば、そいつらを皆殺しにする。
相沢 冬也 Lv30
ステータスポイント 18 【親愛度ボーナス 1370】
HP200→500
MP400→1000
攻450
防250→500
魔攻175→300
魔防450
素早さ700
器用さ500
賢さ110
ラック100
親愛度上昇速度アップ
火魔法Lv3
水魔法Lv3
白魔法Lv3
全世界全言語・文字翻訳
マジックボックス100種99個
マーキング
マップマーキングLv3New:対象の現在地をマップに映す(15)。100P+200P
超反応
魔纏術Lv1
猫かぶり
威圧
索敵Lv2New:半径600mの範囲で敵を探す。毎分MP2消費 300P
自動MAP
異常状態耐性Lv4New:毒・麻痺・幻覚・催眠・精神的苦痛に耐性ができる。耐性大 120P
悪意察知
キャンピングカーLv2
大分こちらの世界に染まってきたようだ。自分でも殺しに対して忌避感が無くなっているのが分かる…
「…分かりました。」
とりあえず、街まではこのペースで行くか。
「トーヤ」
「いつもと様子が違うにゃ」
「気が立っているのかにゃ?」
そして、何事もなく街に到着し、予定通り樹海に足を運ぶ。




