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19 そんなナリでジャガッたか?

ヤンデレ 対 武闘派貴族


後、冬也はデリカシーがありません。





 とある兵士の証言


 今回はいつもと様子が違いました。いつもこの時期は王都に向かうのですが、その時はほぼフォーチャー家のみの移動になります。まれに寄子の子爵家や男爵家の方を連れて行くことがあるのですが、今回はジープ子爵家・マガージ子爵家・デーサン男爵家・ピオン男爵家そして、トレーター男爵家がお供に付くという大名行列になりました。







「なんか今回は同行者が多いな…何かあったのか?」


「さあ、何故だか御屋形様が今回は同行者を連れて行くと仰ったらしいぞ、まだ社交界に出ていないお子様方に練習をさせるようだ。」


「今までこんなこと無かったのに?」


「なんでも陛下が”公式の場に出る前に練習と顔合わせの意味で連れて来てもよい”と仰ったようだぞ。」


「なんか今年はいつもと違うな。」


「噂では誰かを探しているらしいぞ。」




 そんなことを我々は雑談交じりに話していました。そして、いつもと違う中でも一際異彩を放っているのがトレーター家御一行でした。今回の同行者はそれぞれ私兵や討伐者を雇っています。もちろんトレーター家も雇っているのですが、それがどう見ても成人前の娘一人です。しかもランクは7級らしく、ほぼ村娘と変わりがありません。そして見た目も可憐な美少女と、どう見てもあの華奢な体で戦闘をこなせるとは思えません。ですので、


「あの娘はカトリーナ様のお話相手だろうな。」


「まあ、まだ10歳のお嬢様ならこの移動は退屈だろうしな。」


「それにアイギス様はなんというか…親バカだし、話し相手ぐらい用意するかもな。」


 アイギス様は我々ミトリー防衛部隊の隊長でもあります。その実力はまさしく一騎当千!我々兵士たちのあこがれです。しかし訓練の合間に度々「娘可愛い///」と連呼しています。模擬戦をしていても無意識につぶやいています。それでも我々の剣は一度たりとも掠りさえしないので、本当に無茶苦茶な方です。


 食事休憩の時、そんな雑談をしていると、


「おいお前、そんな奴の所ではなくこっちに来い!」


 あれはジープ子爵家のシリウス様です。正直言ってジープ子爵家は傲慢な者が多いです。と言うよりそういう人間しかいません。当然シリウスのクソガk、失礼、シリウス様もそういう一面があります。その彼が、カトリーナ様と談笑している彼女に高圧的に接しています。



「それでですね、冬也君はこんな所も可愛いのですよ///」



 彼女も相当なもので、ガン無視です。むしろ存在にすら気づいていないのかも知れません。


「おい!シリウス様が話しかけているんだ!こっちを向け!!」


 デーサン男爵家のジャガートのクソガk、失敬、シリウス様の取り巻きのジャガート様が吠えます。それでも彼女はガン無視です。カトリーナ様は気づいていますが、どうしようか視線をさ迷わせていて、時々目が合います。すごく助けが欲しそうな目です。しかし、身分差があるので、彼らが彼女たちに手を出さない限り、こちらが手を出せばいらぬ騒ぎになる可能性が高いです。


「よりによってあの二人に絡まれるとはな…」


「マガージ子爵家のマリオ様やピオン男爵家のクレア様はよくできた方たちなんだがな…」


 まあ、あの二人が絡まないのはフォーチャー家御令嬢のタリア様くらいなのだが…そして焦れたのかとうとうシリウスのクソガキがあの子に手を伸ばします。


「おい!!いい加減にしろ!!!!」


「まずいっ」


「止めるぞ!」


 それを見ていた兵士たちが止めようとして行動を開始しようとしましたが、


バキッ!


「それでですね、こういうカッコいいところも///」




 うわ~っ…あの子後ろも見ずに思いっきり裏拳で顔面殴ったよ…あれ絶対鼻折れているね…鼻血が止まらねぇぞ…あっ、カトリーナ様の目に光がない…何か諦めたような顔だ。10歳の子がするような顔じゃないぞ…


「シ、シリウス様?!」


 肝心のシリウスは白目向いて、さらに泡吹いて倒れている…しかも失禁もしてるよ…あれヤバくね?


「あれヤバくね?」


 うんそれ俺も思った。とりあえずシリウスを、今回同伴している医者の元に連れて行く。


「貴様!我々にこんなことをしてt


ボッ!


「ぎゃあああああああっ!!???」


 うわ~ジャガートの顔面に、これまた振り向きもせず火魔法をぶつけたよ…俺達でも敵にあそこまで容赦無しには出来ないのに、彼女見た目の割に非常に好戦的だね…









 そして二人を医務室に連れて行くと、2家の当主たちがかなりいきどおってた。


「何なのだあの娘は!私の息子にこのようなケガを!」


「ジャガートは顔に火魔法をぶつけられたようです。なんと残虐な!」




 ハリス・ジープ子爵と、テラジャガー・デーサン男爵は、彼女を雇ったトレーター家に責任を取らせるために御屋形様の元に向かいました。


「これ絶対大騒ぎになるな…」


「もしアイギス様に何か責が及ぶなら…どうする?」


「そんなもんアイギス様に付くに決まってるだろ?」


「だよな。」



 しかしいくら強くてもあの娘が心配になる。個人の武はアイギス様に劣るとはいえ、二人はかなりの武闘派だ。まあ、かわいい子を身を挺して守るのも兵士としてはありかな?そんなことを考えていた時だった。



「リーナ!!冬也君が近くにいます!!!」


「リン、落ち着いてください。彼はここにはいませんよ。」


「あちらの方向に居ますわ!この気配、間違いありません!!!」


 うん、全然分からない、同僚を見ても「この子何言ってんの?」って顔で困惑している。


「あ、冬也君に危機が迫っています!少し離れます!」


「リン、ちょっと待ってください。」


「野盗に絡まれそうです!?その数20…私の冬也君に手を出そうなんて…消す!」


 ものすごい殺気が彼女から吹き荒れます。と言うか物理的に風が彼女を中心に巻いているようです。魔力が溢れてます。すさまじい魔力に足がガクガクです。ここから直ぐにでも逃げたいです…


「リーナ、落ち着いて聞いてください。この先2323mほどに冬也君の気配とそこから100mほど離れたところに20人ほどの野盗の気配があります。このままでは野盗共がここを襲撃する可能性もあります。私はあなたに被害が出ないよう、事前に危険を排除するのが仕事です。そして冬也君には指一本触れさせません!!!」


 確かに理屈は通っているが、何故そんな先の気配が読める!?化け物かこいつ?!と言うか最後の一言が本音だろう!


「トーヤ様なら大丈夫ですよ!あの方の実力は知っているでしょう?」


「いくら強くても冬也君に汚物を触らせるわけにはいきません!即刻消毒してきます。」


「リン!ちょっとm


 そういって彼女はすさまじい速度で走っていきました…



「あの子絶対7級どころの実力じゃないだろ…」


「もしかしたら隊長並みに強いんじゃね?」


「かもな…」



 自分たちがまだまだ未熟だと痛感し、世界の広さを感じていると、彼女が目の死んでいる少年を抱きかかえて来た。その後ろには獣人とエプロンをしたゴブリンがついて来ていた…何この怪しいメンツ?


 ってよく見たらその後ろに何か引きずっている。火のあみの中に…黒焦げの人?!!ちょっ、何人もいるよ!?



 その光景を見た兵士一同は、彼女の「意に反する=死」であるということを認識した。これは俺達にはどうにも出来ない…さすがアイギス様、一流の剛の者を選ぶその選定眼、感服しました!後はお任せします。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 全ての段取りが無駄になった…本当なら彼らの前に現れる気は無かったというのに…


「ごめんなさい冬也君、冬也君と離れていた42時間物凄く寂しくて、冬也君の気配を感じたら居ても立ってもいられなかったのです…」



「まあ、やってしまったのは仕方がない。それより彼らを紹介してくれる?」



 こんな騒ぎを起こし、一人の少年を拉致った彼女に対し、周りはまるで見えていないかのように何も触れなかった。と言うよりリンを見ないようにしてるよね?リン、一体何をした!?




「お久しぶりですねトーヤ様。」


 そして目の前にはリーナ、タリア、知らない男の子と女の子がいる。


「久しぶりですタリア様。このたびは家のリンがお世話になっています。」


「…気にしないでください。」


「ところでそちらの方達は?」


「冬也君、こちらはマガージ子爵家のマリオ君とピオン男爵家のクレアちゃんです。」


「初めまして、マリオ・マガージです。」


「クレア・ピオンと申します!」


「初めまして、相沢冬也です。ところでリンは一体何を?」


 俺がそう聞くと、皆目を一斉に逸らした…周りの兵士たちを見てみる。彼らも同様だ…


「リン?」


「はい?」


「何したの?」


「ハエが居たからはたいたり、火で追っ払っただけですよ?ちょっと火力が強かったから皆驚いたようですね。」



(((((この娘、平然と嘘をついた??!)))))




 リンのその言葉の真意を問おうと周りに目を向ける。なぜか全員驚愕していた。絶対何かやらかしたよこいつ!


「まあ、こんな平原なら虫が居ても仕方ないね。今度からもう少し小さい火でやるんだよ?」


 でも触らぬ神に祟りなし、ヘタレ?コミュ障に何を求めてるの?


「はい///」


 この笑顔だけなら最高なんだけどな…





 そしてその場にいるメンバーで雑談をする。どうやらリンが拉致った少年()を連れてきたせいで、アイギス様達がいろいろ話し合っているらしい。でも何となく俺はこのまま同行することになると思うんだよね…


 そして、雑談の中でマリオとクレアの人柄を知った。いい友人になれそうだ。俺でもこの短時間で打ち解けることが出来た。そしてこの二人、時折手を重ねようとして我慢してる。ふむ…


「ところでマリオとクレアって恋人同士なの?」


「ファッ?!」


「ホエッ?!」


「いや、二人とも手を繋ぎたそうにお互いソワソワしてたから、遠慮なく繋いでもいいよ?恋人同士なんでしょ?」




((((このガキっ、ブッコミやがった!!))

(デリカシーがありませんよトーヤ様!?)



「「あわわわわわっ/////」」


 うむ、照れている少年少女のなんと初々しいことか、お兄さんほっこりしちゃうよ。


「いずれ二人の子供が生まれたらお祝いしますからね。」


 リンの奴は気が早い。


「まだ何年も先だろ?」


「私は婚前でもウェルカムですよ冬也君!」


 ドキッ!何それ、すごい…




「何を言っているんですか!?はしたないですよリンさん!!」


「そうです!そしてトーヤ様、顔がだらしなくなってますよ!」


 タリアとリーナに怒られた。そして、マリオとクレアは顔を真っ赤にして固まってる…頭から煙が出てるよ…


「大体ですねトーヤ様、二人が思い合っているのは公然の秘密であって、周りは初々しい二人を見て楽しんでいたのですよ!失礼、二人の未来に幸があるように見守っていたのですよ!!」


 いやタリアさん、本音が漏れてますよ!誤魔化せないところまで言っちゃってます。そして二人はいつの間にかオーバーヒートして目を回していた。


「青春でございますね。」


「今夜は赤飯にしますか。」


 セバスと田中も祝福モードだ。



 と、そんなところに物々しい音が近づいてくる。






「貴様か、シリウスとジャガートに危害を加えたのは?」



 声のした方へ向いてみると、豪奢な服を着た二人のおっさんが居た。その後ろには10人ほどの兵と討伐者らしき者が見える。



「ジープ子爵が質問しておるのだ、答えよ。」




 よく見るとこの二人の体格がガッチリしている。軍人か?二人ともリンより頭1つ分高い…



「シリウスとジャガート?一体何方(どなた)ですか?」


 対するリンは本当に知らないようだ。その反応を見て二人がわずかに揺らぐ。


「貴様が殴った者と火あぶりにした者たちのことだ。」


 リン、そんなことしてたの??!!


「いえ、全く覚えがありませんが?」


 リンはホントに覚えてないらしい、一体何があった?





「リンがさっき言ってたハエとは彼らのことです。実際リンは顔すら向けなかったので本当に虫だと思っているんじゃないでしょうか?」


 リーナが小声で教えてくれた。うん、リンは今日もぶっ飛んでる…そしておっさんたちも周りの兵から話を聞いている。


「やはり目撃者はお前だと言っている、我々に同行してもらおう…」


 そういって服の装飾が少ない方が近づいてくる。


「あの方たちはハリス・ジープ子爵と、テラジャガー・デーサン男爵です。お父様と同じ武官で、尚且つ侯爵家に次ぐ権力もあります。」


「あまり揉め事は起こさない方が良さそうだね。」


「その方が良いかと。」


 小声でリーナと話しているとタリアが二人に言う。



「デーサン男爵、落ち着いてください。彼女は無理やりシリウス様に連れて行かれそうになり、やむなく抵抗しただけのこと、ケガをしたことは大変残念ですが、不幸な事故ですわ。」


「タリア嬢、たとえシリウス殿が事故だとしても、ジャガートは顔にファイアボールを受けたのですぞ?これは不幸な事故ですかな?明らかに故意でしょう。」


「…それは…」


 うん、タリア無理があると思うな、それ。そんなことを考えているとリンがデーサン男爵に近づいていく。


「私を連れて行ってどうしようというのです?私は冬也様との時間を邪魔されたくは無いのですが?」


「お前は貴族に手を出した。不敬罪が適応される。相応の罰を償わなければならない。」


「話を聞く限り、そちらのご子息たちから手を出してきたみたいですけど?」


「まるで他人事だな…我々をなめているのか?」



 うん、酷い会話だね、リンにはマジで虫を払った程度の認識しかないから起こるスレ違いだね。もうこれ俺には無理だ、リーナに投げようかな


「リーナ何とかして。」


「私には無理です。力でしか解決できません。」


「俺にも無理。」


 二人で解決策を悩んでいると。とうとう男爵が焦れたのか、


「ええい、いいから来い!!」



 そういってリンに手を伸ばす。その手をリンは叩き落とした。



「貴様、私に手を上げたな?子爵、きちんと見ましたね?」


「うむ、現行犯だ。」




 まずい!絶対厄介なことになる!



「さて、神妙にお縄に(ガシッ)何だこの手は?」


 リンが男爵の両肩に手を置いている。いったい何をするつもりだ?



「冬也君との時間を邪魔するなって言ったじゃない。なんで邪魔するの?そんなに冬也君と触れ合うのが罪なの?いったい何なのあなた達、もう消してもいいよねこんな害虫たちは殺す殺す殺す殺す……」



 あっ、リンの目からハイライトが消えた。そして男爵の体が震えてる。


「おい、やめろ!離せ!!」


 リンの異様な雰囲気に回りにいた人間全員が固まる。めっちゃヤンデレ怖い…


「何なのこの肉達磨、さっきからギャアギャアと喚いて本当にうるさい。こんな汚い害虫はこの世に居ちゃいけないんだ。冬也君に近づく前に潰さなきゃ、大体なんで42時間と23分も離れていて胸が苦しいのにこんなのに煩わされなきゃならないの?今までこんなに離れたこと無くて寂しい気持ちでいっぱいだったから冬也君に会えて本当に嬉しかったのになんで邪魔をするのこのごみ本当につぶれてしまえ死ね死ね死ね死ね……」


「ぐううっ…やめてっ…本当にこれ以上は無理だから…」


 男爵はついに膝を地面につけた。っていうか体格が違うのにあのリンの力はヤバいねどんどん男爵の背骨が反ってきているね…


「邪魔するやつは消えちゃえ。」



バキッ



「あっ」


 そして男爵は腰のあたりから曲がっちゃいけない方向に曲がった。






(これは伝説のジャガッた!テラジャガーがジャガッたよ!!!)



 あのムエタイ選手のように腰から折れた。実際に見てみると引くねこれ!




「貴様ッ!!この女を討ち取れ!!!」


 そしてジープ子爵が戦闘準備万端である。




(((((あ、これ無理なんじゃないかな?)))))



 周りにいる兵も含め、俺達は考えるのを放棄した。









作者メタボもこれからどう展開しようか悩んでます。


それと、マリオとクレアは無事公認カップルとなります。リア充ファ○ク!

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作者の別作品もよろしくお願いします。 終末(ヘヴィな)世界をゆるふわに!
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