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尻尾と耳と私と主  作者: 青を刻む朱雀
8/22

第7話 クレア、子守をします!

 そんなわけで今日もアリア様の子守です。

 夜泣きもしないし、大体のことはわかりますし、苦労はしません。


「ふぇ…」


 このぐずり始めはおしめですね?

 シナハメイド長から一通り教わってますのでこれくらいどうと言うことはありません。


「はい♪これで綺麗になりましたよぉ?」

「だ〜う゛…あぃ」


 お嬢様は短く小さい手で必死で伸ばしてきましたこれは…


「尻尾ですね?」


 私は毎日髪と同様自慢の尻尾を差し出す。


「あ~ぃ」


 お嬢様は私の尻尾をワシャワシャと掴んでは離し、緩く握っては離し始めました。あ、口にふくんじゃだめですよ。私は一旦尻尾を口から離し、尻尾で頬を撫でる。


 お世話することになった当日、私を見るなり手を伸ばして何かを伝えたそうにして来たのです。品はメイド長も奥様もこんなことは初めてで、あれでもないこれでもないと試行錯誤した結果、消去法的に残ったのが私の「何か」ということで試しに尻尾を差し出してみるとあら不思議。まるでパズルの最後の1ピースがハマったかのようにニコニコと喜びを露わにし、喜々として私の尻尾をいじり倒すじゃないですか…。


 気付けばすやすやとお休みになっておりました。もふもふと小さい手を無意識にに動かし、抱き締め、、にこやかに眠るその様子はまさしく天使です。

 それはそうと尻尾を要求するときは決まってお休みになるのです。ですがこれでシナハメイド長と交代したときは大惨事。1時間以内にお嬢様は目を覚まされ、大泣き。あやそうと抱っこしたり、おしめ確認したり、ミルクを与えようとしたり必死になって試行錯誤しても答えが出ず、私が呼び出されました訳です。ちなみにその時は尻尾を抱かせただけで騒動は収まりました。その時の皆の顔は絶望と嫉妬に満ちた表情でしたね。「なぜ私に尻尾がないのか」と…。

 まぁ、お陰でお嬢様の側を離れることが出来ないんですけどね…


「さてお嬢様?ずっと部屋の中と言うのも息苦しいでしょうし、今日は天気もよいので外でお昼寝にしましょうか?シナハメイド長…良いでしょうか?」


 シナハメイド長は目を向けていた本から顔をあげ、頷く。あと本逆さまですよ、口にしませんが…。

 あの一件以来対策として常にメイド長かメイド副長が監視をする事になっています。まぁ監視といっても形だけで実はアリア様を見ていたいって言う願望なんでしょうけどね。本を読まず、ちらちらと幾度となくアリア様を見てるのは分かってるんですからね?

 私はテラスのロッキングチェアに腰掛け私の尻尾を離さないアリア様を膝に乗せ、ロッキングチェアをゆっくり漕ぐ。


――鳥は唄い、風は凪ぎ、光はどこへ()くの?

――雲は流れ、草は揺れ、あなたはどこへ行くの?

――見果てぬ金の草原に立つあなたはどこを見てるの?

――時は流れ、星は輝き、月は何を待つの?

――木々は囁き、人は流れ、あなたは誰を待つの?

――道の先は誰も知らない。

――あなたの道も誰も知らない。

――あなたはあなたの道を行く…

――静かな道、荒々しい道、全てはあなたの道。

――あなたが選びなさい愛しき子よ…


 耳に残るメロディに適当に歌詞をつけ、静かに歌う。歌っているうちに私自身も眠くなってきてまどろみに身を預け…


「良い歌ね?クレア」


…られませんでした

 真後ろからかけられた声はよく知った声でした。


「アナスタシス奥様…」

読了感謝です!

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