第1話 襲撃(1)
お屋敷に雇われて1年が経ち、旦那様と奥様の間にご息女が誕生されました。とても可愛いです。
皆必ず1度見に来るほどには可愛いです。私の銀髪と違って旦那様似の金の髪、クリッとした奥様似の翡翠色の瞳、小さい手足。名前はアリア様。アリア=クーノル様。
そしてアリア様がお生まれになってふたつきがたった嵐の夜。
「クレア…巡回です」
「はい、シナハメイド長。」
雷で眠りが浅かった私はすぐに巡回の支度を行う。
支度を終え、慣れた廊下を緊張感を持って進む。ふと私の鼻が雨と風の匂いを嗅ぎ取りました。外は嵐、どこか窓が開いていたら高いカーペットが台無しです。直ちに匂いが強い方に急ぎます。
匂いが近づくにつれ、アリア様の泣き声が聞こえてきます。
アリア様は3階の寝室で寝ていらっしゃるはず…。しかし今私のいる場所は1階の厨房…。雨と風の匂いはどうやら野菜貯蔵庫のようです。
「ドアが開いてるのは…ここかな?」
扉を開けて目に入ったのは荷物をまとめる台の上にアリア様を乗せ、ナイフを高々と掲げた賊の姿でした。
私の起こした行動は真っ先に悲鳴をあげることではなく有無を言わさず、ドアノブとは逆の手で持っていた燭台を賊に投げつけました。
燭台は賊の顔に当たり、濡れた地面によって蝋燭の火が消える。
「こんのくそがき!」
賊の凶刃が雷光に煌めく。しかし私は不思議と怖くありませんでした。それは可愛いアリア様を失うことは自分の命を失うより怖いと思ったからでしょう!
刃を屈んでかわし、無防備となったその顎に全力の頭突きを食らわしてやりました。ざまぁみろ!おっといけない…
私はアリア様を見て、怪我がないことを確認する。
「オイ!やったかやったらズラか…くそがしくじったのか!」
どうやら複数人だったようです。
「お嬢様、逃げますよ」
私はきゃっきゃと笑うお嬢様を抱きかかえ、元来た経路を再確認する。
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