第19話 しばしの別れです(3)
「ここが王様の部屋になります。」
「案内ありがと残念なサーバルさん、ウザ泣き白犀さん」
「…わ、私はリムレットと申します。」
大きな耳をペタンと頭に伏せさせ、サーバルの獣人が力なく自身の名を告げる。
「わっしはボンドといいまさぁ」
犀族の男性はしょんぼりしながら小さい目を細目ながら告げた。
「わかったわ。じゃあねリムレットさん、ボンドさん」
私は2人に挨拶して扉の奥へと進む。
扉を閉めると扉の向こう側でわいのわいのと喜びの声をあげる。一体何が嬉しかったのやら…。
私は静かにノックすると中から「入れ」という声がした。
奥の引き戸を開けると水平線に沈む夕日が差す港を背景に、きらびやかな衣装に身を包んだ金髪金毛の狐系で男性の獣人が椅子にどっかり威厳たっぷりと座っていた。頭の上には申し訳程度の大きさのキラキラと輝く王冠が乗っています。
明らかにあれです。王様です。The KI・N・Gです。
どうすれば良いんだっけ?スカートをつまんでごきげんよう?平伏?ありがたやありがたや?道中で考えていたのにすっぱり頭から抜けてました。
ほら、あまりにも挨拶が遅いから王様のこめかみに青筋浮いてますよ!ヤバイって!どうする?何する?いやまてここは冷静に…
「…失礼しました」
引き戸を閉めて無かったことにした。
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