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尻尾と耳と私と主  作者: 青を刻む朱雀
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第17話 しばしの別れです(1)

 私はメイド長の許しもあって自室で最低限の着替えのかえを鞄に詰めていた。


「お嬢様…そのように抱き着かれたままですと旅支度ができません。」

「それって家から出られないってことだよね?なら離れない」

「…」


 嬉しいけども!嬉しいけども!

 私は腰にお嬢様をくっつけ、ズルズルと引き摺りつつ、旅支度を済ませる。


「クレアー馬車が来ましたよー」


 開けておいた窓からシナハメイド長の声が飛び込んでくる。


「今おわったのですぐ行きまーす!」


 窓に向かって返すとお嬢様の髪を優しく撫でる。


「それではお嬢様…行ってきます」

「やだ!くれあが行くなら着いていく」

「それはなりません…相手は人を毛嫌いする獣人の王…しかも身体能力は人の数倍…一騎当千の実力を持つと言われるヒトです。そんなヒトにお嬢様が殺されそうになっても助けられる自信がありません…」

「それだとくれあも殺されちゃうでしょ?!」

「旦那様曰く私の父のようですから娘たる私を無下に扱わないでしょう…」

「やだやだやだ!いかないでよ くれあ!」


 大粒の涙をこぼしながらお嬢様は首を振る。


「お願いです…私を笑顔で送ってください…私の…私の主として…」

「やぁだぁぁぁぁああ!」

「仕方ありません…これだけは使いたくなかったのですが…」


 シナハメイド長から暇潰しで教えてもらったクーノル家のメイド流近衛術!


「秘技!抜け身の術!」


 お嬢様は身の無くなった私が直前まで着ていたメイド服を抱きかかえるようにして前のめりに倒れた。


「それでは失礼します」


 私はそう言って窓から飛び降りる。


「ちょ、ここ屋根裏!」


 お嬢様の声を後ろにたなびかせ、私は荷物と共に壁を駆け降りる。


「全くメイド流近衛術と言うのは…」

「『緊急時の対賊用戦闘術』でしょ?でもこうでもしないとお嬢様を引き剥がすのは困難極めますので…」

「はぁ…仕方ありませんね…後は任せていきなさい…」

「はい」

「屋敷を出る前に厨房がお弁当作ってくれてるそうだから貰っていきなさい」

「わかりました。」


 どんなお弁当なんでしょうか…昨夜の料理のようにしょっぱくなければ良いのですけど…

読了感謝です。

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