第14話 あくまで行間です!
それからというもの、侍従棟で2人前の食事をもらい、お嬢様の部屋へと向かう。
ノックをしても返事がないためドアノブを回す。
静かに部屋に入り、天蓋つきのベッドで布団にくるまるお嬢様の近くに腰掛け、食事を近くのテーブルの上に置く。
「簡素な物ですがお持ちしました。」
「……………」
「今夜は私の尻尾無しで寝れますか?」
「……………」
「そうやって不貞腐れてて良いんですか?明日からしばらく私の尻尾無しで過ごすんですよ?下手したら二度と尻尾無しで過ごすことになるんですよ?」
「…………ヤダ」
「でしたら…」
「くれあがいなくなるのはもっとヤダ!」
お嬢様はくるまっていた布団を放り投げ、私の背中へと抱き付く。
「くれあ行かないで!そうだ逃げよ?私と駆け落ちして?ね?」
お嬢様は名案とばかりに顔を輝かせて言う。このバカ可愛いところも魅力的なのが辛い…
「………お嬢様、駆け落ちの意味はご存知ですか?」
「もちろん!『結ばれることのない大事な人と逃避行する』ことでしょ?リディアスが『大切で大切で誰にも渡したくない人を独占し、人生を共にするためにその人を奪い、逃げることは美徳だ』なんて言ってた。」
あの先生、4歳の子供になんてこと教えてるんですか!
「あとね、駆け落ち先でせーこーいするとせーこーりつが高くなるんだって昨日言ってた。せーこーいって?」
せーこーい?なんのことでしょうセーコーイ?せえこおい?…性行為?!
「………………………好きな人同士でキャッキャウフフする事です」
説明する事にいくらか戸惑い、いくらかオブラートに包んで説明しました。あの腐れ教師…私のかわいいお嬢様になんて事を…
「キャッキャウフフ…あ、じゃあいつもやってるから良いよね?」
え?あの腐れ教師、もう手を出して…
「えい!」
お嬢様は唐突に私の尻尾を抱き締める。
「あはは♪やっぱりくれあのシッポきもちぃ〜」
あ、はい…お嬢様にとって、キャッキャウフフと言うのはいつもの尻尾相手に戯れることでしたか…私の心が穢れてましたね
「と言うわけでくれあ、わたしと駆け落ちしてせーこーい…しよ?」
「お嬢様、誤解を招きかねないので性行為と口にするのはやめましょう?ね?」
「なんで?」
「お嬢様の将来のためです。大きくなった際、あまりの恥ずかしさで爆死してしまわないために…」
大きくなった時に「小さい頃は『私と駆け落ちして性行為して』ってせがんだのに」って懐かしむように言ったら絶対顔を真っ赤にして「馬鹿馬鹿馬鹿」とか言って罵ってきそう。とても楽しみです。
「せーこーいって恥ずかしいことなの?」
「大きくなったらわかります。」
「今知りたい!教えて、くれあ」
「早すぎます」
「じゃあリディアスに聞く!」
なんと?!それは…それだけは阻止せねば!お嬢様の純潔の危機です!
「それはですね…」
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