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尻尾と耳と私と主  作者: 青を刻む朱雀
12/22

第11話 お誕生日なのです!(2)

「お嬢様?あまりわがまま言ってると私クビにされますよ」

「ヤダ」

「先に生まれた私は先に死ぬ運命です。その時もこうしてヤダヤダ言うんですか?」

「今じゃないもん」

「分かりませんよ?私が不治の病を抱えていて来年には死んでるかもしれませんよ?」


 はったりを交えながらお嬢様に諦めてもらうように頑張る。こら旦那様も真に受けないでください!


「くれあのしっぽ元気だったもん…くれあの体調(たいちょー)悪いときはしっぽの毛の状態(じょーたい)も悪いもん」

「尻尾で人の体調を計らないでください…」

「でも事実だもん…体調(たいちょー)悪い時、わたしくれあが困ること、した?」


 …そういえば、私の調子が悪い時はやたら聞き分けがよかったのはそういうことですか…って違う違う!ここで納得してはいけない!身分の差を考えろわたし!


「くれあはわたしのこと嫌い?くれあはわたしとごはん食べるのいやだから父様や母様の肩をもつの?」


 その質問はズルい…。しかしその答えは簡単です。


「その両方の質問の答えはNOです。私はお嬢様のことが大好きですし、お嬢様とごはんをご一緒できたらどんなに良いかとも思います。」

「だったら!」


 お嬢様は期待に目を輝かせて「賛成してくれるよね?」と目で訴えてきます。


「しかしですよ?私は一介のメイド。アリアお嬢様は貴族令嬢。これ以上の待遇は他のメイド達と軋轢を生みます。」

「あつれき?」

「例えば旦那様と奥さまがヴェント様、エトナ様、フェリナ様におこづかいをあげます。お嬢様、ズルいと思いません?」

「くれあがいるから要らない」

「………………………………」


 嬉しいけども!嬉しいけども!


「もし私が旦那様の命で少し屋敷を離れなければならないとしましょう」

「くれあは貸さないよ!」


 お嬢様は旦那様にキッと鋭い目付きで威嚇する。

 嬉しいけども!嬉しいけども!


「もし私が私の尻尾の毛で作ったクレアちゃん人形をヴェント様、エトナ様、フェリナ様のお三方にプレゼントしたら?」

「………………………………………くれあがいるからいいもん」


 嬉しいけども!嬉しいけども!


「ならもしお三方にクレアちゃん人形を2つずつ作ってプレゼントしたら?私の尻尾2つをモフモフするのは羨ましくないですか?」

「……………………………う、羨ましくないもん」


 むむっ…強情ですね。それなら


「じゃあお三方に4つずつプレゼントしたら…」

「くれあの尻尾、ハゲだらけになっちゃう!」

「えぇ。お嬢様はオリジナルのハゲた尻尾1つに対し、お三方は1人で偽物の尻尾をモフモフしてる。羨ましくないですか?」

「うらやましい…」


 よしかかった!あとはリールを巻くだけ!


「ズルいと思うでしょう?」

「…うん」

「お嬢様ならどうします?」

「くれあにおねだりする」


 そう来ると思いました。意地を張ったしっぺ返しを食らうが良いです!


「あげたいのは山々ですが私の尻尾は毛1本もないですよ?」

兄様(にーさま)姉様(ねーさま)からもらう…」

「お三方共『イヤだ』と仰います。だってモフモフですもの」


 分かりますよね?私の尻尾のモフモフ好きなお嬢様なら…


「…兄様(にーさま)達が嫌いになる…」


 もう泣きそう。と言うか既にポロポロ目尻から涙を流してます。やり過ぎましたか…


「は、はい。今のお嬢様の心境が私を優遇されたときの他のメイド達の心境です。分かってくれましたか?」

「……………………………………………………わかった」


 お嬢様の返事を聞いた旦那様と奥様は互いに顔を見合わせ、頷く。すると旦那様は手をパンとうって言った。


「よ、よしアリアが理解してくれたところで今年のプレゼント何が良いか聞こう!」

 旦那様!GJ!この重い空気を少しでも軽くしてください!


読了感謝です。

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