第9話 すくすく成長されました!
「くれあーただいまー」
「あぁもうそんな泥だらけになって何をなさってるんですか!」
傍付きとなって4年の歳月がたちました。
お嬢様はスクスクと成長され、今では珍しい光属性の魔法をいくつも使うやんちゃな魔法使いになりました。
気がつくと光の幻像を生み出し、自身は透明になって勉強を抜け出す始末。まぁ私の鼻までは騙せず、私がお手洗いにたったその隙に抜け出すことが主ですが…。
「はいおみやげ」
そう言って数本の高級珍味のきのこを私に渡すお嬢様。しかし…
「質問の答えになってません。いったい何をしてそんな泥だらけになったのですか?」
「いってもおこらない?」
「怒ります」
「じゃあいわない」
反抗期ですか?それならこのクレアの必殺技を受けると良いです!
「じゃあ今日は1人で寝るんですね?大人になりましたね?それでは…」
私はお嬢様に冷たく言い放って背を向ける。
今頃顔色を真っ青にして涙目になって…
「あぁ!うそうそ!言うから!言うから今夜も添い寝して!森で転んで地面がぬれてたの!そこにこのキノコもあったから美味しそうで、掘ってたらドロだらけになったの!」
はい陥落。
「拾い食いはよくありませんっていってるでしょう?つい先日お腹壊したのをお忘れですか?」
「ひ、拾い食いはしてないもん!」
お嬢様は視線をそらしながら言ったので顔を近づけ、お嬢様の顔を軽く嗅ぐ。
「そうですね拾い食いはしてないみたいですから?シェラフェルテには今日のデザートを減らしといてもらいましょう」
「え゛…な、なんでそうなるの!」
「バレバレですよ?木苺を摘んで食べたことくらい…口元に粒がついてますし、微かにフルーティーな匂いもします」
「うそ!?」
袖口で拭い、鼻をひくひくさせて匂いを嗅ぐ。
「に、匂いなんてしないよ?!」
「獣人の鼻は人より敏感なんです。そうですねぇ…匂いの濃さから木苺20粒に野葡萄1房…って所ですか」
「…」
図星ですね。
「と言うわけで今夜のお嬢様のデザートは私がいただくことにします。」
「え〜なんでそうなるの!おーぼーだ!」
アリア様は涙目になって訴える。
「リディアス先生の授業を抜け出して遊んでいた罰です」
「リディアスはキライ!くれあの事、けーべつのまなざしで見るんだもん!くれあのシッポはイッキュー品なのに!」
「その言い方だとまるで私が尻尾の付属品か尻尾以外は3流みたいじゃないですか…」
「え?」
はて?何でさも当然というかのような顔をされるのでしょう?こんなにもアリア様を思って言っているのに…。
「なんで『違うの?』って表情されるのです?」
「だってわたしが主なのにくれあは『添い寝してあげない』ってすぐ脅すし、リディアスの勉強の時もお手洗いと称してチーズサンド白パン食べに行くし…」
「い、行ってません!それにすぐ脅してる訳じゃありません!そもそも、そろそろ尻尾離れしてください」
「行ってないは嘘。お手洗いから帰ってきた時も9割がホクホク顔で服に白パンの粉がついてたもん。それに尻尾離れはしないもん!くれあのシッポが気持ちいいのがいけないんだもん。」
「おやおや珍しく喧嘩かい?」
真横から聞き慣れた声がかかり、私達はそちらへ目を向ける。
そこには少しセンスを疑いたくなる柄の服をまとった旦那様が立っていました。
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