第二回漢会 焼肉食い放題と給与について 後篇
後編です。給与関係で悩んでる全ての人へ捧げます。
「でもさ、今の会社の給料で結婚して生活するのって、結構きついぞ。」
岡本さんの言葉に山田君は固まる。今の忠告はハッキリ言って俺も言おうと思っていたことだ。前の会社、今山田君が働いている会社の給料は県の最低賃金ギリギリで給与システムにも問題があった。給料のシステムとは各会社の規定により定められるのだが残業代は基本給に対しての時間給となるというのはどこの会社でも変わらない。例えば基本給20万の会社と基本給10万と能力給10万で合計が20万の会社がある。残業代がなければ支給額が同じであるが残業がある場合残業代は前者の会社のほうが後者の倍の額払うこととなる。そしてもうひとつあるのが名ばかり管理職の残業代だ。法律上では管理監督者は残業代が支給されないと定められるのだが、課長以上の役職の場合管理手当を渡される代わりに残業代が無くなると規定にあった場合少額の管理手当を渡される代わりに残業代は渡されない。まあ、その解釈事態間違っているのだが本来であれば職務内容、権限、勤務時間に関する裁量、賃金等の処遇が充たしている場合に適用されるのだがそこまで考えずに規定に盛り込むとどういう事が起きるか。答えは簡単で残業代を貰える部下が課長以上の管理職よりも給与が多いという逆転現象が起きてしまうのである。会社としては課長クラスに残業に振ることにより経費削減出来るので経験が浅くてもすぐに課長に昇進させるというバカなことを行い、その結果課長になると給料が下がり役職に見合う仕事が出来ないため信用を無くすという悪循環なのだ。始めはそれが当たり前だと思っていたが給料日に太田と呑んだときに給与明細を見せたときにそれがおかしい事が発覚した。それから何回も会社の上層部と話したが改善されることはなかった。それどころか、会社の取締役の給与については課長クラスの倍以上だったことが発覚した。そういったことが発覚した結果人材の大量流失に繋がったのだ。社員を大切にする取締役だったらこんなことにならなかったのだか責任を部下に押し付けてふんぞり返るだけの取締役は要らんしね。俺はそもそも課長になるなら辞めると言ってたし、現実に課長の辞令が出たときに社長に俺はクビってことでいいのね。と言って退職願を出した。辞めるまで一年以上かかったけど・・・。それはさておき、実際に俺や木村さん、岡本さんは現在の会社に移ってから給料が倍近くなったことで嫁さんが働かなくても家族を養えるようになった。だからこその忠告である。
「でも、他の会社でやっていけるか心配なんです。上からはお前なんて他でやっていけるわけないとか他の会社はもっと酷いとか言われてるし。」
山田君も洗脳されてるな。俺の時と同じだ。そんなことを思いながらビールを口に運ぶ。そして山田君の不安に思ってることを払拭するために口を開く。
「他でやっていけるかは大丈夫だと思うよ。役所に打ち合わせ行ったりした時に話しすると山田君の文句は聞かないしウチの会社の社長からも山田君なら雇ってもいいと言われてるしな。」
俺の言葉を聞いた太田さんも、
「木村さんも上と話してていつ言われてもいいようにしてるみたいだよ。」
と言ってきた。岡本さんも、
「私の会社も募集かけてるから上と話してもいいよ。」
と山田君に伝える。みんなも山田君に対しては動いている。まあ、当然のことだろう。何だかんだ理由をつけて雑用から逃げたり、上から気に入られようとして役職が上の人間に頼まれたどうでもいいことを優先して頼まれている仕事を後回しにしたり、様式として決められている物にてを加えて作り直しさせたりするバカよりは、頼んだことをしっかりやって終わったから次の仕事くださいと言ってくる人間の方がかわいいんだからな。
「ということでみんな山田君の力はかってるので心配すんな。むしろ今いる会社のほうが問題なんだから。それと阿部君、君も早く資格とってウチの会社に来い。俺の下にいたときにある程度は仕込んだんだから即戦力として期待してんだから。」
我関せずでビールを飲んでいる阿部君に話を振ると、
「頑張ってますのでもう少しお待ち下さい。」
と焼き上がった肉を食べながら言ってきた。資格を取るということのメリットは色々とあるが一番のメリットは給料に直結するということだ。例えばある国家資格についてだが、特定の学科や専門学校を出た後に申請することにより取得することができるのだが、その資格を持っていることにより一月五千円の資格手当を貰うことができる。一月五千円という事でそれしかもらえないのかと思う人間のいると思う。しかし、年間を通すと六万円、10年で六十万円違うのだ。それだけではなく、会社としてもその資格があることにより、点数が上がりより金額の高い仕事を取ることができ、その資格があることで昇給にも影響が出る。だからこそ取れる資格は取っておくべきなのだ。
「佐藤くん、とりあえずかなり焼き上がってるから肉喰おうか。」
岡本さんの言葉で我に帰った俺は肉を追加注文して焼き上がった肉に箸を伸ばし口に放り込んで咀嚼した。旨い肉を食べているときに話すべき話ではなかったと思い反省しながら色々な話をした。ちなみに隣に座っていた同業他社の上層部の連中に牛タンの焼き方についてケチを付けられた挙げ句実演と称して勝手に肉を焼かれて食われたため俺がキレたのをみんなに止められ、オッサン達が出禁になってしまい後日、前任業者との顔合わせで役所で顔を会わせた際に因縁をつけられたがオッサン達が致命的なミスを犯していたこと発見したため(上からは穏便に済ませるよう言われていたが)徹底的に指摘して指名停止にしてしまったことと山田くんがうちに来ることになったのはそのうち話すとしよう。
結論、焼き肉にはそのテーブルのルールがあるのだから関係ないところに口を出さないようにしよう。ついでに申請で取得可能な仕事は取得しよう。
今日はここまで。
管理職の残業問題は色々問題になってます。悩んでる方は調べて見ると良いですよ。では次は給与ではなく仕事の愚痴かな?