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漢会  作者: 山奥 駆
3/4

第二回漢会 焼肉食い放題と給与について 前編

今月中で書けた!!

 7月も暮れに差し掛かかり前年度から工期延長になっている仕事がひと段落してストレスがMAXに達していたころ、テレビで焼肉の食べ放題特集をやっていた。それを見た俺は、

「やべぇ、無性に焼肉が食いたくなってきた。」

 そう思うと止まらない。携帯を取り出してすぐさまLOINの友人グループに文字を打った。

佐藤---早い者勝ち4名まで、来週の金曜日に暑気払いで焼肉食い放題に行かない?

        俺も食いたいっす。---山田

           今回はパス。---木村

            了解です。---太田

           参加でよろ。---阿部

        私も参加で宜しく。---岡本



 返事はすぐに来たため俺はテレビで見た店をパソコンで検索し某飲食サイトのホームページにアクセスした後、そのホームページより5名分の予約を取る。こうすることによりクーポンの使用ができるため多少の割引が可能となるのだ。家計を嫁に任している自分としてはこうすることにより出費を減らしてお金を貯めるのも重要なのだ。予約が確定すると折り返しで待ち合わせ場所と店の名前を送信した。

 さて、来週の金曜日が楽しみだ。


 ------------------------------------------------------------------


 そして翌週の金曜日。

 予約した時間の5分前に店の前で太田さんと岡本さんに合流した。

 太田さんは現在、木村さんのいる大手会社の主任で35歳の独身だ。もともと他県にある会社より前の会社に出向できていた。2年間いろいろと手伝ってもらったがその後、元請けだった大手会社の社員に気に入られて契約が切れた後に大手会社に出向することとなった。ちなみに太田と飲んでいた際の一言が俺の目を覚まさせてくれて前の会社を辞めるきっかけになったのだがそれについては後々話すとしよう。

 岡本さんは現在木村さんとは別の大手会社の設計課長補佐で42歳。奥さんと娘さんがいる。前の会社の設計担当で取締役の上司からとてつもないパワーハラスメントを受け、それを社長に訴えたが是正しようとしない社長に対して見切りをつけて俺より前に辞めた人だ。

「太田さん、岡本さん、お疲れ様です。」

「佐藤君、お疲れ様。太田君も元気だったか?」

「はい、佐藤さんとは結構あってるけど岡本さんは一年ぶりですね。元気そうで何よりです。そういえば山田君と阿部君から連絡あって十五分くらい遅れるらしいよ。奴に仕事押し付けられたって言ってた。先にやっててだってさ。」

「あー、山田君たちも大変だな。とりあえず店に入るか。」

 俺たちはそう言って店の中に入った。

「予約してた佐藤ですけど二人遅れてくるみたいなんですけど先始めちゃうんでお願いします。」

「わかりました。席に案内します。」

 店員に連れられて五人掛けの席に連れていかれた。席に座り周りを見渡すしてみる。店舗内は少し狭く隣の席との距離が体一つ分しか離いないが満席であり、みんなおいしそうに食べていることから人気店であることがうかがえる。これは期待していいかな。

「今回、隣県の国産牛と地元国産牛も食放プレミアム百二十五品二時間食べ放題と飲放コースとなっております。お二人様が遅れてくるとのことですが始めさせていただいてよろしいでしょうか?」

「はい、かまいません。」

「かしこまりました。初めにお飲み物のご注文をお願いします。」

「とりあえず生大三つでいいよね?」

「OK」

「生大ジョッキ三つで。」

「かしこまりました。生大ジョッキ三っついただきました!!それでは当店のシステムを説明させていただきます。まずはじめにこちらで厳選したお肉の方を食べていただき皿が空きましたら次の注文をしていただくこととなっております。なお、一回の注文はおひとり様一皿とさせていただきますのでご了承願います。ではコンロに火を入れさせてもらいます。」

 店員はそういってコンロに火を入れて席を離れるとそのタイミングで他の店員が飲み物を持ってきて各人の前に置いていった。

「ほんじゃまずは乾杯を岡本さんお願いします。」

「では、7月末となりとても暑い日が続いています。二人遅れるとのことでが、今回暑気払いといたしまして焼肉を存分に食べて暑い夏を乗り切りましょう。カンパーイ」

「「カンパーイ」」


ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、プハァ~。

ジョッキをぶつけたあと3人で豪快に生ビールを飲み干し追加の生ビールを注文する。とそこに店員が肉を持ってきたので確認するとさらには地元国産牛の牛タン、ミスジ、ザブトン、カルビ、ロース、ハラミが乗っている。俺はそれを写真で撮影して遅れている二人早く来ないと喰っちまうぞというメッセージ付きで送り付けた。その間に岡本さんが網の上に肉を置いていき太田さんと二人で焼き始めた。

「佐藤君、今回なんでこの店にしたの?」

「テレビで見ておいしそうだったから。それに今回のコースで六千円弱って安いと思ったからかな?いつもこれより下のランクで食べ放題じゃないから一人一万円超えるからね。」

「確かにさて、いい肉だからあまり焼きすぎないようにして食べるか。佐藤さん、岡本さん先に置いた奴から食べようか。」

太田さんがそう言って初めに置いた牛タンに箸をのばした。俺もまずは牛タンから行くとしよう。小皿にレモン汁を垂らした後、箸をのばしていい具合に焼けた牛タンを取りレモン汁をつけて口に放り込み咀嚼する。牛タンの柔らかい食感と厚切りの牛タンがだけが持つ肉汁がレモン汁の酸味と調和して口の中に広がる。うまい。牛タン発祥の地に住んでいる人間ですらあまり食べない地元産牛の牛タンだ。このレベルが食べ放題で食べられるとはおそるべしコスパ。そんなことを考えながら今度はザブトンに箸を伸ばした。両面を軽く炙る程度にしてタレをつけていただく。口の中でとろけるというのはこういうことなんだろう。

ふと太田さんと岡本さん見ると二人とも夢中になって食べている。どうやらこの店にして正解だったようだ。そこに店の扉が開き山田君と阿部君が入ってくる。阿部君は前の会社でアルバイトとしている25歳の青年で当然独身である。俺が前の会社で働いていたときに使っていたアルバイトで頭の回転と要領が良く俺のいた部署の部下の誰よりも優秀だったため、社員にしようとしていたが資格至上主義の社長を説得出来なかった。資格取得後に社員にするとの約束は取り付けたのだが現在は資格を取ったらうちの会社に来いと言っている。現在も前の会社でアルバイトをしながら資格取得に向けて勉強をしている。

「お疲れ様です。遅れてすいません。」

「もう一皿目無いし。すみません、生二つお願いします。」

遅れてた山田君と阿部君がやってきたので俺は二人の目の前にある皿に焼いた肉を置きながら、

「おお、お疲れ。とりあえず焼けてるやつ食っとけ。ここ追加頼むとき伝票に書くんだけど、国産牛のカルビ2人前とザブトン2人前、ホルモン1人前追加でいい?」

確認とするとみんながOKしたのでビールを持ってきた店員に伝票を渡す。

「改めて、乾杯するか?まずはお仕事お疲れ様です。それと山田君、婚約おめでとう!」

とりあえずぶっこんで見るとみんな一斉に山田君を見る。

「えっ、婚約?」(太田)

「聞いてないぞ。」(岡本)

「なんだと?」(阿部)

「佐藤さん、ぶっこむの早いって!!」(山田)

どうやらまだ言ってなかったらしい。 

「もう2か月経ってるから言ってると思ったんだけど。失礼。まあ、とりあえず肉食え。」

とりあえず謝っておいた。

「まあ、おめでとうございます。」

岡本さんが山田君にそう言いながら焼けた牛タンを皿にのせる。

「あざーす。」

焼けた肉が山田君と阿部君にわたると追加の肉が運ばれてきたので届いた肉を網の乗せる。今回はホルモンがあるので網の一角をホルモン専用にしてじっくりと火を通す。他の肉は少し炙る程度にして次々と皿を空けていく。5人で焼きながらプライベートなことを話したりしながら肉が焼けるのを待つのは漢会の醍醐味の一つである。阿部君は試験を受けてとりあえず目標の資格の補の試験は受かりそうだとのことだ。山田君は仕事が忙しくて挨拶やらなんやらに行けてないらしい。太田さんは相変わらず独身貴族を満喫しており、岡本さんは娘さんと奥さんの弁当作ったりなんやかんやで忙しいとぼやいている。そうしている間に肉が焼き上がり食べながら次に頼む国産牛の牛タン3人前とミスジ2人前を注文したところで岡本さんが山田君に、

「でもさ、今の会社の給料で結婚して生活するのって、結構きついぞ。」

と確信をぶっこんだ。


                            後半へ続く・・・。








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