第一回漢会 ジンギスカンと嫁の愚痴 前編
プロローグをあらすじにして消去しました。プロローグなしの第一話です。
---佐藤さん、来週の金曜日の夜に飲みに行かない?---
前の会社で一緒に働いていた山田君からそんなメールがきた。それを読んだ後、机に置いてあったビジネス手帳を確認し仕事が入っていないことを確認し、嫁さんに用事が入っていないと飲み会に行っていいかの許可をもらい山田君にOKメールを入れた。
---了解しました。木村さんも来ますんで参加者は3人です。店はいつものジンギスカン屋に19時で予約入れときますので確定したらメールしますね。---
山田君からの返信をメールを確認すると俺は仕事に戻った。
----------------------------------------------
そして一週間後の金曜日
仕事を早く終わらせた俺は今回の飲み会が行われる店に向かった。
店に着いてしばらくするとすでに木村さんが席に座っておりしばらくして山田君も店に着いた。
山田君は10歳年下前の27歳で前の会社の部下だった。今もその会社に残っておりバリバリはたらいている。木村さんは8歳年上で今年45歳になる。前の会社の上司だった人で今は俺と同じで会社を辞めて業界大手の会社に勤めている。なぜ、そんな三人で飲んでいるかというと単純に気が合うからだ。
「「「カンパーイ」」」
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、プハァ~。
ジョッキをぶつけたと3人で豪快に生ビールを飲み干し追加の生ビールを注文する。
「お疲れ様です。お二人ともお元気そうでよかったです。ビールのほかに何か頼みますか?」
生中を注文しながら山田君に聞かれたので俺はメニューを見ながら注文をする。
「生ラムジンギスカン3人前と牛タン、ハラミを2人前、あとラムユッケ1つ。木村さんは?」
木村さんにメニューを渡すとさっと見た後に、
「サラダとホルモン1人前、野菜三点盛で。」
と注文しながら山田君にメニューを渡す。
「俺もラムユッケ頼みます。あと豚トロ一人前お願いします。」
「繰り返します!!生3、生ラムジンギスカン3、タン2、ハラミ2、ユッケ2、サラダ1、ホルモン1、三点盛1、豚トロ1、以上でよろしいでしょうか?」
「はい。」
「かしこまりましたーーー!!」
店員さんが言った後、話を始める。
「おっ、山田君ついにユッケを頼むようになったね。」
いつもなら俺が頼んだユッケを少しもらって食べていた山田君がユッケを頼んだのを見てちょっと茶化してみた。
「いや~。いつも佐藤さんからもらってたけどおいしいんで一人前食べたかったんですよ。それより木村さん、野菜多すぎですよ。」
今度は山田君が木村さんをイジル。
「佐藤ちゃんに肉頼まれちゃったからさー、それに俺の年になると肉だけだと明日に残っちゃうんだよね~。」
「あ~、それ俺も最近分かるようになってきた。」
俺は木村さんの言葉に同意する。35過ぎたあたりから結構きつくなってきたんだよね。肉もいいけど魚とか野菜が多くなってきた。そんな話をしていると店の大将がジンギスカン用の鍋を乗せた七輪を目の前に置いた。鍋の肉汁をためる部分にはもやしがひかれており丘になっている天辺に脂身が置いてある。この脂身から溶けた脂で生ラムを焼くとおいしいんだよね。
「お待たせしました。生3つとユッケ2つ、サラダです。取り皿こちらに置いときますね。」
店員さんがそう言ってジョッキと食べ物を置いていった。俺がジョッキを配る間に木村さんがサラダを取り皿に分けてみんなの前に置き、山田君が割り箸を配った後でユッケを俺と自分の前に置いた。
「さてと」
俺はそういって割り箸を割って生ラムと卵をかきまぜる。この店の生ラムは赤身と白身があり、白身は脂身と一緒になっている肉のことで一般的にジンギスカンで使っている肉は白身のことを言う。脂身がラム肉の特徴的な臭みを出しているのだろう。一方、赤身は脂身を取り除いているためラム肉特有の臭みがなく生でも食べられる。このラムユッケは赤身を使っているため臭みがなく抵抗なく食べられるのである。かきまぜたユッケに添えてあるネギを載せて口の中に放り込む。
「うん、相変わらずうまい。」
そういいながら二口目を放り込んでいると、
「佐藤ちゃん、サラダに乗せたいからちょっと頂戴。」
木村さんにそう言われたので皿を渡すと木村さんは一口分つまんでサラダの上に置いた。一方、山田君を見るとサラダはすでに食べ終わったらしくユッケをガツガツ食っている。
「生ラム3人前とタン、ハラミ2人前あがったよ。」
大将がそう言ってカウンターから肉を渡してきたので受け取って赤身肉を何枚か鍋の上に置いて焼き始めた。
「そういえば山田は彼女さんとどうなの?」
木村さんがいきなり放り込んできた。
「どうって?何を突然!?」
俺はビールを吹き出しそうになった山田君におしぼりを渡しながらラム肉をひっくり返していく。
「いやね、五年も付き合ってるんだからそろそろプロポーズしたのかなっておもってね。あっ、ビール無くなった。大将ハイボール1つね。」
木村さんがさらに放り込んでいく。
「俺は生一つ追加でよろしく。山田君、夫婦生活はともかく子供は早いほうがいいぞ~。あとが楽だから。」
「おっ、佐藤ちゃん言うね~。まあ、佐藤ちゃんとこは早かったからな~。22のときって言ってたか?よし、いい焼き具合だ。」
木村さんが焼き上がったラム肉をタレに浸けて口に放り込む。鍋の空いたところに白身肉をおく。
それを見て俺と山田くんも一枚ずつ取って空いたところにタンとハラミを置いた。さて、久しぶりのジンギスカンだ。はじめはタレでいただくとしよう。俺は取った赤身肉をタレに浸けると一口で咀嚼する。ああ、ラム肉なのに癖のなく、弾力があり、噛めば噛むほど肉の味が出る肉とその肉にあるいは合うタレの相乗効果が生み出すハーモニー。やはりジンギスカンならここが一番だ。
俺はそんな事を思いながら肉を食べていると、山田くんからこんなことを聞かれた。
「既婚者のお二人に聞きたいんですけど、結婚って男からするとどうなんですか?」
と。
・・・・・・・・後編へ続く
前編、後篇に分けます。