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彼と彼女の関係



「…で、2人共なりたくもない委員になっちゃったって訳?」

「馬鹿なの?」

「…うるさい」



体育の授業中、壁に凭れて座りながら友人たちの辛辣な言葉を受ける。

体育館の半分を女子がバレーで、もう半分を男子がバスケで使用中だ。

丁度シュートを決めて昶とハイタッチする真を眺め、その眩しさに目を細めた。



「あーあ、完全に恋する乙女モードになってるし…」

「草田も良いけどさ、私はどっちかって言うと火狩の方がタイプだなあ」

「…………」

「楓、凄い顔してるわよ」

「ありえないでしょ…

あの馬鹿男だよ…?」

「1年の頃は確かに怖かったし、話しかけづらかったけど、最近の火狩って良く笑うようになったじゃん。

好きまではいかないけど良い男だなあって」

「えええ……」

「でも、そう言えば火狩ってさ、」



思い出したように言う友人に続きを促そうとしたその時。



「ボケ女、先生からの伝言。

今日文化祭委員の最初の集まりやから放課後会議室に集合やって」



体育館の真ん中に引かれたネットの端から昶が顔を覗かせた。



「そう、分かったわ馬鹿男」

「後、お前真の事見過ぎな。

視線がチラチラ鬱陶しいねん」

「さっさと帰りなさい馬鹿男」

「関西人に馬鹿馬鹿言うなボケ女!!」



せっかく伝えたったんに、とブツブツ言いながら男子コートの方へ昶が戻っていく。

楓がそれ見た事か!と言いたげに続けた。



「アイツの態度見たでしょ!?

女の子にボケ女なんて言うのよ!?

そんな奴のどこが良い男よ!!」

「今のは楓が悪い」

「火狩が普通に話しかけたのに、あの対応はないわ…」

「正直私が火狩なら殴り飛ばしたくなるくらい」

「そんなに!?」



私の味方はいないの!?

叫びたくなる程度には傷付いた。



「でもさ、火狩って…――――」



そう言いかけた瞬間、



「ぐえっ!!」

「か、楓――――!!」



女子バレー部エースの打った弾が見事に楓に直撃。

蛙が潰れたような声を発し、倒れ伏した。



「ちょっ、楓大丈夫!?」

「頭じゃなくて顔に当たってたけど…」

「保健室に運ぶから誰か先生呼んできて!!」

「俺が連れてく」



女子たちをかき分け、楓を横抱きで抱える昶。

いつもの犬猿らしからぬ昶の表情は、傍から見ても焦っているように見えた。



「――――でもさ、火狩って楓と話す時が一番楽しそうに見えるのよね」



そんな友人の言いかけた言葉はその後思い出されることもなく、いつの間にか消えていた。




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