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そんないつもの日常



「お、おはよう草田君!」

「おはよう水森さん」

「おいボケ女、俺には挨拶なしか」

「チッ、うっさいのよ馬鹿男」

「ああ!?

おい真聞いたか!?

コイツ今舌打ちしたで!?」

「2人共ホント仲良いなあ」



廊下で始まったやり取りは他の生徒たちからはいつもの事だと気にされなかった。



「アホな事言うな!

何で俺がこんなボケ女なんか!!」



赤茶色の髪に、不機嫌そうに顰められた普段なら整った顔。

特徴的な関西弁の彼の名は、火狩昶カガリアキラ



「僕はお似合いだと思うけどなあ」



光に透けると緑にも見える黒髪にいつでも笑顔を絶やさない優等生、草田真ソウダマコト

そして、もう1人、



「草田君ありえないから!

コイツと仲良くなんて絶対無理だし!」



背中までのブルーブラックの髪を揺らし、否定する少女、水森楓ミナモリカエデ

どこにでもいそうな女子高生…のように見えるが、口を開けば暴言と舌打ち。

口の悪い残念な少女だった。



「はあ!?

俺かてお前なんかごめんやっちゅーねん!!」

「あーもうホントうるさい!!

大体何で毎回毎回私の邪魔して来る訳!?

草田君と話す時間奪わないでくれる!?」

「お前が一々真に近付くからやろが!!

視界に入って来んな鬱陶しい!!」

「じゃあ気にしなきゃ良いでしょ!?

鬱陶しいはこっちの台詞よ!!」



ねぇ草田君もそう思わない!?

その問い掛けは真本人には届かなかった。



「って、あああ!?

草田君もう行っちゃった!?

どうしてくれんのアンタのせいだからね!?」

「知らんわ!!

俺になすりつけんな!!」



唸り声でも上げそうな様子で睨み合う。

水森楓と火狩昶は校内でも有名な犬猿の仲の2人だ。



「ちょっと着いて来ないでよ!!」

「着いて来てんのはお前やろ!!

俺は自分の教室に行ってるだけや!!」

「「「(隣のクラスなんだから仕方ないんじゃ…)」」」



なんて、薮蛇になるような事、絶対に言えない。

彼ら2人の間に入れるのはこの学校では真くらいだ。



「あばよボケ女!!」

「くたばれ馬鹿男」



「喧嘩する程仲が良い」という言葉は彼ら2人に関しては当てはまらないらしい。




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