10話:レベルアップしたい
俺は少し悩んだ後、先に進むことにした。単純に考えれば他の探索者に比べて50倍に速度でレベルが上がるのだから、6、7時間程度探索しながら魔物を倒せばレベルアップすると思ったのだ。レベルアップ時の効果によっては今後の行動が全然変わってくるので早く確かめたい気持ちと、楽に角ウサギを倒せてしまった余裕な気持ちの末である。
シンヤはそのまま1時間程道を覚えやすいように探索し、3回出会った角ウサギを倒していた。
(案外1時間歩き回るだけでも疲れるな。こんな状態じゃもう1時間も歩き回っていたら、角ウサギにも攻撃を受けてしまいそうだ。自分は優遇された特典を持っていると思っていたが、今活かされている特典なんてまだないようなものだもんな)
そう思いながらゆっくりと進んでいた足を止め、帰ろうかと振り返りながら壁に手をついた。
「ガコッ!」
手をついた場所はその場所だけへこみ、その横の壁が1部分消え新たな通路が現れた。
(!! 隠し通路ってやつか? 活かされてる特典がないなんて思ったから極運の星が仕事したのかな)
極運の星に感謝しながら、俺は警戒もせずに通路を進んで行った。
通路は短く奥には小部屋があり宝箱と思われる箱があったが、2匹の角ウサギがいた。
(魔物がいるのかよ。しかもさっきまでの角ウサギは白色だったが、こいつらは赤色をいているな。解析しとくか)
種類:魔物
名称:赤角ウサギ
筋力:Z- 頑強:Z- 俊敏:Z- 体力:Z-
気力:Z- 精神:Y- 魔力:Y- 器用:Z-
補足:角ウサギと似ているが全くの別個体。攻撃方法はファイア。
(はぁ!? ファイア?ステータスも高くなっているじゃねえかよ!!)
シンヤは解析結果に驚いていると、2匹の赤角ウサギの頭上に魔法陣が現れ、更に炎のが段々と大きくなりながら魔法陣の中心に留まっている。
(あれがファイアか。打たれる前に攻撃しないと!!)
シンヤはすぐに剣を抜き左の赤角ウサギへと斬りかかった。小部屋に入ったばかりではあったが部屋は小さく距離も5m程だったので、シンヤは間に合うと思ったのだが、赤角ウサギのファイアは拳大の大きさになっており、シンヤに飛んできた。
攻撃するために急いで前進していたためファイアを避けれずに腹部にまともに受け、後ろに倒れてしまった。右側の赤角ウサギのファイアは倒れたために頭上を通り過ぎて壁に当たっていた。
「痛い痛い痛い!! 熱い熱い熱い!!」
ファイアの速度は速くはない。瞬間的な痛さは今のシンヤの頑強の低さから、硬球の野球ボールが時速140kmで当たった様な威力だった。最初は衝撃で痛がり、次にファイアの火が服に燃え移ることにより熱さを感じてしまった。
手で払ったことで火は運良く消えてくれたため、シンヤは安心したが、すぐに今の状況を思い出し、赤角ウサギにまた斬りかかった。
(まだ魔法陣は出ていない。あんなの頭に受けたら無事では済まない、早く倒さないと)
赤角ウサギのステータスは魔法以外は角ウサギと変わらない。再びファイアを放つには少しの時間がかかるために、赤角ウサギはシンヤに斬られ消えていった。
(よし!! 後、1匹!)
もう1匹の赤角ウサギを倒そうとそちらに振り返ると炎の玉が出来上がりこちらに飛んできた。
「うわーーー」
急に顔に飛んできたが、反射的に剣の腹で受け止めれた。手は少し痺れたが、焦りながらも赤角ウサギに駆け寄り剣を振り下ろすと赤角ウサギは避けることなどできずに消えていった。赤角ウサギが消えると同時に、
「レベルが上がりました。」
「うおっ!」
急に頭の中に女性の声が響いてきて思わず声をあげてしまった。




