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あるユーザの体験記  作者: 舞南誠
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後日談

 真夜中の憤慨から数日。ふと、あのコピペ生産機のことが頭によぎった。

「そう言えばあいつ、どうなったんだろう」

 はらわたが煮えくり返るほど頭にきたため、かえって印象に残っていたのだろうか。俺は自分の作品の感想欄から抹消したはずのコピペ生産機のペンネームを覚えていた。

「……時間もあるし、まあ、見てみるか」

 何となくと言った感じでそいつのマイページに足を運んだ。

 すると、例のコピペ生産機は、何やら覚えにくい感じのタイトルの小説を連載中だった。

「あいつ、これを読んでもらいたかったのか?」

 総合評価はまずまず。感想も、いくらか書かれているようだった。

 俺の興味のないジャンルの小説だったため毛頭から読む気はなかったが、気になったのは感想欄。ここを見れば、こいつの卑劣な作戦が成功したのかどうかを確認することができるかもしれない。

「こういうの、よくないってのはわかってはいるんだけどな」

 好奇心とでも言うべきなのだろうか。俺の手は自然と、奴の作品の感想一覧をクリックして開いていた。

「うわ……これは……」

 そこに書かれていた感想は、ある意味では想像以上。皆とまではいかないが、最近書かれた感想のほとんどにはこのような旨のことが書かれていた。

『最近、あなたから感想をいただいた者です。あなたの作品も読ませていただきました』

 そんな感想のうちの一つからあるユーザのページに飛んでみると、俺が被害に遭った小説と同じ日に投稿された作品があった。その感想欄を確認してみると、やはり『独創的な世界観』から始まる感想が。

 やっぱり、この人も被害者だったか。そう思って戻ろうとした時、その被害者が奴に送った感想の返信が目に留まった。

『拙作に感想をいただけるなんて、感激です! 感想もらうの初めてなんで、嬉しくて嬉しくて……』

「……」

 こんな残酷なことをして、コピペ生産機の心は痛まないのだろうか。

 奴の悪行を暴いてやりたい気もするが、しがない底辺作家である俺にはそんな術もない。

私の元に証拠は残っていませんが、誰かの感想欄にはまだ残っているかもしれません。

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