『 黙々、もぐもぐ 』
もくもくもくもく。
「……」
「……」
もくもくもぐもぐ。
「……」
「……」
もぐもぐもぐもぐ。
「……」
「……」
黙々黙々黙々黙々。
さっきから話せないでいるのは、蟹の身を必死でほじくりだしているからじゃない。
『あの、蟹を沢山頂いたので……ご一緒にどうですか?』
隣の美人な奥さんが、旦那さんの出張中にそんな事を言ってきたせいだ。
「……」
「……」
変な空気。
変な妄想。
間にある蟹だけが救いであり、これが全てなくなった後は……。