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一日目

 まさか僕が恋愛小説を書く日が来るとは……ちゃんと恋愛になってますかね?



 正直、何が正しいのか、もう分からない。



 あの日、僕は峰咲さんに出会った。

 暑い夏の日だった。

 都会暮らしの僕は、父が研究所を持つ田舎の村に、夏休みを使って遊びに行った。

 将来的に、僕も父の後を追って研究職に就くことになるだろうと思っていたから、そのために若いうちから現場を見ておけるのはいい経験だと思ったし……僕は、生まれも育ちも、ずっと東京だった。だから、都会人特有の田舎での生活への憧れ、みたいなものもあった。

 そんな理由もあって、一日中研究所に籠っているというようなことはなかった。

 当然父も、ずっと僕のことを気にかけていては、研究を進められないし。僕もいろんなものを見に行きたかった。

 村に来た翌日。

 早速僕は、近くの山へ向かった。

 僕にとって、『近くの山』というのは、なんだか違和感を覚える表現だったが、東京と違って、屋外に出て周囲を見渡すと、本当に自分の住んでいる場所の近くに山があるのだから仕方がない。

 五分も歩けば山にぶつかる。

 たんたんたんたん、と。

 ぐにゃぐにゃとよれ曲がった石段をやや駆け足で登りきると、足元が砂に汚れた小さめの――大男なら頭をぶつけてしまいそうな鳥居と、『稲荷』という額が掲げられたやしろがあらわれた。

 正直に言うと、誰にも忘れ去られてしまったようにボロボロのそれは、今にも崩れそうではあった……が、流石に、本当にその場で崩壊するとまでは、誰も想いもしないだろう。

 突然。どこからか少女が降って来たのだ。

 そして、どこからか降って来た彼女は、社を崩壊させながらその上に着地した。

 それが、僕と彼女の一日目。



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