表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Angel Feathers  作者: 奈名瀬
3/4

「琴神」の読み方は「ことみ」です


 四月上旬。俺の朝は包丁がトントンとまな板を鳴らす音を聴く事から始まる。

 可愛いエプロンに身を包み、母親から受け継いだ優しい味のみそ汁をつくる女の子。

 こういう朝のワンシーンは男にとって憧れそのものではないか?

『あれ、もう起きたの? 今日は早いね?』

「ああ。おはよ」

 俺は軽くまぶたをこすりながら相槌を打つ。

『ほら、顔洗って来て、ご飯もうできてるから』

「はーい……と、そうだ。今日体操服いるんだった」

『大丈夫、玄関に置いてあるから。行く時ちゃんと持って行ってよね?』

 こんな風に、ミスをフォローしてかわいく注意されちゃったり……。

「……いいなぁ」

『どうしたの?』

「いや、こういうゆっくりした朝ってさ、なんか幸せだよなぁ」

『あはは、なにそれ? あたしの……その、エプロン姿に見惚れてたとか?』

 その子は、うつむいてもじもじと女の子な仕草で、頬をぽっと染めていく。

「……かもな」

『そっ、そう? じゃあ……今日も頑張ってね!』

「うん。けど何を?」

『それは……』

「うん?」

『……げ、ん、じ、つ!』

 彼女は、はっきりとそう言った。

「…………へ?」

 なんだって? 現実?

『だってこれ、妄想だし!』

 彼女はそう言切った……は? 妄想?

 俺は目を凝らす。疑いの眼差しで彼女を見つめ……自分の焦点が合うまでゆっくりと待つ。

彼女にピントがバッチリ合うと、そのエプロン姿の女子は俺がよく知ってる奴だった!

「琴神!」

中学の頃からの友達だ! 確かにあいつは女で加えて言うなら、かわいい方に入るけど……

「お前っ! こんな事しないだろっ!」

 そうっ! あいつはこんな事しない、てかできない!

琴神がみそ汁っ? 優しい母の味っ? 冗談! お椀に直接みそ入れてカップ麺よろしくお湯を注いで「おみそ汁だよっ」と言い張る奴だぞ!

「だからぁ、これはいおりんの妄想なんだってばぁ。が、ん、ぼ、お!」

「なっ! 俺はこんなの望んでねぇっ!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ