永久(とこしえ)の愛をください…
‡序‡
アナタは、死してまで、この僕を縛り苦しめる!…なぜ、不死のカラダなんかにしたの?
望んでもない人生を、なぜ与えたもうた!
恨んでもせんない。
これが、僕の運命。
永久に孤独を彷徨い続けなければならない……
〈一〉
場末のバーにて。
薄暗い店内には、微かにジャズピアノが流れている。
商売気のない気だるさが漂う。
「客取りなら、よそでやんなよ、ボーイ」
年配のバーテンがグラスを磨きながら呟く。
「ちぇ、多目にみてよ、マスター」
答えたのは、酒場には不似合いな少年。
年の項なら14、5才だろうか。
「あんまり自分を安売りするな」
「別に…僕は金なんか目当てじゃないし。
なんならマスター、アンタが相手してよ」
軽いノリ。
〈相手〉なんか誰だっていい。そんな響きだ。
「ハッ、勘弁してくれよ。餓鬼はキライだね。昔っからロクなことがねぇからな」
「冗談だよ。真に受けないでよ」
「これだ。火傷する前に手ェ出さねぇで良かったゼ」
「フン」
少年は、後ろ手に掌をひらひら振り、去ってゆく。
まるで期待など最初からしてなかったのだと、それが返事なのだろう。
「…チッ、妙な気を起こさせる餓鬼だゼ…最近の子どもは怖ェな…」
バーテンと少年のやりとりを聞いていたのか、一人の男が手にしたバーボンのグラスを置き、席を立つ。
目的は、今の少年だろうか…
「やれやれ、好き者が多くて困ったもんだ」
ため息と共にバーテンは呟いた。