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第8話 天国

まあこれも、究極にわかりにくい愛情の裏返しなんだろうな。


「流行の、異世界転生したんだろ!?」

「は?」


ちょっと予想外の切り込みに、たじろいでしまうな。


「転生か?憑依か?知らねーけど、てめぇの正体は魔法使いなんだろうが!!!」


「…」


笑いを堪えた俺、えらい。

こいつ口調ヤンキーのくせにラノベとか漫画めっちゃ読んでるだろ…

それで俺がもつ自白させる能力は魔法だとでも言いたいんだな。

FBIとか超能力者の線は考えなかったのか?


「転生だとして、タイトルは何だよ」

「あぁ!?」

「いやだから、ゲームとか小説とか漫画読んで、そう思ったんだろ?そのタイトル教えろよ」

「なっ…!?ちっげぇぇぇーし!!!」


簡単に真っ赤になるんだな。

瞬間湯沸かし器か?


「ふざけたこと抜かしてんじゃねーよ!隠してても私には分かるんだからな!?みんなの前で恥かかせやがって!!」


昨日の健太郎くんの顔見れないってやつか…

いやまあ確かにな、二人きりじゃない時にあれは、俺もイタズラがすぎたな。


「それはごめん」

「!?あ…っ謝って済んだら…っ」

「警察いらない?なら俺は何をしたらいい?」


俺はスッと手を伸ばして、キレて?乱れて目にかかった多摩川美桜の前髪に触れた。



「健太郎くんに頭ポンポンされたいっっっ」




こいつ…どこまで乙女なんだ。

ラノベではなく少女漫画か…?いや絵本…?


「そ、それで、いいん、だな?」


ここまでくると笑えるのを通り越して、緊張してきたな。

多摩川美桜って本当に22歳なんだろうか。

3歳児ぐらいの純粋な心を持ってる気がするから、下丸子さんのあの扱いはやっぱり正解なんだろう。

頭ポンポンなんて、やったことないけど…

多分こんな感じか?

できるだけ力を抜いてそっとやってみた。

すると、本音を引き出せるはずなのに、何も言わないから不思議に思って頭に手を乗せたまま顔をのぞきこんだら見事に固まっていた。

そのまま5秒くらい停止したあと、やっと口を動かした。


「えっ美桜、死んだの…?今幸せすぎて語彙消えて思考も停止したんだけど…ここ天国なのかな…」




ごめんなさい…俺の負けです。

こらえきれなくて腹を抱えて膝を床に落として爆笑してしまった。

ああ俺もう筋トレ必要ないわ。

こいつに触れてたら一生笑ってられる。



しばらくして俺はやっと笑い終えて、まだ固まっていた多摩川美桜の肩に触れて

「魔法使いがでてくる本のタイトルは?」

と聞いた。


「素直になれない孤高の訳アリお姫様は大魔法使いに唯一心を許す〜溺愛の果てに溶けたのは凍った心かそれとも体か〜」


絵本どころか18禁…

もっ…勘弁してください〜っっ…

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