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第7話 ハードルなし

思えば女性が怖くなったのは、初めての彼女ができた中2の頃からだったと思う。

あの時俺は浮かれに浮かれていた。

もう顔さえ思い出せないけど、特にタイプの子ではなかった。

だけど勇気を出して告白してくれたと思ったらものすごく可愛いと感じた。

OKを出して付き合って、一緒に帰ったりマックに寄って話したりした。

ずっと笑顔でいてくれて、嬉しかったし、俺は幸せ者だと思っていた。

だが、ある日の放課後、帰り道でついに手をつないでしまった。

能力はすでに出ていたんだけど彼女には言ってなかった。

気味悪がられるのが嫌だったし、信じられないだろうとも思っていたから。

手を繋いだら、どんな嬉しい言葉をもらえるんだろうという期待しかなかった。

毎日届くメールにも好きだとか表示されていたし。

まあ俺の予想はまんまと外れたのだけど。




「ビジュ良かったから付き合ったのに、話もつまらないし合わないし最悪まじでしょーもない男」






こんなの、今思えばどうってことないけど、中2のDTの俺にはけっこうキツかった。

しかも初彼女…。

あんな笑顔で好き好き言っといて腹黒だなんて怖すぎた。

もちろんその場で別れて終わり。

当時のその彼女は、自分の本音が出たことに戸惑って混乱していたように思う。


そこからは女が怖い。

男の方がマシだった。

別に触れなくても本音をガンガン言ってくるし、探る必要がなかったから。



その後も女性に対して嫌な記憶しかない。

触れたくなくても、物理的に触れるしかない場面で散々罵倒されたからな…。

女運がなかったのかもしれない。



こんな経験ばかりだったからか、多摩川美桜は特殊だった。

彼女に至ってはハードルが低いも何も、ハードルがない。

あの口の悪さで第一印象は最悪。

地底レベル笑

そのおかげ?か、触れた時に聞こえた本音のあどけなさったら…。

無垢さが少女並みだ。

女嫌いの俺が、少し興味をもってしまった。

ある意味、本音が可愛い人は最強なんじゃないか。



「おい、てめぇ、実は隠してたろ」


俺の次に出勤してきた真面目な同僚が右隣で、凄んでいる。

なんて威圧的な態度だろう。

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