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名家の末娘に転生したので、家族と猫メイドに愛されながら領内を豊かにします!  作者:
守る仕組み

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75/105

やっと帰った面倒ごと

王都研究官一行の馬車が、領門の向こうへ消えていく。


それを見送ったフィリアは――その場で、ぺたんと腰を下ろした。


「…………」


誰も何も言わない。


数秒後。


「……あー……」


フィリアは、そのまま地面に転がった。


「つ、疲れたぁぁぁ……」


■やっと終わった、という実感


「お、お嬢様!? 地面です、地面!」


慌てて駆け寄るガルドに、フィリアは仰向けのまま手を振る。


「いいの……今だけ……」


「今だけ、とは……」


「もうね、今日は“管理者”も“責任者”もお休み!」


そう宣言してから、フィリアは大きく息を吐いた。


「……あー。面倒ごと、やっと帰った……」


衝突。

気遣い。

線引き。

言葉の選び方。


どれもこれも、神経をすり減らすものばかりだった。


「厄介な人たちじゃなかったですけどな」


ガルドが苦笑する。


「でも、“王都”ってだけで疲れるよ……」


「確かにな。。」


■久々の「何も起きない時間」


執務室に戻ると、机の上は――驚くほど静かだった。


急報なし。

視察予定なし。

新しい書簡もなし。


「……静か」


「……静かですね」


文官たちも、どこか拍子抜けしている。


「今日は、もう大きな判断はしないよ?」


フィリアが念押しすると、全員が即座に頷いた。


「賛成です」

「ぜひそうしてください」

「今日は休みましょう」


満場一致だった。


■フィリア、宣言する


「よし!」


フィリアは椅子から立ち上がり、ぱっと明るい声を出した。


「今日は久しぶりに、のんびりする日!」


ガルドが目を細める。


「そうしなさい」


■ミュネ登場


フィリアは廊下に向かって声を張り上げた。


「ミュネ〜!」


すぐに、ぱたぱたと足音。


「はーいにゃー!」


現れたミュネは、いつも通り元気いっぱいだった。


「どうしましたか、フィリア様?」


フィリアはにこっと笑って言った。


「お茶とケーキ、一緒に食べよー」


ミュネの耳が、ぴこんと立つ。


「ケーキ!? いいんですかにゃ!?」


「いいの! 今日は特別!」


「わかりましたにゃー! すぐ用意しますね!」


そのまま、嬉しそうに走っていった。


■甘い時間


しばらくして運ばれてきたのは、


・香りの良いハーブティー

・焼き菓子職人が試作した素朴なケーキ


フィリアは椅子に座り、足をぶらぶらさせながら一口。


「……おいしい……」


肩の力が、すとんと抜けた。


ミュネも向かいに座り、幸せそうに頬張っている。


「甘いですにゃ〜」


「ね〜」


しばし、何も話さない時間。


ただ、お茶の湯気と、静かな午後。


■ガルドの一言


少し離れたところで見守っていたガルドが、ぽつりと言った。


「……こういう時間も、必要だ」


「うん」


フィリアは、ケーキの皿を見ながら答えた。


「だから、今日は休む」


「それが賢明だ」


■フィリアの本音


フィリアは、カップを両手で持ちながら呟いた。


「……正直さ」


「はい」


「研究官が来る前より、来た後の方が疲れた」


「そうだな」


「でもね」


フィリアは、ふっと笑った。


「ちゃんと帰っていったから」


「ええ」


「押し切られなかった。守れた」


その言葉に、ガルドは何も言わず、静かに頷いた。


■束の間の休息


夕方。


窓から差し込む光が、少し赤くなり始める。


フィリアは、椅子の背にもたれながら言った。


「……また、色々来るよね」


「来ますにゃ〜」


「でも、今日は考えない」


「それで良いのですにゃ〜」


ミュネが、最後の一口を食べて満足そうに言った。


「また頑張るための、休憩ですにゃ!」


「そうそう」


フィリアは笑った。


「今日は、ただの“のんびりする日”!」


原種管理地。

王都。

圧力と交渉。


それらは確かに重い。


だが――

守る者にも、休む時間は必要だ。


こうしてフィリアは、

久しぶりに“何も起きない午後”を味わった。


次に動き出すための、

大切な、静かな一日だった。

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