表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名家の末娘に転生したので、家族と猫メイドに愛されながら領内を豊かにします!  作者:
守る仕組み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/105

内部ルール、外部に試される

原種管理地としての指定を受けてから、数週間。


領内では、これまでにない“静かな緊張”が漂っていた。


理由は単純だ。

内部ルールが、正式に領内へ発布されたからである。


■領内布告


掲示板に貼り出された文書は、短く、だが明確だった。


・原種区画への無断立ち入り禁止

・植物・種子・加工前素材の持ち出し禁止

・研究・観察は登録制

・違反者は領内法に基づき処罰

・外部者も例外なし


読み終えた領民たちは、ざわめいた。


「……当たり前のことだな」


「でも“外部者も例外なし”ってのは、強気だぞ」


「相手が貴族でも、か?」


噂はすぐに広がった。


■最初の“試し”


問題が起きたのは、布告から三日後。


領門に、立派な馬車が二台並んだ。


「王都より参った、ヴァルヘイン子爵家の使いだ」


名乗りを上げた男は、上等な外套をまとい、当然のような態度だった。


「原種管理地と聞いた。視察と称して、区画を見せてもらおう」


門番は一瞬迷い――

だが、教えられた通りに答えた。


「恐れ入ります。事前登録が必要です」


男の眉がぴくりと動く。


「……子爵家の使いだぞ?」


「はい。外部者の方は、すべて同じ扱いです」


空気が、冷えた。


■通報


数分後、封緘使が駆けつける。


「登録は、されておりませんね」


「今からすればいいだろう。少し融通を利かせろ」


封緘使は、淡々と言った。


「できません」


「なに?」


「それが、領主命令です」


■執務室にて


報告を受けたフィリアは、小さく椅子に座ったまま、腕を組んだ。


「……来たかぁ」


「早すぎるくらいですな」


ガルドはため息をつく。


「“試し”でしょう。ここで折れるかどうかを」


フィリアは、少し考えてから言った。


「通すと、“例外”ができる」


「はい」


「断ると、反感を買う」


「それも事実です」


フィリアは、むぅ……と唸った。


「……でも、決めたもん」


■正式回答


封緘使が、子爵家の使いに伝えた言葉はこうだ。


「原種管理地は、王命に基づき管理されています。規則は、王都にも提出済みです」


「……王都、だと?」


「例外を設けるなら、王命の再確認が必要になります」


沈黙。


使いの男は、舌打ちを噛み殺した。


「……分かった。引く」


馬車は、そのまま引き返した。



■領内の反応


その日の夜。


「断ったらしいぞ」


「子爵家相手に」


「……やるな、フィリア様」


不安よりも、安堵が広がった。


「ルールが守られた」


「俺たちも同じ扱いだ」


“公平”が、実感として伝わった瞬間だった。


■じいじ、ぼやく


その頃、じいじは茶を啜りながら言った。


「……二歳と三歳で、国の圧力を跳ね返すとはのぅ」


「じいじ、年齢言わないで」


「いやぁ、言いたくもなるわい。何させとるんじゃ、この国は」


全員、深く頷いた。


■フィリアの自覚


夜、窓から領地を見下ろしながら、フィリアは思った。


(……もう、“作る側”じゃない)


(守る側、だ)


ルールを決めるということは、

それを貫く覚悟を持つということ。


そして――

試されるのは、これからだ。


外部は、必ずもう一度来る。


もっと巧妙に。

もっと強く。


フィリアは、小さな拳を握った。


「……でも、負けないよ」


ここは、守るって決めた場所だから。


原種管理地


その名は、この日から――“簡単には崩れない土地”として、静かに知れ渡り始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ