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名家の末娘に転生したので、家族と猫メイドに愛されながら領内を豊かにします!  作者:
守る仕組み

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55/105

静かに回り始めた歯車と五つの種の未来

夕暮れ時。

工事の音が遠くで規則正しく響く中、フィリアは執務室の窓辺に立って領地を眺めていた。


「……これで、ひとまず落ち着く……かな?」


ぽつりと漏れた言葉は、誰に向けたものでもない。

ただ、自分自身に言い聞かせるような声だった。


ガルドが静かに隣に立つ。


「建築が終われば、指示された通り自然に回り始めるでしょうな」


「うん。今の人員じゃ、これが精一杯だと思う」


無理に進めれば、どこかに歪みが生まれる。

歪みは、修正に時間と人手を食う。

それは、今の領地が一番避けるべきことだった。


「……しばらくは、大人しく“建築が終わるのを待つ”でいいよね」


「賢明な判断です。今は“整える時期”ですな」


フィリアは小さく頷いた。



■五つの宝植物――今は“予定”だけ


机の上には、五つの植物の簡易資料が並んでいる。


① 金露の木

② 青天麦

③ 銀光豆

④ 赤花コショウ

⑤ 蒼霧草


「……どれも動かしたら大きくなる。でも、今はまだ“触らない”」


焦れば、管理が追いつかない。

だからこそ――計画だけを固める。


フィリアは一枚の紙に、はっきりと書き込んだ。


《優先生産計画》


第一優先:②青天麦

第二優先:③銀光豆

第三優先:⑤蒼霧草

第四優先:④赤花コショウ

第五優先:①金露の木


「まずは……②と③」


ガルドが補足する。


「食えるものがなければ、人は働けませんからな」


「うん。砂糖だけじゃ、お腹は膨れない」


青天麦は収穫量が多く、銀光豆は保存が利く。

この二つがあれば、人口増加にも耐えられる。


「畑の整備が終わり次第、この二つから試験拡張ね」



■次に来るのは“命を守るもの”


「⑤の蒼霧草は、その次」


怪我人、病人は必ず出る。

特に人口が急増した今、医療は後回しにできない。


「大量生産はしない。でも、常備薬として回せる量は欲しい」


「寺子屋の薬学班にも使えますな」


「うん。教育と医療、両方に効く」



■価値が高いものほど、後回し


「④赤花コショウと①金露の木は……最後」


商業価値が高い分、目立つ。

目立てば、人も金も集まる。

――今はまだ、受け止めきれない。


「領地がもう一段、安定してからでいい」


ガルドは微笑んだ。


「欲を抑えられるのは、立派な統治者の証ですぞ」


「欲しいけどね?」


「でしょうな」


二人は静かに笑った。



夜。


工事の明かりが点々と続く領地を見下ろしながら、フィリアは思う。


人は増えた。

問題も増えた。

でも――壊れてはいない。


「……ちゃんと、回り始めてる」


今は待つ時。

建て、整え、根を張らせる時。


五つの宝植物も、まだ“種”のまま眠っている。

だがそれでいい。


目覚める時は、必ず来る。


その日まで――

フィリアは、静かに領地の呼吸を見守るのだった。

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