じいじ vs ラヴィア 剣技チェック戦!! 寺子屋建築中の“公開処刑”の巻
寺子屋は木工班が総出で建築中。
子どもたちが「校舎だー!」「ひろい!」と見学している横で――
なぜか広場に人だかりが出来ていた。
ティロ
「姫様、なんか……広場が、ざわざわしてる……?」
ミュネ
「にゃ? あそこ……じいじとラヴィア様が並んで立ってるにゃ!」
封緘使が溜息をつく。
「……どうやら“剣技チェック”が始まるようですな」
私
「え!? なんで急にっ?」
ルード
「ラヴィア殿の実力が本物か、そしてアルト殿の腕が落ちていないか……両方確かめたいと、じいじが言い出しまして」
ティロ
「じいじ、張り切りすぎ!」
ミュネ
「2歳の姫様の前でカッコつけたいんだにゃ……」
◆ ◆ ◆
広場中央。
ラヴィアが無言で剣を構え、背筋をピンと伸ばした。
ラヴィア
「……では、アルト隊長。模擬戦、お願いします」
じいじ
「うむっ! 久しぶりに教え子の実力、見せてもらおうかの!」
領民
「じいじ、剣使えるのか?」
「普段は鍬持ってるのしか見んぞ」
「ラヴィアさん相手に大丈夫かいな……?」
私
(ちょっと不安……)
しかし――
シュッ!!
じいじの老体から繰り出された剣速は、信じられないほど鋭かった。
ティロ
「えっ!? は、速くない!?」
ミュネ
「じいじ……本気モードにゃ……!」
封緘使
「もともと王立騎士団の隊長格。衰えようと、技は超一流ですぞ」
ラヴィアは冷静に受け流す。
打ち合うたび、金属音が澄んだ音を響かせた。
ラヴィア
「隊長……やはり腕は落ちてませんね!」
じいじ
「ふぉっふぉっ……お主もな!」
互角――かと思われたその直後。
じいじ
「ほれっ」
ドンッ!!
突然、足元から砂袋が飛んできた。
ラヴィア
「……えっ? 砂袋!?」
観客
「うわ出た!じいじの卑怯戦法!」
ティロ
「卑怯ォォ!!」
私
「じいじ、それはだめ!!」
じいじ
「何を言う! 実戦では卑怯も作戦のうちじゃ!」
ミュネ
「開き直ったにゃ!!」
ラヴィアは砂袋をかわしつつ、目を細めた。
ラヴィア
「……懐かしいですね。昔からそれ、よく使ってましたよね」
じいじ
「うむうむ、覚えておるか? お主らは決まって引っか――」
ラヴィア
「引っかかりません」
パシュッ!!
ラヴィアの手から、細い袋が飛んだ。
じいじ
「む? なんじゃこれ――」
ポフッ
袋が割れ、じいじの周りに白い煙が広がる。
封緘使
「……痺れ袋、ですな」
じいじ
「ぬあああ!? 指が、しび、びび……っ!」
観客
「ラヴィアさんも卑怯だったーーー!!」
「師弟そろって何してる!!」
ティロ
「レベルが違う意味で高い!!」
私
「これ……教育者として大丈夫かな……?」
ミュネ
「でも勝負的には……?」
ラヴィアは転びそうになるじいじを支え、静かに宣言した。
ラヴィア
「勝負あり、ですね。アルト隊長」
じいじ
「くぅ……ワシの完敗じゃ……」
ラヴィアはにっこり――しかしどこか不敵な笑み。
ラヴィア
「でも隊長。“卑怯も戦術”と言ったのは、私の――私の隊長で世界一の師匠です」
じいじ
「……世界一?」
ラヴィア
「ええ。私に“砂袋の投げ方”も“痺れ袋の調合”も教えた、史上最強と呼ばれた隊長です」
ティロ
「なんか……すごい!?」
ミュネ
「じいじ、昔より弟子の方が卑怯度高くなってるにゃ!」
じいじ
「う、うむ……成長は……嬉しいが……複雑じゃ……」
◆ ◆ ◆
私はしびれた指をぷるぷるさせるじいじの手を握り、言った。
「じいじも、ラヴィアも……すごかったよ!
寺子屋で、子どもたちに安全第一で教えてね!」
ラヴィア
「もちろんです。卑怯技は……まぁ、こっそりと」
じいじ
「教えるんかい!!」
全員
「「「ははは……(笑)」」」
◆ ◆ ◆
こうして――
寺子屋建築中に始まった剣技チェックは、予想外の“卑怯コンビの再会劇”となった。
でも領民は言う。
「じいじ、あんな動けたんだな」
「ラヴィアさんも本物の達人だ」
「寺子屋……安心して任せられる!」
そう、結果的には――
講師陣の実力を全領民にアピールする最高の場となったのだった。




