講師募集開始!──そして集まったのは曲者だらけ!?
甜菜砂糖が安定して作れるようになり、積木・玩具・透明板・薪などの副産物もじわじわ売れ始めたころ。
ついに――領地の収入は“未来が見える”レベルに到達した。
ティロ
「姫様、あの積木……何気なく作ったのに、貴族の子どもにめっちゃ人気なんだって!」
ミュネ
「なんで貴族が積木で遊ぶにゃ……?」
ルード
「“知育玩具”という概念が刺さったのでしょう。今、貴族用に豪華版、一般用に廉価版を準備中です」
じいじ
「薪も、順調じゃ。あとはこれじゃな」
封緘使が、苦笑いしつつ書簡を差し出す。
封緘使
「……実は、王に例の“リバーシ”を献上したところ……」
ティロ
「したところ……?」
封緘使
「王宮で、とんでもない勢いで流行し始めましてな。貴族向けの高級版と、騎士団や文官向けの実用品としての廉価版の注文が……この通り」
どさっ、と積み重ねられる発注書。
山になっていた。
ミュネ
「ひぃぃぃ!? これ全部作るにゃ!?」
私
「うん、順番に……頑張ろうね!」
封緘使
「正直、砂糖に続く第二、第三の収入源として十分に育ちました。これなら――」
ルード
「姫様が計画なさっていた“寺子屋の講師募集”、開始できますな!」
私
「そう! 識字と計算はもちろん、剣技や魔法の基礎も教えられる学校を作るよ!」
ティロ
「剣と魔法も!?」
ミュネ
「子どもたち……めっちゃ強くなるにゃ」
収入の柱が立った今、やっと教育に本格着手できる。
◆講師募集開始! しかし集まったのは……
講師募集の貼り紙は、領内と王都近くの評判の良い職紹介所に出した。
「真面目で誠実な人材が来るといいなぁ……」
そう思って待っていたが――
ルード
「姫様、最初の応募者が……到着しました」
現れたのは――
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① 元王立騎士団・“首切りウサギ”の異名を持つ女剣士。今は冒険者
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筋肉バキバキ、白髪ショートの美女。
女剣士
「子ども相手に手加減はしない。強くしたいんだろう?」
私
「え、えっと……命までは取らないでね?」
女剣士
「…………考えておこう」
ティロ
「考えるんかい!!」
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② 《落第魔導士》の称号を持つのに魔力量だけは桁違いの青年
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青いローブをだらしなく着崩し、目つきが眠そうな男。
魔導士
「教えるのは苦手。でも、魔法は好き。子どもに魔法を見せるのは……まあ、楽しそう」
ミュネ
「教えるの苦手とか……大問題にゃ!」
封緘使
「いや……魔力量は本物。暴発さえしなければ……」
魔導士
「暴発? するけど?」
封緘使
「するのか……」
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③ “読み書きは完璧だが性格が完璧にひねくれた元神官”
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黒髪ポニーテール、眼鏡キラーン。
元神官
「子どもは嫌いではない。むしろ好き。だがバカは嫌いだ。寺子屋では“努力しない者は即退学”という制度を導入してよいか?」
私
「だ、だめだよ!? 子ども追い出しちゃだめ!!」
元神官
「なぜだ? 努力できない者は未来でも努力しないぞ?」
ティロ
「正論っぽく聞こえるけどダメなやつ!!」
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ルード
「姫様……よりによって、曲者しか来ませんでした」
ミュネ
「全員……癖つよすぎにゃ……」
でも、私は3人の目をじっと見た。
(この人たち……変だけど、腕だけは確か)
(んー普通の先生より、むしろ“本物を知っている人”の方がいいかも)
私は笑った。
「全員――仮採用します!」
封緘使
「姫様あぁぁぁぁ!?!?」
じいじ
「お、おお……本気なのか……」
ティロ
「姫様、勇気ありすぎ!」
ミュネ
「いや無謀では!?」
しかし私は胸を張る。
「だって、この領地は“本物の知識”が必要だもん。子どもたちの未来は、ちゃんと伸ばさなきゃ!」
曲者講師陣は、それぞれ驚き、そして微かに笑った。
女剣士
「……期待するぞ。姫君」
魔導士
「まあ、暇つぶしにはなるし」
元神官
「優秀な子どもが育つなら悪くない」
こうして――
領地の発展のための“寺子屋計画”は、最高に癖の強い講師たちとともに始動した。
そして新しい教育と産業の波は、
領地の子どもたちだけでなく、大人たちまでも巻き込み――
さらなる成長へつながっていく。




