秘密工房始動!“甘い金貨”がざっくざく!?
甜菜の大規模菜園づくりが始まり、教育の問題にも目処が立ちつつあるころ――
ついに、あの施設が完成した。
◆ ◆ ◆
◆ “極秘甜菜加工工房”完成!
「姫様! 工房……ついに完成しました!」
ルードに案内され、私は封緘使、じいじ、ティロ、ミュネとともに工房の前に立つ。
外観は、ただの倉庫。
けれど中に入ると――
◆空気の流れを管理する上部窓
◆温度を一定に保つ二重壁
◆攪拌台
◆濃縮釜
◆原液ろ過槽
◆結晶化用トレー
と、私の記憶と知識を総動員して組んだ“砂糖工房”が、完璧に再現されていた。
ティロ
「な、なにこの……秘密基地感……!」
ミュネ
「甘い匂いがしそうな予感しかしないにゃ……!」
五人の極秘メンバーも緊張した顔で並ぶ。
封緘使
「ここから先は、許可印が無ければ誰一人入れぬ。……命にかかわるほどに厳重に扱うぞ」
私
「うん。甘味の未来は、ここから始まるんだ!」
◆ そして――試作開始!
甜菜の切片が釜に入れられ、煮出され、ろ過され、濃縮される。
私は釜の温度、精製濃度、攪拌速度を逐一確認する。
何度か温度が上下し、元錬金助手の青年が慌てふためく。
青年
「ひ、姫様! 温度が……!」
私
「大丈夫、ここまでなら許容範囲。あと2度下げて、攪拌速度20回転で維持して」
青年
「は、はいっ!」
ティロ
「2歳児が工房の指揮取ってる……!」
ミュネ
「怖すぎるにゃ……!」
そして、数時間後――
白く輝く“結晶”が……トレーの上に立ち上がった。
ルード
「……っ、できた……砂糖だ……本物の砂糖ですぞ!!」
じいじ
「これが……領地で作れたとは……」
五人のメンバーは涙ぐんでいた。
私
「ここから量産実験に移るね!」
◆ ◆ ◆
◆ 量産試験、そして――“歩留まり計算”
私は皆に紙を配り、甜菜の重量、糖度、損失率、工房の電熱(薪消費)、労力時間を計算した。
「えーっと、甜菜一袋あたり……こうで……」
ルード
「姫様、これはつまり?」
私
「単純換算で……甜菜一トンから、約120キロの砂糖が取れるよ!」
ティロ
「ひぃ!? そんなに!?」
ミュネ
「そんな甘いもの……どこに隠すにゃ!?」
封緘使は淡々と、しかし声の端が震えていた。
「姫様……もしこれを市場に流せば……金貨換算で……」
(ゆっくり、でも確実に数字を積み上げて……)
私
「砂糖一kgが金貨1枚相当だから……」
「えっと……今ある甜菜の在庫で……作れる砂糖は……」
「……合計 金貨350枚相当 くらい、かな?」
ルード
「金貨っ……350!?」
ティロ
「領の財政、一発で黒字じゃん!!」
ミュネ
「姫様、金貨製造機になったにゃ!!」
じいじは座り込んだ。
じいじ
「……わしの50年の行政人生……姫様の2歳の一撃に勝てぬ……」
封緘使だけは冷静に言った。
「姫様。この砂糖は“戦略資材”です。市場に出すのはごく少量ずつ。まずは貴族向け、次に王都の菓子工房。そして最後に一般市場へ……」
私
「うん。急に売ったら絶対バレるしね!」
封緘使
「何よりも重要なのは“守秘”だ。五人は今後、外泊禁止だ」
五人
「「「ひぇっ……!!」」」
ティロ
「でも、なんか楽しそう……ワクワクするかも」
ミュネ
「砂糖……いっぱい……お菓子食べ放題……!」
私
「だからぁ、秘密工房は“おやつ禁止”だからね!?」
ティロ & ミュネ
「「えぇぇぇぇぇ!!!」」
◆ ◆ ◆
◆ 領地は動き出す
砂糖は金貨。
甜菜は産業。
教育は未来。
そして――工房と菜園の稼働によって、領地の動きはさらに加速していく。
封緘使
「姫様。甜菜産業は……間違いなくこの領の“第二の柱”になります」
私
「うん。まずは甘味革命を安定させて――次は“寺子屋”だね!」
じいじ
「……忙しくなるぞい。覚悟はよいか?」
私は力強く頷いた。
「2歳だけど、全力でいくよ!」
ティロ
「2歳の覚悟じゃない……!」
ミュネ
「やっぱり姫様こわい!!」
こうして――
“秘密工房”の灯火はともり、甘味革命は本格的に始動した。




