王都が揺れたその頃──姫様、2歳になる
王都で国王が頭を抱え、封緘使が重い任務を終えて領地に戻る道中――。
その頃、領主館では。
◆ ◆ ◆
ティロ
「姫様! 準備できましたよ!」
ミュネ
「にゃふふ♪ 誕生日パーティーにゃ!」
私は庭先のテーブルに案内された。
二歳。
この世界に来て二度目の誕生日だ。
じいじ
「ささやかじゃが、祝ってやろうと思っての」
封緘使も、いつの間にか戻ってきていた。
「……任務の前に到着してよかった。姫様、誕生日おめでとうございます」
私
「ありがとう!!」
テーブルには豪華ではないけれど、みんなの気持ちが詰まった手料理が並んでいた。
・ティロ特製の小さなベリータルト
・ミュネの手作りミルクプリン
・領民のおばあちゃんがくれた焼きパン
・新しく来た農家さんが差し入れた野菜スープ
ティロ
「まだ食材が豊富じゃないから……ごめんなさい」
私
「十分! めっちゃ嬉しいよ!」
ミュネ
「姫様いつも頑張ってるから……今日は甘えていいのにゃ!」
じいじは、私に小さな木箱を差し出した。
「これは、わしからの贈り物じゃ」
箱を開けると――
丁寧に削られた、手のひらサイズの木製ペンダント。
この領地に伝わる「加護のお守り」らしい。
私
「じいじ……!」
「お前は小さいのに、ようここまで頑張った。わしの自慢の孫じゃ」
その言葉に、少し目頭が熱くなった。
封緘使は、リバーシの盤を抱えて近づいてきた。
「姫様。誕生日ですし……“再戦”いたしますか?」
私
「やる!! 今日こそ勝つ!!」
ミュネ
「誕生日勝負にゃ!」
ティロ
「姫様がんばれー!」
◆ 結果
――完敗。
またもや
封緘使 42
私 22
私
「なんでぇぇぇ!! 今日くらい空気読んでよぉ!!」
封緘使
「誕生日であろうと、全力で相手をするのが礼儀です」
ティロ
「あ、あの封緘使さん……少しは手心を……」
ミュネ
「この人、戦略ゲームだけは本気になるんにゃ……!」
みんなが笑う中、じいじが静かにグラスを掲げた。
「姫様が、無事に二歳を迎えられたこと……この領地の未来に祝福あれ」
私は胸に両手を当てながら言った。
「みんな……ありがとう。これからも、いっぱい頑張るからね!」
◆ ◆ ◆
翌朝。
誕生日会の翌日だというのに――
ルード
「姫様!! また移住希望者が100名以上!!」
ティロ
「食料も寝る場所も間に合わないー!」
ミュネ
「誕生日が終わっても地獄は続くにゃ!!」
封緘使は、昨日とは打って変わった鋭い目で言った。
「姫様。国王陛下より注意事項も届いております。……ですがまず、今日も“復興戦線”を進めましょう」
私
「よし! 2歳の私、今日からレベルアップしていくよ!!」
こうして――
王都が震え、領民が沸き、誕生日会で笑ったその日から、領地はさらに巨大な波に飲み込まれていくのであった。




