透明樹液板、進化する!〜カラフル革命、始まる!
研究が始まって三日目。
試作場には、いまや薪の匂いより“甘い樹液の香り”のほうが充満していた。
作業台には、昨日作った透明板がずらり。
「姫様。こちら、薄め具合を三段階変えて乾燥させたものです」
「わぁ……全部、手触りが違う!」
文官のルードさんが差し出した板を光にかざす。厚さは薄い紙ほどから、しっかりした板状のものまで様々だ。
「乾燥時間も測りました。濃度が高いほど時間がかかりますな」
「ふむ……でも濃度を上げると硬くなる……なるほどね」
2歳児(精神大人)は頷きながら、板の“しなり具合”を試す。
折れない。
柔らかすぎない。
軽い。
(これ……ほんとに天然素材なのよね?)
昨日の偶然は、本当に革命の始まりだったらしい。
■ 新たな道具の誕生!“平滑流し枠”
「姫様、この枠、出来上がりましたぞ!」
オルドさんが持ってきたのは、木製の四角い枠。
「これは?」
「樹液を入れる“流し枠”じゃ。厚みも均一にできるように細工してある」
「縁の高さを変えたら厚さ調整も自由というわけですな」
祖父が鼻髭を撫でながら説明する。
「これで毎回同じ厚さに作れる!すごい!!」
私は枠の中に樹液を流し込み、均一になるよう杓子でゆっくりと馴らしていく。
これが“透明樹液板製造ライン”の第一歩……かも!
ワクワクが止まらない。
■ 染料を混ぜたら……カラフル板が爆誕!
「姫様、染料を加えたらどうなるかと思って……試してみました」
文官のレイルさんが得意げに差し出したのはピンク、薄青、レモン色、薄緑……
透明カラー板。
「え、かわっ……!!」
思わず叫んだ。
「これは、昨日姫様がおっしゃった“玩具の絵合わせパネル”に最適なのでは?」
「むしろ窓飾りにも使えると思います!」
「光が通るから綺麗ですぞ!」
研究班のテンションが爆上がりである。作業場に虹色の板が並ぶと、そこはもう工房というより“アートスタジオ”だった。
■ しかもカッターで切れる!? 軽い!? 研磨すると光る!?
試作品を触っていたオルドさんが突然叫んだ。
「姫様!これ……刃物で簡単に切れる!」
「えっ」
大工用の細刃でスッと切ったら、スパーン!と綺麗な端ができた。
「ガラスじゃこうはいきませんな……!」
「しかも軽い!木より軽いぞ!!」
祖父が持ち上げて驚く。
「研磨してみたんですが……」
差し出した板は──表面がつるつるピカピカ。
「ガラスよりは輝きが落ちるけど……充分綺麗!」
これはもう……
“軽量透明樹脂板(天然)”
と言って差し支えない。
■ 透明樹液板が領地の新産業に!?
「姫様、これが量産できれば……」
「王都の需要は計り知れません!」
「窓、食器、装飾品、玩具……用途はいくらでもある」
文官たちの目がギラギラしてきた。
あれ……これ、木工より先に樹液が主力になる……?
私は頭を抱える。でも、嬉しい。
偶然の失敗が、新しい文化を作り始めている。
「じゃあ、今日から“透明樹液板チーム”と“木工試作チーム”の二本立てで進めよう!」
「「「了解!!!」」」
作業場に声が響く。
祖父は微笑みながら私の頭をポンと撫でてくれた。
「姫よ。まるで天が与えた領地再生の道じゃのう」
偶然だけどね!
でも、その偶然を形にするのは私たちだ。
■ そして私は次の試作へ
「さて、次は……樹液板で何を作ろうかな?」
・飾り窓
・アクセサリー
・玩具の絵パネル
・透明な蓋の箱
・光を通す看板
作りたいものがどんどん浮かぶ。
よし、まずは……色付きの“絵合わせパズル板”からだ!
今日も、試作の日が始まる。
そして――領地には、またひとつ“新しい未来”が芽生えたのだった。




