表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名家の末娘に転生したので、家族と猫メイドに愛されながら領内を豊かにします!  作者:
守る仕組み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/105

若き職人を求めて

「……とはいえ、やっぱり人手が足りませんねぇ」


領主邸の作業場に設けた簡易工房で、木工師のボルドさんが頭をかきむしった。

ベトベトの木は扱いが難しく、乾燥にも時間がかかるし、固まる過程の管理も繊細だ。


手を止めているのは、決してやる気がないからではない。

人手が、一桁足りないのだ。


「ベトベトの木は面白い素材だが……どうしても手が回らん。木取りだけでも数人は欲しいところだな」


じいじも腕を組み、うむとうなった。


「こいつは想像以上に手間のかかる素材でのぉ。わしと文官三人どうにもなりそうにないわい」


私も頷くしかなかった。


本当なら、私のアイテムボックス――

あれを使えば作業は何倍も速くなる。乾燥も、運搬も、整形も、小規模なら全部こなせる。


でも……


もし私がいなくなったら?


領地の産業がすべて止まってしまう。

それだけは絶対に避けたい。


「……だから、試作品だけは私がアイテムボックスを使って作ります」


そう宣言すると、皆がこちらを振り返った。


「お嬢が試作だけ?」

「ええ。試作品で形を示して、量産は皆でやるんです。私の作ったものを“正解”として、真似してもらう形なら、皆でも生産できます」


文官たちも顔を見合わせ、

「確かに……お嬢様がいなくても技術が残る形ですね」

と納得してくれた。


「だが、それでも木工師が一人というのはさすがに厳しいのぉ」


じいじのため息が作業場に落ちる。

そこを私は逃さなかった。


「そこで、文官さんに相談があります!」


三人の文官が一斉に姿勢を正す。


「王都や周辺都市で、腕はあるのに仕事が少ない若手の木工師さんはいませんか?もし可能なら、この領地に来てもらえないでしょうか?」


文官たちは目を丸くし、すぐさまメモを取り始めた。


「若手木工師……確かに王都でも仕事にあぶれている者がいます」

「手紙を出せば何人かは来るかもしれません」

「領地開拓の特別任務として募集すれば、希望者はもっと増えるはずです」


みるみる前向きな空気になっていく。


私は続けた。


「来てもらう以上、生活の保障や住居の準備も必要ですよね。その辺りは領地側で調整します。だから……お願いしたいんです」


三人の文官は顔を上げ、力強く頷いた。


「分かりました。王都に戻り次第、木工ギルドにも協力を要請します」

「募集文面はこちらで作成し、領主家の名で発布していただければ、多く集まるでしょう」


じいじも嬉しそうに笑った。


「おお、これで一気に道が開けたわい!」


ボルドさんも感動したように鼻をすすっている。


「お、お嬢様……わし、こんなに嬉しいのは久しぶりじゃ……。若い職人に技を伝えられるかもしれんでなぁ」


その姿に、胸が温かくなる。


――よし。


これで、ベトベトの木加工品の本格開発が始められる。


けれどその前に、私の役目がある。


試作品づくりだ。


私は作業台の前に立ち、ベトベトの木を手で触る。


ぬるっとした感触。

だけど、その中に確かな可能性がある。


「よし、私から始めるよ」


作業場に新しい風が吹いたように、全員が動き出した。


若手職人が来るまでの時間――これは準備期間。私の試作品で未来の産業の形を示すんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ