じいじ、重大案件を忘れるの巻。そして国家プロジェクト一気に三つ増えたんだが!?
翌朝。私たちは正式な謁見のため、王宮の大広間へ向かっていた。
昨日、王様が甜菜糖(仮)を舐めてテンション爆上がりになった結果――
「ローガル家の領地、国家プロジェクトにする!!」
と盛大に叫んだせいで、王宮全体が半ば緊急招集状態になっていた。
……ごめん、私まだ一歳なんだけど。
母上は気合い入れて礼服、じいじはちょっとだけ綺麗な服を着ている。オットーは緊張で死にそうな顔。
そして私は、ふわふわのドレスで抱っこされながら震えていた。
■ 王の前で、早速じいじがやらかす
玉座の前でひざまずくと、王様はもう満面の笑みだった。
「リオナ嬢、昨日の甘味……素晴らしかったぞ!」
ほめられた……けど噛まないように緊張する……!
王様は続けてじいじの方を見た。
「さてオルドランよ。お前、甜菜のほかにも“産業の相談”があると言っていたな?」
その瞬間――母上の眉がピクリと動いた。
じいじは堂々と胸を張って言い放つ。
「む? そうじゃったか?」
「忘れてる!!」
母上の鋭いツッコミが謁見の間に響きわたり、文官たちが「え?」となる。
王様も「あれ?」という顔。
母上はため息をつきながら説明した。
「陛下、領地には“ベトベトの木”という厄介極まりない木が大量に生えております。接着剤になる樹液は取れるのですが、木材にならず、燃やしても煙がひどい。処理に苦労しております」
王様は一瞬固まった後――
「……あの地獄の木か!」
どうやら有名らしい。
文官Aが青い顔でメモを始める。
母上はさらに続ける。
「陛下、この木を有効利用の道筋が出来ました。ベトベトの木で加工を行なった物です」
王様は椅子からガタッと立ち上がった。
「耐熱木材、高硬度人口木材(仮)、高燃焼維持薪、松明、簡易蝋燭、香り付きアロマブロック、ベトベト煉瓦」
謁見の間の文官と将軍たちが一斉に沸く。
「ついにあの木に対する対策が……!」
「よくぞ言ってくれました!」
じいじはポツリと言う。
「……ワシ、そんな大事な話したかの?」
「したんです!!忘れないでください!!」
母上のツッコミが今日一番鋭かった。
さらに追加で褒美が飛ぶ
王様はじいじの忘れっぷりはスルーし(慣れてるのか?)
改めて私たちに向き直った。
「ローガルの領地における“ベトベトの木加工”は王家直轄で実施する!また、これまで放置されてきた被害については――褒美を与える!」
侍従が慌ててメモを取る。
オットー:「(褒美……!?まさかの展開!!)」
母上:「ありがたき幸せです、陛下」
じいじ:「わし、褒美とか慣れとらんのじゃが……」
王様:「嘘をつけ!!昔散々もらっておっただろうが!」
(じいじの黒歴史が多すぎる……)
■ そして砂糖の話は国家レベルへ
王様は甜菜糖の瓶を掲げて言った。
「そしてこの“甜菜糖”についてだが……これは国として開発すべきだと判断した!」
文官たちの目が光る。
「砂糖代替品となりうる……」
「輸入砂糖の依存度が下がる可能性が……」
「税収効果、莫大……!」
王様は私に向かってニコッと笑った。
「リオナ嬢、君の領地に文官を三名派遣する。農業・加工・経済の専門だ。彼らと共に、甜菜糖の生産体制を整えてほしい」
私は思わず母上の服をぎゅっと掴む。
(ひぇぇぇ……なんか、すごい流れになってない!?)
王様はさらに続けた。
「開発費用については“別途支給”する!金の心配は不要だ!やれ!」
じいじがぼそっと言った。
「アレクシス……金払いが良くなったのぅ」
「お前が無茶しなくなったからな!!」
(この二人……ほんと仲良しすぎる……)
■ 一気に国家プロジェクトが3つになった件
王様がまとめるように宣言した。
「では、ローガル領に下記を命ずる!」
★一、ベトベトの木を使用した加工品の製造
→ 王家直轄事業へ移行
→ 過去の損害に対し褒美あり
★二、薪不足改善のため王家の森林管理局を派遣
→ 安全な薪の確保を支援(※煙問題の完全解消)
★三、甜菜糖の開発
→ 文官3名派遣
→ 開発費は王家から別途支給
→ 成果に応じて追加褒賞あり
オットーは隅で震えながら呟いた。
「り、領地……超優遇されてる……」
母上は深く頭を下げた。
「陛下のお心、深く感謝いたします」
私は小さく会釈した。
「ありがと……ございましゅ!」
噛んだのは……まぁ許して。
■ 謁見の最後、王様とじいじの“いつものやつ”
王様はじいじの肩を抱いて言った。
「レオ、また夜に飲むぞ!!」
「おう!今日は負けんぞ!」
母上:「陛下、ほどほどにお願いします!!」
こうして――
ローガル領は、一気に国家プロジェクト3つを抱える超注目地区となり、私の開拓物語はさらに大きな方向へと動き出したのだった。




