国王とじいじ、似た者同士の再会は国家レベルの大騒ぎ!?
翌日、私たちは王宮へと向かっていた。
昨日作った“甜菜糖(仮)”をしっかり瓶に詰め、布で包んで持参する。王宮の門は高く、衛兵たちの姿はまさに“国の要”という存在感をしている。
そんな厳めしい空気の中――
「おお、レオナルド殿!?」
門番がじいじの顔を見た瞬間、直立不動になった。
「ご無沙汰しております!すぐにご案内いたします!」
なんで!?ねぇ、なんで!?
じいじ、どれだけの伝説残して来たの!?
母上はため息をつきながら呟く。
「お義父様……昔どれだけ無茶をされたんですか?」
「む? 別に普通じゃよ。ちと門をぶち破ったことはあるが」
「普通ではありません!」
王宮内部に通されると、侍従が丁寧に頭を下げる。
「国王陛下は『すぐに通せ!全力で通せ!急げ!』とのことです」
……全力で通せって何?国王陛下のテンションおかしくない??
そして――私たちは豪華な謁見室ではなく“国王の私室”へ案内された。
◾️国王、限界まで待ちわびていた
ドアが開いた瞬間。
「レオォォォ!!」
ド派手な金髪を振り乱しながら、王様が猛ダッシュで飛び出してきた。いや、え、王様!? 威厳どこ行った!??
「アレクシス!おぬし相変わらずやな!」
じいじも負けじと走り出す。
そして――
ドォォォン!!
二人は豪快に抱き合い、豪快に床へ転がり、周りの侍従達が凍りついた。
「陛下ァァァァァ!!」
侍従が血相を変えるが、王様本人はケロッとしている。
「久しいなレオ! 生きておったか!」
「生きとるわ! おぬしこそまだこの国を潰しとらんとは意外じゃ!」
「誰が潰すか!」
この二人、似すぎている……ツッコミ不在のハチャメチャコンビじゃん……!
母上は頭を抱えている。
「……王様の前で言うセリフですか、それ」
オットーは震えていた。
「す、すげぇ……陛下相手にタメ口……!」
◾️リオナ、ついに国王と対面!
ようやく落ち着いたのか、王様が私の方を向いた。
「ほう、この子が……レオの孫か。なるほど、目つきがそっくりだ」
失礼だ。いや、間違ってはいないけど。
私はぺこりと頭を下げた。
「フィリア・フォン・ローガルと申します。よ、よろちく……お願いします!」
かんだ。
めちゃくちゃかんだ。
しかし王様は満面の笑みを浮かべた。
「愛らしい!なんと可愛い!!ローガルの家系にこんな天使が生まれるとは……人間、わからぬものだな!」
「アレクシス、どういう意味じゃ!」
じいじがキレている。
王様は気にせず私を覗き込み、
「……それで、レオよ。新しい産業の話があると聞いたが?」
来た……本題。
私は布包みから、昨日作った甜菜糖を差し出した。
「こちら……甜菜という野菜から作った甘味です。もし安く大量に作れれば……その……国の産業になるかも、でしゅ……」
噛んだ。2回目だ。
しかし王様は真剣な顔つきで瓶を受け取り、蓋を開け、匂いを嗅いだ。
「……甘い……!?」
指で少しすくい、舐めた。
次の瞬間――
「うまいッ!!」
国王の叫びが私室に響き渡る。
侍従たちもザワついた。
「これ、砂糖に近いですぞ……!」
「いや、砂糖そのものでは……?」
王様は目を輝かせ、じいじの肩を掴む。
「レオ!! お前の領地でこんなものが作れるのか!?」
「リオナが作っただけじゃ。まだ試作品じゃよ」
「天才か!? この子は天才なのか!?」
王様のテンションが上がり続ける。
そして大声で命じた。
「よし! 明日、正式にレオ一行を謁見の間へ!この甜菜糖を国家として検討する!そしてその娘……必ず褒賞を出す!!」
(え、まじ? まじで国家プロジェクト化しちゃうの!?)
じいじが肩をすくめながら私に囁いた。
「……こやつ、昔からスイーツに弱いんじゃ。砂糖は正義よ」
(なるほど納得……)
こうして――じいじと国王、伝説の再会は国家レベルの大騒ぎとなり、甜菜糖は本格的に“産業化の道”を歩み始めることになった。




