その日、ローガル家は初めて“じいじが格好良い”と思った
ベトベト革命から三日後。
ローガル家は、今までにない熱気に包まれていた。
父様「これはすぐ商人を呼ぼう!領都の大商会でも、王都商会でもいい!」
兄様「うん!絶対売れるよ!特に薪と煉瓦は需要がすごいはず!」
ミュネ「アロマも奥様方に人気ですにゃ!売れますにゃ!」
フィリア(私)「(そうだよね……これは領地の大チャンス……!)」
その時――。
バンッ!!
食堂の扉が勢いよく開き、じいじが仁王立ちになった。
じいじ「待てい!!!商人を呼ぶのはまだ早い!!」
父様「え!?お、親父殿……?」
兄様「じいじが真面目な顔だ!」
ミュネ「嫌な予感しかしないですにゃ……」
だが。
今回のじいじは、違った。
◆ じいじ、まさかの冷静分析
じいじは薪の束を持ち上げ、皆に見せた。
「この“高燃焼持続薪”……これを市販などしたら……危険じゃ」
父様「危険?」
兄様「なんで?便利なのに?」
じいじ「便利すぎるからじゃ!!」
全員「……え?」
じいじは薪を一本ポンと置き、指を立てた。
「まず、重さは通常の薪の半分!体積はさらに小さい。つまり……」
――“同じ荷馬車に通常の三倍積める”
兄様「あっ!」
ミュネ「そ、それは凄いですにゃ……!」
じいじ「しかも燃焼時間は長く、火力は安定。焚き付けもほとんど不要。これを軍が使えば――」
・補給馬車が減る
・警護兵も減る
・補給速度が大幅に上がる
・野営の質すら向上
じいじ「つまり、軍の“遠征能力”が一段階跳ね上がってしまうのじゃ」
父様「……!」
兄様「た、確かに……軍事バランスが変わる……」
ミュネ「敵国が盗み出そうとする可能性も……!」
父様は顔を青くした。
「こ、これは……軽々しく市販して良いものではない……」
兄様も口を噛む。
「商人に売ったら……そこからどこに流れるか分からない……」
ミュネの耳もペタンと下がる。
「フィリア様の発明……国家レベルですにゃ……」
家族全員が絶望的な空気になった。
(あれ……なんか私の発明、めっちゃ面倒な事になってない!?)
沈黙。
そして――
◆ じいじ、立ち上がる。
じいじ「だが!!!」
父様「え?」
じいじは胸を張って叫んだ。
「ならば、王家に献上すればよい!!!」
全員「――は?」
じいじ「王家に献上し、王家が独占して管理すれば、軍事的リスクはなくなる!さらに、王家の後ろ盾を得たローガル家は、他の新商品を堂々と売れる!!」
兄様「た、確かに……!」
じいじ「薪や耐熱木材、煉瓦など“軍事影響が大きいもの”は王家専用に。
アロマ・ろうそく・松明・日用品などは領地で自由に販売できる!!」
父様「そ、その手があったか……!」
ミュネ「王家に認められれば……領地の信用度も跳ね上がるにゃ……!」
兄様「他領との取引も増えると思う……!」
じいじはニヤッと笑った。
「そしてその献上には――フィリアの名前を添えるのじゃ!!」
私「!?」
父様「赤ん坊の名が王家に届く……!?」
兄様「すごい……!」
ミュネ「王家公認の天才ベビーですにゃ!!」
(えぇぇぇ!?ちょっと待って!?)
◆ 議論の結論
父様「よし……方針は決まった!」
兄様「まずは王家への献上品を作ろう!」
ミュネ「伝達の使者も準備しなきゃにゃ!」
じいじ「うむ!王家を味方につける好機じゃ!」
全員の視線が私に集まる。
「「「フィリア、領地を救ってくれてありがとう!!」」」
私はぽふっと魔力を光らせた。
“まかせて”
ぽわん。
(いや、赤ん坊なんだけどね!?)
世界は今日も、赤ちゃん主導で動き始める。




