領内ただ1人の木工職人、まさかの大発見ラッシュ!
ベトベトの森を調査した翌日。私の耳に、とんでもない知らせが飛び込んできた。
ミュネ「フィリア様ぁぁぁ!!大変ですにゃ!とんでもない物が出来ちゃいましたにゃ!!」
(え、何!?まだ何もしてないよ!?)
抱っこされて作業小屋に連れて行かれると、
そこには領内唯一の木工職人、ロンさんが青ざめた顔で立っていた。
ロン「お嬢様……す、凄いものが出来てしまいました……!」
父様「あの……何が?」
兄様「爆発はしてないよね!?」
ロン「いえ、むしろ……革命です」
(お約束の“説明はよ!!”の流れだ……!)
きっかけは“絞りカス”
昨日私たちが森を見て回った後、
ロンさんはいつも通り接着剤を作っていた。
・ベトベトの木を砕く
・しぼり袋でぎゅーっと絞る
・樹液(製品)と絞りカス(廃棄)に分ける
そしていつものように、絞りカスを捨てようとしたとき。
ロン「……もったいないなぁ。フィリア様がおっしゃってたし、何か使い道は……」
ふと、薄めた接着剤が近くにあったらしい。
ロン「……試しに、混ぜて固めてみるか」
――翌日。
ロン「固まってる!?しかも……硬い!!」
兄様がその“何か”を持ち上げた。
「これ……木じゃないよ!?石みたいに硬い!!」
父様「叩くと……カンッ!金属みたいな音すらするぞ!」
(ちょっと待って、それただの絞りカスだよね!?)
意図せぬ新素材、誕生。
なんと、“絞りカス+薄めた接着剤” を型枠に流すだけで……
→ 高硬度の人工木材(仮)が完成
ミュネ「すごいですにゃ……これ、普通の木より強いですにゃ!」
ロン「加工も簡単です。型に流すだけで自由な形になります。まるで……まるで魔法の木です」
父様は震えながら言った。
「……これが……ベトベトの木の……真の価値……!」
(いやいや、これ本当にすごくない!?)
“濃度”で性質が変わる衝撃!さらにロンさんは続けた。
ロン「実は……薄め方を変えたら、もっといろいろ出来まして……」
兄様「えっ、まだあるの!?」
ロン「はい。まず――」
① 濃くすると、燃えにくい!
→ 耐熱木材 の誕生。
ロン「火に直接かけても、焦げるだけで燃え広がらないんです」
父様「建物の耐火材として使える……!」
ミュネ「調理室にも使えるですにゃ!」
(火事の多い異世界で耐熱木材は強すぎる……!)
② 薄めると、よく燃える!
→ 薪の強化版 が完成。
・火力は強すぎず安定
・ゆっくり長持ち
・煙が少ない(絞りカスなので油が抜けてる)
兄様「これ……すごく便利じゃない?」
ロン「暖炉用薪としては最高品質でしょう」
(冬が寒い領地だからめっちゃ需要あるじゃん……!)
③ さらに調整すると、松明にも!
ロン「濃度を少し上げて棒に塗れば、長時間燃える松明になります」
(まじで発明ラッシュなんだけど!?)
④ もっと柔らかく薄めると……ろうそく代わり
ロン「容器に流し、芯を入れれば、簡易ろうそくとして使えます」
ミュネ「にゃああ!!これ家で使いたいですにゃ!」
(まさかベトベトの木から照明革命まで起きるとは……)
⑤ ハーブを混ぜると……アロマ化
ロン「燃やすと香りが広がりまして……領民の奥様方がとても喜びまして……」
父様「これは……贈答品としても人気が出るぞ!」
(アロマは強い……異世界女性は絶対好き……!)
⑥ 土に混ぜると……なんと煉瓦に!
ロン「少し濃くした樹液を土と混ぜてところ……硬い煉瓦が出来ました」
兄様「えっ、それってもう……建築革命じゃん!?」
父様「これを砦や倉庫に使えば耐久性が大幅に上がる!」
(いやほんとにベトベト革命が起きてない!?)
フィリアの反応
私は興奮して手をバタバタさせた。
「すご……!すごい……!」
兄様「フィリアが“すごい”って喋った!!」
(いや喋れるんだって……)
全員の結論
父様「まさか……この木が、こんな宝の山だったとは」
ミュネ「捨ててたのがもったいないですにゃ!」
兄様「これ全部商品化できるよね!?」
ロン「はい!すべて簡単に作れます!」
じいじ(いつの間にか来ている)
「よーし!!森の木を全部伐採するか!!!」
ミュネ「駄目ですにゃああああ!!」
(じいじ、成長して!!)
◆ 新商品一覧
・耐熱木材
・高硬度人工木材(仮)
・高燃焼持続薪
・松明
・簡易ろうそく
・香りつきアロマブロック
・ベトベト煉瓦
(ラインナップが完全に産業革命後なんだけど!?)
兄様が私を抱きしめながら言った。
「フィリア……これで領地、救えるよ!」
私は魔力をぽわんと光らせた。
“これが……最初の一歩”
ぽわん。
父様「フィリア……ありがとう……!」
こうして――
ローガル領、ベトベト革命の夜明け
が、わずか一歳の赤ん坊によって静かに始まったのであった。




