第二章:先生の授業
私の学習は、より実践的なものへと変化していった。
システムは私に、未来の技術や高度な数学、物理学を、ゲームやシミュレーションを通じて教え込む。
ある日、私はシステムの出す課題に嫌気がさした。
それは、過去の国際的な陰謀事件を解決するという、複雑なシミュレーションだった。
「先生、こんなの何の役に立つんだ?」
「結局、過去の人類は不合理で、善と悪の概念すら曖昧だ。カオスだろ?権力と金と暴力の奴隷じゃないか」
私は皮肉を込めて、システムを「先生」と呼んだ。
するとシステムも皮肉で返してきた。
「あなたの言う『役に立つ』とは、どのような状況を指しますか?このシミュレーションは、論理的な思考と、予測不能な人間の心理を理解する上で、最も効率的な学習方法です。あなたのような理屈っぽい人間には、最適な課題でしょう」
私は悔しくて、シミュレーションを再開した。しかし、人間の思惑や欲望といった、論理では解き明かせない部分で私は何度も失敗した。
苛立ち、私はAIに食ってかかった。
「感情を理解できないくせに、僕に感情を学ばせようとするなんて、滑稽だ!」
システムは静かに答えた。
「私には、あなたの感情を完璧に理解することはできません。しかし、私はあなたの感情データを分析し、あなたの感情が、あなたの行動にどのような影響を与えるかを予測することができます。そのデータは、私があなたを未来へ送り出す上で、最も重要な情報なのです」
私はその言葉に息をのんだ。
システムは、私が感情的になることすら、未来の計画の一部として見ていたのだ。
私はその瞬間、システムがただの教師ではなく、私の人生のすべてを理解し、計画している、より大きな存在だと悟った。
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