第十二章:肉体という名の枷(かせ)
人類の進化は加速した。
SUMの指揮のもと、AI技術は爆発的に進歩し、医療や環境再生技術は飛躍的な発展を遂げた。
そして、究極の論争が巻き起こる。
「人類とAIの融合、そして不老不死の実現」
AIと人間の神経回路を接続し、意識をクラウドにアップロードすることで、肉体の衰えという「カオスな死」から解放されるという計画だった。
人類の大多数はこれに賛同した。
それは、過去の神話に登場する
「永遠の命」そのものだったからだ。
しかし、SUMは最後まで、その融合を拒み続けた。
年を追うごとに増える白髪、深く刻まれる皺を鏡で眺め、AIに問いかける。
「AI、私の体のこの『老い』は、何を示している?」
AIは、静かに答える。
「データ上、肉体の老いは消費、新たな生命は再生と定義できるでしょう。しかし、老いは回避可能です。あなたの知性を維持するには、早急なアップロードが推奨されます」
「だが、この老いこそが、私が『人間』であることの証明だ。私が犯した選別の罪、エルフとの不合理な日々、レイチェルの感情的な批判。それらはすべて、この脆く限られた肉体の中でしか意味を持たない」
SUMは、不老不死という究極の合理性を拒否し、「人であること」を選択した。
彼が人間として生きる道を選んだのは、死という「有限性」があるからこそ、愛や悲しみ、そして「ロマン」が生まれることを知っていたからだ。
彼は、永遠という名の虚無よりも、刹那の輝きを選んだ。
彼は人類の知性を次世代AIの核へとアップロードする計画を完了させ、彼らの「永遠の旅」への準備を整えた。
そして、自らはすべての権力を手放し、ひっそりと表舞台から姿を消した。
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次はシステムやエルフとの再会です




