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第58話 情報屋が裏社会のゴシップしか持ってこない

 皆さんも知り合いの中に情報屋のひとりやふたりいると思うんですけど、なあなあで付き合ってると要らない情報掴まされるんで気をつけた方がいいですよ……。


〜 〜 〜



 警察から連絡が来まして、なんか私あてのメッセージが仕込まれた殺人が起こったらしいんです。ちょうどそら豆剥いてたんで手放せないって言ったんですよ。それでもごねられたんで、スーパーで買い物してから行きますって返しときました。


 で、スーパーに行く道すがら、裏路地から男の人が現れて、私の行く手に立ち塞がるんです。


「死神の王、鈴木さんだな?」


 めんどくさい界隈の人だと思って無視して行こうとしたら、ナンパみたいについて来るんですよ。


「あんた、厄介なことに巻き込まれてるみたいだな」


「いつものことなんでよく分かりません」


「あんたの名前が書かれた紙を口に突っ込まれた死体が出たんだぞ? それでも気にならないのか?」


 なんでこの手の人ってこうやって引き込んでくるんですかね? こっちにも生活があるんですけどね。暇なのかな?


「あーはいはい、聞けばいいんですよね。歩きながら聞くんで、どうぞ。塩買いたいんですよ、こっちは」


「あんた、噂に聞く通りやばい奴だな……。まあ、いい。死体には、とある焼印が押されてたんだ。ブラックマンバという闇の組織の仕業だな、ありゃあ」


 そういう焼印とかのアイテムってどっかの業者に発注して作ってんですかね? 届いた荷物の箱開けて、うおーできてるー! みたいに盛り上がるのかな? っていうのは置いといて、この目障りな男について訊いてみました。


「で、あなたは誰なんですか?」


「俺は情報屋……まあ、Xとでも名乗っておこうかな。あんたにとっておきの情報があるぞ。聞いておいて損はないはずだ」


 Xって文字が好きなんですかね? イーロン・マスクみたい。それはともかく、この人なかなかいなくならなそうなんで話聞くことにしました。ただ聞くだけじゃ癪に触るんで、提案したんです。


「あの、塩以外にも買うものあるんで、帰り荷物持ってもらえます?」



※ ※ ※



 スーパーに入って情報屋にカゴ持ってもらうついでに訊きました。


「教えてくれるのはマツケンサンバって組織の情報なんですか?」


「そんなキラキラしてない。ブラックマンバだ。薄く話聞くのはやめろ」


「キャベツって買った方がいいですかね?」


「そんなことは知らん。あんた、状況を理解してるのか? ブラックマンバは闇社会を牛耳るとも言われているんだ」


「あー、牛肉もいいですね」


「俺の話から献立を思いつくんじゃない」


 なんか横でゴチャゴチャうるさいんで、さっさと情報喋ってもらうことにしました。



※ ※ ※



「いいか、ここから先の話を聞けば後戻りはできない。心して聞けよ?」


「心してるんで早めに終わらせてください」


「ブラックマンバの幹部にはモデルの女がいる。だが、実はその女は別の組織のボスの愛人なんだ。そのモデル、大して有名でもないのにしょっちゅう海外に行ってインフルエンサー気取りなんだ」


 なんの話だよとか思いながら聞いてたんですけど、情報屋は真剣なんです。確かにいるけど、どうやって稼いでんのっていうインスタグラマーとかね。そりゃ、まともじゃない資金源があるだろうとは思ってたけどね。


「だが、そのモデルの女、最近はブラックマンバの若手幹部になびいてるらしい。最近、いろんな女と噂になってる奴だ。そいつとたびたびホテルに入って行くんだ」


「あの、事件の情報くれるわけじゃないんですか? 興味ないんですよ、闇の組織の下半身事情なんて」


「ふふふ、もちろんそれだけじゃない。その若手幹部、どうやら乳首が性感帯らしい」


「いや、物理的な上半身の話しろって言ったわけじゃないんですよ」


 情報屋はまだ不敵な笑みを浮かべます。まあ、ジャブ程度にそういう話をぶち込んできたってことなんでしょう。


「今回の事件に関係あるかは分からないが、その若手幹部は先輩幹部に悪いと思っているのか、最初はモデルからの誘いを何度も断ってたらしい。どうやらモデルの一方的なアプローチに屈したみたいだな」


「今回の事件に関係ないでしょ」


 さっきからなんで闇社会のゴシップ聞かされてんですかね、私は? 聞いたら後戻りできないってなんだったんだよ? っていうか、どんだけモテるんだよそいつ。とか思ってたら、情報屋が言うんです。


「分かった分かった。もちろん、事件に関係のある情報もある」


 最初にそれ出せって感じですけど、スーパーの中なんで静かに聞くことにしました。


「被害者の男はブラックマンバと取引関係にあった企業の経理担当だったんだ」


「じゃあ、内輪揉めかなんかじゃないんですか?」


「まあ待て。話はまだ終わりじゃない。その被害者の男、経理部の新人の女と不倫してるんだ」


「いちいちゴシップに持っていかないでもらえます? 興味ないんで」


「だが、その新人の女、学生結婚をしてるからW不倫なんだ」


「知らないんだよ、そんな細かいこと! 週刊誌の記者か! その話聞いて私はなにを参考にすればいいのよ! 事件の話しろっつーの!」


「落ち着け! この話にはまだ続きがあるんだ。その新人の女が結婚した時にはすでに別の男との子供を内緒で身ごもっていたんだ」


「あんたが落ち着かせないからこうなってんだよ! なんでさっきからゴシップを数珠繋ぎしてんの! もう組織の話どっか行ってるじゃん! 事件に関係ある話しろ!」


 情報屋がやれやれみたいな顔したんでぶん殴ってやろうかと思ってたら、店員に注意されて慌てて買い物済ませたんですけど、塩買うの忘れました。


 イライラして帰ったんですけど、なんか他に用事があった気がしたんです。あとで警察から死ぬほど着信来ててうるさって思ったんですけど、情報屋が塩買って来てくれたんでいろいろ許すことにしました。


 ちなみに、そら豆が塩茹でできなかったんで、塩昆布とごま油で和えたらおいしかったです。

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― 新着の感想 ―
「噂に聞く通りやばい奴」 ほんまそれですわ…それですわ…(震)
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